「日本の社会では想像もできない少年の絶望は救われることはあるのか?」荒野にて はるさんの映画レビュー(感想・評価)
日本の社会では想像もできない少年の絶望は救われることはあるのか?
この映画を観ながら幾度となく目を閉じた。涙など滲ませる隙さえ与えてはくれない。心に突き刺さる言葉や映像に瞼を固く閉ざしたりした。
正直な話、次のシーンで爽やかな風が吹き抜けるだろうと期待に胸を膨らませても裏切られてばかり・・・・。いったいこの映画はいつどんな形でエンドマーク描き出すんだ!と叫びたくなった。しかし、観るに堪えられない。そんな流暢な状態ではない。人の不幸は蜜の味なんて言葉を投げかける奴など何処を探してもいない。
それほどなんだ。生きるということは厳しいのだ。思いやりや同情や憐れみ、そして暴力も必要なのだ。
「ふたつよいことさてないものよ」なのだ。悪いことばかりは続きはしないのだから・・・。
だからこそ日々の暮らしが良いこと、楽しいことで埋め尽くされていて、それが普通の日常などと間違っても思い込んではいけない。16歳の少年ですら希望さえ捨てきって目の前に広がる荒野を前へと歩いたのだ。これまでに体感した反吐が出るほどの出来事にどんな風に対処したかをその小さな胸に痛みを抱えながら歩き続けたのだ。
自分の不幸を嘆いてばかりで、誰かに頼ることのみを考えてばかりいては、豊かな人生は歩けないのだ。この少年の歩き続けた荒野は私の荒野でもあるのだ。
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