最初で最後のキスのレビュー・感想・評価
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ポップな演出、ドロドロの現実
オープニングから妄想と現実の区別が曖昧な演出が多く、何か楽しいことが起こりそうな青春劇を期待させる。 が、クライマックスはビックリの展開。 急展開。 ゲイであることを否定も肯定もせずに、自己表現にプライドを持つロレンツォ。 イケてる先輩と付き合っていて、その先輩グループと4Pしたと言ってのけるブルー。 亡き兄にコンプレックスを抱える自己表現が苦手なアントニオ。 はみ出し者の3人がお互いを拠り所にしながら徐々に歯車が狂っていき、最終的にはそれぞれの感情はまるで異なる場所にあるエンディングに辿り着くのはとてももの悲しい。 田舎の保守的な性質への否定やロレンツォの自己表現を容認するべきだという感想に落ち着くのは分かるが、個性を発揮することの危うさを私は感じた。 誰に譲ることもなく個性を発揮するのであれば、個性はぶつかり合い、傷つけ合い、ただの存在を主張するための椅子取りゲームでしかなくなるのではないかと思う。 ブルーは「誰かがもう少し勇気を出していれば」と述懐しているが、私には「誰かがもう少し相手へ配慮していれば」と感じた。 アントニオはロレンツォのことが好きだと焚きつけたブルー。 アントニオの気持ちを確かめることもしなかったロレンツォ。 ロレンツォがゲイであることを知っていながら一線を引かなかったアントニオ。 それぞれに失敗があったと思う。 最後のシーン、「こうであったら」という理想が描かれているようだが、あの場面に至ってもアントニオの気持ちは無視されていて、どうしようもない気持ちになった。
タイトルなし
誰かを好きになるって、本当は単純で素晴らしく素敵なことであるはずなのに、その時属する環境とか年齢年代で抱えきれないほどの難しいことや重荷になったりする。 エンディングの別の可能性を見せられるからこそ、余計に切なくて悲しくなってしまう。 思春期って特別で、だからそこ仲良くなった3人。そしてだからこそ起こった悲劇。 何が正しいも悪いもない(女の子の、みんなの憧れの素敵な彼氏&友達は最低)、だから余計につらい。
やり過ぎ感はあるが
全般的に「やり過ぎ」感を感じるのは日本人だから? イタリアの文化がわからない。でも、世界中でマイノリティへのいじめは少なからずあるんだなぁ、と。 はっきりカミングアウトはしていないが、それを否定もせず、堂々と明るく生きるロレンツォには好感しかなかった。笑顔が素敵。 ブルーがようやく昔の傷を乗り越え用と行動を起こしたところへの悲劇。 アントニオも苦しんでいだと思うけど。 あれだけ三密で、お互いの気持ちや悩みを打ち明けたりしてなかったのが不思議。 楽しいことだけを考えていたということか。深いところまで踏み込んでいなかったのか? 踏み込んでいたら、もっと違った道があったと思うが。ラストのように。 余談だが、色使いが綺麗。オシャレなものもたくさん。イタリアはいいなぁ。
美しい
冒頭は、シーンの切り替えが速かったり明るい曲とシリアスなシーンの高低差が激しすぎて、何を感じればいいのかよくわからなかった。
だけど、見終わってから全てのシーンがすごく意味のあるものだったんだって府に落ちた。
最後に向けての積み重ねだったのかなって。
10代は、危うさや残酷さが美しく見える唯一の時代だと思う。
最終的にこの映画はそう思える数少ない名作だと自分は感じた。
保守的すぎて驚き
「君の名前で僕を呼んで」が80年代のイタリアとは思えないほどリベラルに描かれていたので、今作に描かれていた時代遅れな偏見にかなり驚かされました。いくらイタリアのカトリックが強いとしても、これじゃアメリカの中西部と変わらないんじゃないかと。しかも舞台は現代だから、余計に絶望的というか。
フィルムは、グザヴィエ・ドランみたいにポップでオシャレでした。
予想外…
なんか思っていた展開とは違ったことになりました。
正直、びっくり。
学校のはみ出し者3人が仲良くなり、その中で恋愛が絡み合って結局…、というストーリーなんだけど、
最近、ゲイを扱った映画を数本見たけど、どれも大枠でハッピーエンドだったので、このエンドは衝撃。
広げられた風呂敷をどう畳むか。友情と恋愛、ゲイセクシャルなど、絡みった要素をどう紐解くかを見るつもりでした。紐解かれるものだと思っていました。
