スリー・ビルボードのレビュー・感想・評価
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複雑に絡み合った糸がスッと解けるような作品。
「スリー・ビルボード」字幕版で鑑賞。
*概要*
米ミズーリ州の片田舎の町で、何者かに娘を殺された主婦のミルドレッドが、犯人を逮捕できない警察に業を煮やし、解決しない事件への抗議のために町はずれに巨大な広告看板を設置する。それを快く思わない警察や住民とミルドレッドの間には埋まらない溝が生まれ、いさかいが絶えなくなる。そして事態は思わぬ方向へと転がっていく。
*主演*
フランシス・マクドーマンド
*感想*
ホントは見る予定ではなかったのですが、評判が良かったので、鑑賞。先に言っときます…
めちゃめちゃ面白かった!!!\(^^)/
激しい怒りや悲しみ、笑いといった様々な感情という糸が絡み合い、最後はスッと解ける映画。
主人公のミルドレッドの母ちゃんは、娘が何者かによって殺され、一向に解決しない警察に対して、警察への非難のメッセージが記された広告看板を建てて、それに携わった人々の人生が変わってしまうという物語。
映画はたまにですが、退屈なシーンがあると、目を少し逸らしてしまうんですが、この映画は全然違ってまして、冒頭~最後まで僕は、目が釘付けになりました。何がそこまで良かったかと申しますと、脚本とキャストが完璧過ぎるんです。
まず、脚本についてですが、まぁ~上記で記した通りですが、ミルドレッドの母ちゃん、町の人々から尊敬されている警察署長、そして、マザコンのクズ警官の主要三人のそれぞれの関係者があの広告看板によって、人生がだんだん変わる模様の描き方が非常に上手い。監督が天才過ぎ。あと、キャストそれぞれ良かったのですが、一番印象的なのが、ディクソン(サム・ロックウェル)です。マザコンでクズ保安官ですが、最初はサイコ野郎と思ってたと思ったら中盤~終盤辺りから印象が変わるんです。逆にミルドレッドは、最初は同情してたんですが、彼女の怒り、暴言、暴力といった行為がかなりエスカレートしていくので、町の人々は同情が失せます。あと、町の人々から慕われてる警察署長もある意味印象が変わりました。。
それぞれの登場人物の第一印象がコロコロ変わるし、その感情という名の糸が複雑に絡み合い、最後はスッと解ける感じが衝撃的でした。
少し、変な文章になってしまいましたが、それぐらいのダメージを受けましたw
最後には賛否両論だと思いますが、僕はあれで良いと思います。逆にね(笑)
総じて、期待以上でした!めちゃめちゃ面白かった!ミルドレッドの母ちゃん、ウィロビー署長、ディクソン保安官、登場人物達が個性的ばかりだし、上手く説明出来ないのですが、怒りや悲しみ、笑いの感情が交錯する強烈な映画でした!
観て良かったです!
久々、さわやか
内容はダークのはずなのに見終わった後、「うん、それでいいんだ」と。うなずきたくなる。其までの苦しみを十分共感してるから。兎に角キャストが完璧!久々だわ、映画っていいな〰️!と思えた作品。人は変われるし、前へ進めるんだ。
日本人には賛否両論か
母親の気持ちはわかる、私も子供亡くしているから
でもそこまでするかー
署長の気持ちはわかる、父も病気と妹の死を苦しんでで自殺したから
でも家族と最後まで戦わないかー
はみ出し署員はそこまでするかー、差別は激しいしすぐかっとなる
全部自分の気持ちだけで動いてるんだよなー
それがアメリカだと言ってしまえばそれだけなのだが
全キャストの好演があって成り立つ
様々なコンペで受賞あるいはノミネートされていて、ずっと気になっていた作品だったので鑑賞。イイ意味で予想を完璧に裏切られた。
ストーリーはレイプ殺人事件の被害者の母親とその事件をほったらかしにしている警察の争いを描いたもの。
まず、脚本は完璧だったように思える。悲劇が連鎖的に起こりながらも、展開は読めず、鑑賞しながらも何か新鮮さを感じた。テーマが人種差別やマイノリティと重いものの、全体として一貫性があって、理解もしやすく鑑賞していて飽きることもない。
脚本が良いことに加え、キャスト全員の演技が完璧であった。フランシス・マクドーマンドの演技はもちろん、ウディ・ハレルソン、サム・ロックウェルの演技も非常に良かった。物語を通しての各キャラクターの感情の変化が彼らの演技を通して伝わってくる。特にフランシス・マクドーマンドの表情の演技が涙を誘うシーンが多々あった。
