「怒りと憎しみだけじゃない」スリー・ビルボード　yukarinさんの映画レビュー（感想・評価）

普通は主人公に共感出来る、そちら側の視点で観ることが出来るものが多い気がするのだけれど、これは決してそういうことが起きない
それに登場人物たちそれぞれに欠陥みたいなものがある
物語を観る者をどこに連れて行くのだろうと疑問に感じるほどの始まり
でも、とある時点で起きる出来事、現れる手紙が流れを変えていく
それは劇的な何かが起きて急速に、というものではない
けれど、確かに何かが変わっていく
憎しみや怒りや負の感情に満ち、連鎖する中に、確実に善いものが見え隠れするような
決して明るい内容ではないし、救いや赦しに満ちた内容でもないのに、不思議と見終わったあとに穏やかな何かが残る

各賞にノミネートされたり、受賞した理由がよくわかる秀作