でも、現実はそうはいかないこともありますよね。
映画のラスト、ブルーが2度とこんな悲劇が起きないように、知恵と勇気を持つことが大事だ、とメッセージを発します。
そしてアントニオがロレンツォの誘いをうま~く断り、関係は続けば仲良し幸せエンドだった、のような演出。
果たしてそれは正解なんでしょうか。
アントニオはロレンツォほど、自分を曲げない強さは持っていなかった。二人に影響されて、自分を持つようになったのかもしれないけれど、結局孤独になるのが怖かった。周囲から色眼鏡で見られるのは嫌だった。
どっちが正解ということもないと思う。ロレンツォだってもう少し待てばよかったのかもしれない。
学校は閉鎖的で、そこだけがすべてのように感じられるかもしれない。でも本当は世界はとっても広い。もっと広い世界を舞台にすれば二人の関係も違った展開があったと思う。
あと、親たち。
主人公3人に対して、そのそれぞれの親もまた、それぞれの角度から人間の脆さや強さを表していたように思います。
そして、どの人も完全ではない。みんな不完全です。
これがハリウッド映画とかだと、完全なアンサーを提供して主人公たちを導くガイドのような大人が登場しそうですが、ここにはいない。
だからこそ最後の展開になったのだと思う。
深く考えれば考えるほど、悲しい。
なんで、どうすれば、を考えさせる意味でこのエンディングは正解だったのかもしれません。レビューを書いていて思いました。
予想以上に面白かった
差別的な面に着目するのではなく、思春期の敏感で脆い部分をよく表現してると思います たぶんそれぞれが好きと告白しなかったら、まだ3人の友情は続いてたと思うが、告白出来ずにいるのも苦しむ事になると思います ロレンツォがアントニオにフラれて 母「痛みは時間が忘れさせてくれるわ」 子「時間が忘れさせて…」 母「いや、ちがうの。幸せになるって事よ」 ↑記憶でなので正確ではないと思いますが、この会話のやり取りはグッときました ただ、最後のオチが今一つ物足りなくも感じました
青春時代の心の痛み
誰もが経験している青春時代の心の痛みを上手く表現している。感情のすれ違いで歯車が狂うことはよくあることだと思う。しかし、なぜそれが衝撃シーンにまで至るのか?その心情は理解出来ず。 2018-191
ロレンツォは何にも悪くないし、変わらなくていいのに。
ロレンツォは何にも悪くない。
好きな格好をしていい。
好きになった人に好きって言っていい。
好きな人とキスして浮かれて反芻していい。
うきうきでアントニオを迎えていい。
ガガ様の言う通り''I'm beautiful in my way''が、正しいんだよ。
わたしは誰にも咎められなかったもの。
わたしは無難な格好が好きで、男が好きな女だから、何にも言われなった。
ただ自分だけを持て余すことが出来た。誰の思惑をも無視してただ欲望に正直にいられた。
それがロレンツォにも与えられなきゃいけない。
そうできないなら悪いのはロレンツォじゃない。
ロレンツォを取り囲むものが変わらないといけない。
ブルーがヘイリースタインフェルドと少し前のエマワトソンに似ていた。それもあって「ウォールフラワー」を思い出す映画だった。
ブルーは、彼氏(と言う名のゲス)に4Pの映像を見せられて、怖くて見ないようにしていたけど、これは「わたしが望んだ楽しい4P」じゃなくて「レイプ」だってわかってしまった。辛かったね。ちゃんと大人に話して偉かったね。あなたは何にも悪くないよ。
アントニオはどうしてみんなと馴染めなかったのか。
それは上手く読み取れなかった。
バカだからとは言われてたけど、セリフのみ。
バスケチームからも最初からちょっと浮いてたような。
大元はよくできて人気者の兄が事故死したその喪失感と、兄のようにならねばという呪縛がアントニオの目を曇らせていたのかなぁと思った。
イタリアはカトリックが強いし、田舎のほうは相当前近代的な価値観が残っていそうだから、アントニオは「自分がゲイかもしれない」ってことをちらっとも思ったことがないみたい。
サマーを好きなのはそれはそれでいいし、ロレンツォの思慕を受け入れられなくても仕方がないけど、ロレンツォとのキスを興奮を持って受け止めてしまったことを、アントニオ自信が受け入れられなかったことが、あかんかったよなぁと思う。
いいじゃん、ゲイかどうか曖昧で。
女の子に恋してるけど、男の子とのキスも興奮した。
それっておかしいことかな?
そういうものだ、でいいんじゃないのかな?
