「抱きしめたくなる一本」荒野にて 奥嶋ひろまささんの映画レビュー(感想・評価)
抱きしめたくなる一本
素晴らしかった。
荒野とは彼が旅した軌跡でもあり、
彼の心の中でもあった。
てっきり馬に乗って旅するロードムービーかと思ったけど
そうではなかった。
ロードムービーといえば1人で旅し色んな出会いや別れを
経験すると言うのが定石かと思うが、
馬を連れて旅すると言うのが斬新だった。
では、馬は何の意味があったのかと考えると、
18歳の小さな体と小さな心でたくさんの思いを抱えて
それを吐き出せる唯一の対象だったと思う。
彼と馬の絆、馬がどれだけ安心感を与えてたかと思うと
後半は俺で良ければ一緒に歩こうか?と言いたくなるほど
切なかった。
10代なりに一生懸命考えての行動だったけど、
実に浅はかで行き当たりばったりで見てられない展開は
犬を連れて家出した自分と重なるところがあり、
とても感情移入出来た。
犯罪も重ねるけど、どん底の状況があり
アメリカ社会の現実も見る事が出来た。
少年の目にはどう映ったのだろう?
荒野を歩く、引きの綺麗なショットとだだっ広い荒野は
彼の美しい魂と虚しさを見てるようでもあった。
素晴らしいロードムービーだった。
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