「母の強さ。そして母の弱さ。」スリー・ビルボード といぼさんの映画レビュー(感想・評価)
母の強さ。そして母の弱さ。
事前知識が全く無い状態で鑑賞しました。タイトルだけ聞いたことがあったので、レンタルDVDの棚にあったのを見かけて借りてみました。
結論から言うと、非常に楽しめました。映画の序盤だけを見ると「娘を殺された母親の復讐劇かな」と思ってしまいそうですが、よくあるリベンジものの映画とは異なり、復讐は達成されないまま映画が終わります。でも、これ以上は無いくらい綺麗で爽快感のあるエンディングです。私は大好きです。
・・・あらすじ・・・・・・・・・・・・・・・・・
アメリカ・ミズーリ州の人気の無い田舎道で凄惨な少女殺人事件が発生する。事件から7ヶ月経過しても一向に解決の兆しを見せない捜査に抗議するため、少女の母親であるミルドレッドは町外れに警察署長を批難する三枚の広告看板を設置した。地元警察や地元住民はこれを快く思わず、ミルドレッドとの間には深い溝が生まれてしまう。そしてこの三枚の広告看板をきっかけに、事件は思わぬ方向に動いていくのだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
娘を殺した犯人を突き止めたい、母親。
自分たちを批判する看板を撤去させたい警察官。
姉の死を思い出したくも無い弟。
事件解決の証拠が無くもどかしさを感じる警察署長。
娘の死についてミルドレッドを責める元亭主。
様々な人のそれぞれの思惑が交錯し、物語は思わぬ方向へ転がっていきます。
それぞれのキャラクターの考え方や会話がとにかく素晴らしく、アメリカ的な軽妙な会話シーンも楽しいですし、シリアスで重いシーンも引き込まれるような魅力があります。