全体を通して、非の打ち所が無いといった印象を持った。ある一つの事件を各キャラクターの視点から深く掘り下げつつ、社会風刺的な映画になっているところに好感を持てる。
連鎖的な事件性に加え、各キャラの感情の兼ね合い、折り合いを鑑賞することで人間の普遍的な問題を考えざるを得ない。映画として色々な要素が詰まった傑作だと思った。
見応え十分
人間味ある作品で真っ赤な広告から始まる物語に引き込まれた。見応え十分で最後の最後まで目が離せない。また、人間の勝手な思い込みによる行動が周囲の人間を巻き込んで人生を変えてしまう愚かさも同時に感じた。
2018-25
スリー・ビルボード
2018年11本目の劇場鑑賞。
フランシス・マクドーマンドが娘を殺された母親の怒りと悲しみを体現して絶賛された衝撃のサスペンス・ドラマ。
アメリカの田舎町を舞台に、
主人公がいつまでも犯人を捕まえられない警察に怒りの看板広告を掲げたことをきっかけに、
町の住人それぞれが抱える怒りや葛藤が剥き出しになっていくさまを、
ダークなユーモアを織り交ぜつつ、
予測不能のストーリー展開でスリリングに描き出す。
本作は「第90回アカデミー賞」ノミネーションにて、
作品賞含む6部門7賞にノミネートした作品。
ミズーリ州にある架空の田舎町エビングを舞台に、
3つの広告看板から端を発する物語。
本作はいわゆるボタンの掛け違いが延々と起き続ける作品で、
ストーリー展開の予測が難しくなっていきます。
予測不可能な面白さもありますが、
キャストも良かった。
ディクソン演じるサム・ロックウェルが、
もうどうしようもないくらいアホで、
暴力的で無能なんですが、
最初と最後で印象がガラリと変わる。
最後の最後まで油断できない映画でした。
オレンジジュースをどうぞ。
人類の「ビルボード」としての普遍的作品
「業」の連鎖を断ち切る「愛」は「希望」をもたらす。
それは思いやりという言葉にするとあまりにチープだが、我々人間にとって、普遍的に重要なことである。それは、復讐や人種差別をはじめとする排他的思考は何も生まないことをいう。
我々の社会をとりまいているのは唯「業」の連鎖に過ぎないのではないか。その無意味な連鎖が我々の進歩を妨げているのではないだろうか。そんなことは、何百年も昔から知っているというのに。
今更思いやりという言葉を口にしたところで我々の耳には届かない。それは使い古されくたびれてチープになりすぎた。しかしそれは自らの重みを失うにはあまりに重大すぎた。
我々は「赦す」ことによって、新たな「希望」を得る。
この希望は、我々人類の進むべき道を示す「Billboard」だ。
マイノリティに焦点が当てられ、認知されるようになった昨今、それらをさらに包含する作品が『スリー・ビルボード』だ。素晴らしく魅力的なキャストで構成される本作は、間違いなく今年の重要作である。
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(追記)
「赦し」と言う深淵なテーマが宗教と全く繋がらない作品という点も個人的には面白いと思う。確かにこれは宗教という枠組みを超えた、人類普遍の概念であるからだろう。これほど大きな普遍のテーマに挑んだ監督がアカデミーにノミネートされなかったのは疑問でしかない。
この作品を方向付ける3人の「ビルボード」は言うまでもないが、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ(『Get Out』他)やルーカス・ヘッジズなど、徐々に活躍が期待される実力派ぞろいである。
スリービルボード
予告も何も見ず時間が空いたので鑑賞。スリービルボードって、まんまの意味だったんですね。
かなりシビアな内容のドラマに、いろんな伏線が張られてて、でも登場人物の内面がしっかり描かれていました。喜怒哀楽もあり。脚本すごかったなー。これだけの内容の話を、よくこの時間に納められたなって思いました。全員が予想を超える行動をしてくるので、次のシーンの検討が全く付かない!最後の最後まで、伏線を張りっぱなしでしたが、見終わってからもずっとこの映画のことを考えていました。こんなに長く、引きずられたのは初めてかも…。
