劇場公開日 2018年3月17日

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「【”入って来て人生と叫び、出て行って死と叫ぶ。”老いた気難しい男が、毎日元気に過ごしていたのに、ある日突然気を失った事で少しづつ”死とは何か”を考える劇シブ映画。】」ラッキー(2017) NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【”入って来て人生と叫び、出て行って死と叫ぶ。”老いた気難しい男が、毎日元気に過ごしていたのに、ある日突然気を失った事で少しづつ”死とは何か”を考える劇シブ映画。】

2025年5月6日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

知的

難しい

■神など信じずに生きてきた90歳のラッキー(ハリー・ディーン・スタントン)。彼は毎日、ヨガをし、テンガロンハットをかぶり、行きつけのダイナーに出かける。
 ある朝、目覚まし時計の赤い文字盤を見ているうちに突然気を失ったラッキーは、人生の終わりが近づいていることを思い知らされ、初めて“死とは何か”を考えるのである。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・主人公のラッキーを演じたハリー・ディーン・スタントンの姿が、何だか格好が良い。ハッキリ言って歩き方にも老いが感じられるが、自分の生き方を曲げない姿が格好良いのである。タバコをスパスパと吸うし、愛想がないし、媚びへつらない。

・現実主義者、唯物論者として描かれる彼が、一度気を失った事で、徐々に”死とは何か”を考えていく様も何とも激渋なのである。

・印象的なシーンは幾つかあるが、まずは、友人のハワード(デヴィッド・リンチ)が買っていた100歳の亀が逃げ出した事に対する、行きつけのダイナーに集う人たちの言葉であろう。
 このシーンは、いかようにも解釈できるが、ラッキーが”死”について考えるきっかけになっている。

・更に、ダイナーでコーヒーを飲んでいた元海兵隊の男が、地獄の様な沖縄戦で出会った日本人の娘の輝く様な笑顔について語るシーンである。
 ”彼らは仏教徒だから・・。”と交わされる会話。

<今作の、本当の深みや意味が分かるには、あと、30年から40年ほど生きないと分からないだろうなあ、と思った作品。
 けれども、この作品の老いた名優ハリー・ディーン・スタントンの姿は、格好良かったなあ。好みの作品である。>

NOBU
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