でもそうはアントニオは思えなくて、ゲイかもしれない自分が怖くて、その道に引き込もうとしたロレンツォを撃たないとって、お兄ちゃんも嗾すし。
そうして悲劇になった。
悲しい。
アントニオがホモフォビアに怯んだことはもちろん個人の幼稚さの現れだけど、環境が育んだものも大きいのと思う。
ブルーが回想で、悲劇にならなくて済んだかもしれない過去のシーンを提示していたけど、本当にそうであったらと思った。
最近わたしは、自分が本当にヘテロなのかについて考え直している。
自発的に恋をしたのは確かに男だけだけど、10代の頃はふざけてよく女の子にキスをした。
握手のような性的興奮を引き起こさないキスだったけど、心地はよかった。
特段今はしたいと思ってないけど、多分しても嫌じゃない。
それ以上のことをしたとして、嫌悪感はない、多分。
興奮するかはわからないけど、ちっとも興奮しないってことはない気がする。
そして女の裸、特にきれいなおっぱいが好きで、見るとラッキーって思う。
そんなわたしはヘテロではなく、無自覚なバイセクシャルなのかもしれない。
そうだとしてなにが困るだろうと思うようになった。
そしてセクシュアリティの線引きはとてもゆらぎのある曖昧なもので、明日には変わるかもしれないんじゃないかとも。
揺らぐことを前提に自認する、でいいんじゃないのかな。
そうアントニオに言いたい。
【この映画を観る機会を設けてくれた方に感謝。】
ー 表題につきます。 日本の海外映画流通事情(特にイタリア、スペイン、ハンガリーなど)に風穴を開けていただいた方の情熱に感謝です。ー ・薄ーい、パンフも、面白きかな・・。 <2018年8月18日 センチュリーシネマにて鑑賞>
正直に強くあろうとした君に
どこででもあることが重なって衝撃のラストになってしまった。 けれど、あの衝撃のラストがあったからこそロレンツォのひたむきな生き方が際立ってみえた。 人生こうだったらなの繰り返しだ。 だからこそ正直にいられるロレンツォがまぶしい
ワンキス
社会の縮図、学校。抑圧と差別がまかり通る。 本人達は何も悪くないのに学校のはみ出し者になっていた三人が友達になり、時には行き過ぎながらも弾けるように笑いあって日々を過ごす。その映像がすごくいい。 しかし些細なことから三人の関係が少しおかしくなる。でもそんなの大丈夫だろうと、大人は、わたしはそう思いながらみていた。 でも、 無神経にロレンツォをけしかける愛に無知なブルー、アントニオに告白するロレンツォ、冷たく拒絶するアントニオ、謝りに来たアントニオにキスをするロレンツォ、そしてそのキスに激しく答えてしまったアントニオ 自分もLGBTなのではないか、そんな不安を抱き始めたアントニオは‥‥ 若さの持つ一瞬の無神経、残酷、不安。一つのキスが眩しい三人の日々をあっけなく消し去ってしまった。 切ない。 もしもブルーがけしかけなかったら?もしもアントニオに「いつか僕が男を好きになることがあったら真っ先に君の元へいくよ」といえる余裕と知性があったら?そしてもしも門番が遅刻したアントニオを学校にいれなかったら? 一つ一つは些細なこと。でもそれが衝撃的な結果をもたらした。逆に些細なことがギリギリのところで流れを押しとどめることもある。人の世って、特に青春時代はそういうものなのかもしれない。 映画は家族愛の強いイタリアらしくそれぞれの親が真剣に三人と向き合っていた。でも辛い結末になったことに、いまは親である私はいたく傷つきました。 テンポの良い映画であっという間の二時間でした。
女王になれ
想像以上にポップな演出だけど、起きている事は大分重め。
好きな要素は多いけどブレも気になって素直に思い切り楽しむことはできなかったかも。もう少し強く感情移入したかった。
直情型なロレンツォとブルー。
ハジける二人に合わせるように楽しむアントニオのバランスにどこか危ういものも感じつつ、ワイワイやってるハズレ者3人をニヤつきながら観ていたら、あまりにも唐突なラストに呆気に取られたまま終わってしまった。
事の分岐点・救いの道・正しい進み方を明確に観せてくれるけれど、ロレンツォが死んでしまった直後にその映像は、ただただ辛くやりきれなくて憎らしい。
お洒落なファッションに身を包んでニコッと笑うロレンツォが可愛いけど、辛い事があるたびに頭の中で幸せな現実を創り出す姿が切ない。
死んだ兄を側に置いて会話をするアントニオと、歳上彼氏とその友達からの強かんを自らの希望だったと飄々と話すブルーにも共通していた。
