「否定された容疑者に、米国の大きな闇を感じたが…」スリー・ビルボード KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)
否定された容疑者に、米国の大きな闇を感じたが…
米国社会の病巣とそこからの脱却への期待を
描いた見事な作品だった。
お互い正義を振りかざして、他人を傷付ける
ことに無感覚な行動を繰り返す、
負の連鎖が果てしなく続く展開。
それも、次々と思いがけない方向に進む
ストーリーには大変驚かされた。
それでも、自殺した署長からの
ミルドレッドとディクソン巡査への手紙や、
その巡査が痛め付けた広告代理店経営者の
病院での対応、
また元夫の恋人の言葉などから、
殺伐とした状況が徐々に雰囲気を変え、
徐々に赦しと和解につながり、
終盤では、敵対していたはずの二人が
力を合わせる展開も想像を超えるばかり。
しかし、殺人事件の真相に絡み、
新署長の、疑惑の男についての
ディクソン元巡査に対する報告は、
何か謎めいた疑惑を感じさせるものがあり、
娘を殺した犯人はこの男ではないと
否定はするものの、
実は、公正な人物に見える新署長でさえ
大きな闇の一部であり、
そこに米国の抱える大きな負の面を示唆して
いるようにも見える。
そして、最終シーンの先に何が起こるのか、
二人は犯罪者になる覚悟で
家族に別れを告げて出発したが、
疑惑の男を殺害するかしないかの
描かなかった結末は観客に解釈を託した。
しかし、二人は負の連鎖を断ち切る、
と国民には想像して欲しいとの監督の叫びが
聞こえてくるようなエンディングと、
私には思えた。
私には希望の映画に見えました。
ラストシーンは賛否両論あったようですが、私にとっては、とてもよかったです。
ジュースのシーンとラストシーン。一番好きだったシーンです。
SMAPの「トライアングル」を思い出しました。負の連鎖を打ち切ることは、言葉では簡単ですが、実際には心情的にも難しいものでしょう。
だからこそ、このラストが希望のラストに見えたのだと思います。
お邪魔致します。
公正な人物に見える新署長の言葉、
たしかに歯切れが悪かったですし、額面通りに受け取れない・・・
そんな印象を受けました。
それにしても優れた脚本でしたね。
マクドーマンド、サム・ロックウェル、ウディ・ハレルソン、
素晴らしかったですね。
今晩は
こちらこそ、よろしくお願いいたします。
この映画サイトは、最近荒れていますが、そもそもは映画好きの方々の喧々諤々の、けれど相手を誹謗中傷する場ではないと思ったので、私は2年前から、それまで鑑賞履歴を記録するだけだったスタンスから、レビューを投稿するようになりました。
私が言うのも憚られますが、今サイトには知性、理性、及び各方面に通暁した素晴らしき諸先輩が多数いらっしゃいますよね。
私は、インスタ・・、とか一切やっていませんが、この映画サイトで、時折コメントを遣り取りさせていただいている方々からは、様々な事を学ばせて頂いていますよ。では、又。
今晩は
私は、解釈を観る側に委ねる映画が好きでして・・。鑑賞後も、余韻が残る気がするからです。
”描かなかった結末は観客に解釈を託した・・”
様々な事を鑑賞側に考えさせる、奥深い映画だと思いました。