好きな人はかなり好きなストーリーだと思います。今晩も、余韻に浸ります。
暗いけど観応え充分な映画です
腑に落ちないオチを良しとするかしないかは別れる作品だと思います。
自分は前者でした。
殺人事件の被害者の母親が掲出した3つの屋外看板から始まるストーリー。
主要の三人の三角関係がしっかりしてるだけでなく、時間が経つにつれてそれぞれの感情の揺れ、葛藤が描かれている。
そしてその三角関係だけにとどまらず、他の登場人物との色々な三角関係が見られるのが面白い。
主人公と殺された娘と残された弟、主人公と広告を提供した人と部下の警官、主人公と署長夫妻。。。
人物相関図は複雑だけど、一つ一つ丁寧に映し出しているので劇中に「?」と思うのはほとんどない。
楽しかったとか面白かったという感想の映画ではないです。凄い映画という感想でした。
人が絡み人が解れる
久々に良い邦題でしたね。
とある事件に引っ張られ、縺れて縺れて絡み合い、イライラと気持ち悪さがマックスになりかけた所での事件。そこから連鎖する事件。ひとつひとつが衝動的ながら絶妙に干渉していて痺れる。そんな痺れた観客を置き去りにほどけていく様は、お見事!のひとこと。
そしてラスト。人によるだろうけれど個人的には大好きでした。
エンドロールの時点でじわーっと涙が溢れたのは久々。
なんでか見終わった後余韻がすごい。
個人的にたまにある良い映画なんだけど1回目だけだとよくわかんないというわけでもなく、このようなストーリーの割にはわかりやすい内容だったと思います。
最後も全くこの後が想像できないというより、自分で想像できるのもだったのでアリかなーって思います。
見てる時も見終わった後もなにか満たされてる感があってとても満足です。
アメリカンニューシネマの趣
「シガニー・ウィーバー、顔変わった?」
ヒロインを演じたフランシス・マクドーマンドを知らなかった…。映画の広告にあるビジュアルを見て、鑑賞前はそんな勘違いをしていた。
マクドーマンドがオスカーを受けた「フォーゴ」もレンタルビデオで借りたものの、飛ばし見しただけで見た記憶も薄かったから…。
それはさておき、今年に入って初めて他人にも勧めたいと思う作品である。
米南部の田舎町で、娘をレイプの果てに焼き殺された母親が起こす行動と騒動がテーマ。
ただの復讐劇ではなく、随所に笑いがちりばめられ、真犯人に迫ろうとする(あくまでにおわすだけだが)ミステリータッチ、そして、子を失った親の心情など、随所に監督の映画的ヒネリが見られて印象深い。
話は事件そのものの謎解きや、警察官の操作法などが織り交ぜられ、単純ではない。どちらかというと複雑かもしれない。しかし考え込む必要はない。
陰鬱になってきそうになると、ふっと力を抜いたような笑いがいいタイミングでわき上がるのである。そこが魅力。
鑑賞後、820円のパンフを買うと、載っていた町山智浩の解説で、登場人物が劇中に読んでいた小説が、本作を見る前に僕も読んでいた米作家、フラナリー・オコナーの「善人はなかなかいない」であるのを知って驚いた。
オコナーが描く、残酷なのに乾いたユーモアがこの映画にも通じるなあ、と映画を見ながら感じていただけに、それがドンピシャだったのである。
結末がはっきりしないことに、娯楽作しか理解できない鑑賞者は不満かもしれない。
しかし、全体から醸し出される、1960年代末のアメリカンニューシネマの趣は捨てがたい。
オレンジジュース
7ヵ月前に娘をレイプされ焼き殺された女性が、町外れの道路沿いに何故犯人が捕まらないのかと警察に問いかける看板を掲げたことから起こる話。
警察署長に直接的な怨みがあるわけではないが、真摯に事件に向き合っているとは到底思えない署員達の行動と、犯人が捕まるどころか何も情報を得られないことに業を煮やした女性が奮起する。
やり過ぎな感じや同情できない振る舞いも多々あるし、それまでのことを考えると転換点があまりにもあっさりだったりはあるものの、事件に対する救われなさとプライドと関心等々、モヤモヤと温かさの入り混じった感情が残った。
事件に対するストーリーとしては、すっきりはしないかも知れないけれど、ここからどう展開しても安っぽくなる部分が生まれるだろうし、個人的にはこの終わり方は絶妙じゃないかと感じた。
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