私も人生なかなか上手くいかないくて頭の中にもう一つの現実を持っているので、3人のこの部分にはかなり共感してしまったな。
大なり小なりどんな人にも当てはまることだとは思うけど、ハッキリと映像で表現されるとグッと来るものも大きい。
ファッショナブルで開放的で寛容なイメージのイタリアとは思えないくらい、保守的で排他的な学校の生徒と先生にはつくづく腹立たしく思う。
少々行き過ぎな気のするロレンツォの行動も、それを受けてのアントニオの行動も最後の悲劇も、こんな環境じゃなければ・追い詰めるものがなければ…と考えずにはいられなかった。
ただやはりあそこまで3人ベッタリ仲良し!な関係に、強引に恋愛をねじ込むべきではなかったのかもしれないな…何を言ってもタラレバになるし、現にこの映画の元となる事件があるしで答えなんて無いんだけれども。
音楽に合わせて踊り弾ける、ミュージカルモドキ的なシーンが印象的。
ただ、そのひとつひとつが結構長くしかも多用するので若干押し付けがましく感じてしまい間延びしているように思えたのが残念。
大切なイメージシーンではあるけど、もう少しテンポ良く心に響くようなものであって欲しかった。
胸が張り裂けるようなラストだと思うけど、残念ながらそこまで感情移入できず。
納得がいかなくて色々考え込んでしまう作品だった。
その割に言いたい事が多くて支離滅裂な文章になってしまった気がする…
「誰が好きか」を言い合わなければうまく行った友情だった。
「誰が好きか」を言い合わなければ、うまく行ったかも知れない3人の友情。例えば、好きだと言わなければ。あの時、川へ行かなければ。渡そうとしたプレゼントが赤い包装紙でなければ。たった一度キスをしてしまわなければ・・・。ほんの些細な気持ちの行き違いをきっかけにして、ボタンをかけ違えるようにして最悪の結末を引き当ててしまった3人。でも本当は違う。好きだと言ってもよかったし、キスをしても良かった。自分に素直になる勇気があればよかったし、お互いを受け入れる余裕があればよかったし、お互いに向き合うことができればよかったし、上手に断ることが出来れば良かった。そしてそういう社会ならよかった。これはアントニオひとりを責められないなと思う。アントニオがあの時、ロレンツォを拒絶するしか出来なかったのは、マニキュアを塗っただけで停学にしようとする教師がいるからだし、蝶の柄のシャツをオカマのセンスだと笑うクラスメイトがいるから。そしてそういう人間は、学校の外にもたくさんいるのだから。
アントニオとロレンツォの隣に寄り添う少女ブルーの抱える悲劇もまた物語に深みを加える。そしてアントニオにも悲劇はある。3人とも、強がって意気がっているが、それぞれに少しずつ弱くて、その弱さが大きな悲劇を呼び込んでしまった。
前半は、さながら名作「ウォールフラワー」を思わせるような、エッジの効いたシャープな青春映画のように思う。はみ出し者3人が築き上げた友情と、現代的なセンスで輝く鮮やかな青春。こんなに眩しくて生き生きした青春映画なのに、その結末は痛くて悲しくてやりきれない。ヘイトクライムだと切り捨てられないアントニオの葛藤が理解できるから尚更苦しい。
この映画には元になった実際の事件があるという。10代の少年では抱えきれなかった秘密が、こんな結果を招いてしまったこと。本当にやりきれないが、実際の事件はもっと残酷だったかもしれない(あえて検索はしないでおく)。もしかしたら、本当にヘイトクライムだったのかもしれない。同性愛に限らず、事件にならないだけで日々マイノリティを傷つける出来事は起きているのだと改めて気づかされる。
「今はそういう気分じゃないんだ」と丁寧に告げることができた後の、無邪気に川遊びをする幻の3人の姿を見ていたら本当に切なくてたまらなかった。失わなくて済んだはずの命と、犯さなくてよかったはずの罪。一度のキスが引き金になったように、一度響いた銃声は取り戻せない。本当にやりきれない物語だった。とてもやりきれないけど、とてもいい映画だった。
素晴らしかった!
こういう青春映画を待っていました! 大好き!音楽もおしゃれも遊び心もエンディングもすごく良い! 俳優たちの魅力もたまりませんでした! 内側からふくらんで、パンパンになってはじける映画!
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