「犯人について」スリー・ビルボード rakoponさんの映画レビュー(感想・評価)
犯人について
やっぱり私は犯人はバーで事件の自慢話をしていた男だと思う。
じゃないとあいつがミルドレッドの店に来た説明がつかない。
これは他の人のレビューや考察も踏まえた上でだけど、一見善に見えたマイノリティの黒人の所長が、犯人が軍関係者という理由で真相を揉み消した。
この映画は人間の多面性を描いている。
被害者の母であるミルドレッド自身、良い母親であったとは思えないし、彼女の行動は一線を超えていて、善とは言いがたい。
ディクソン巡査がレイシストであることは事実だが、後半は善き人格へと変わっていく。
そしてウィロビー署長が自殺した理由。
私は最初、手紙の通りに受け取っていた。
しかし、彼がスリー・ビルボードにわざわざ出資したのには若干の違和感が残る。
本当に愛する家族に看病の迷惑をかけたくないという理由だけで自殺したのであれば、残された家族のためにもお金はなるべく多く残しておくべきではないだろうか。
ブラックユーモアで5,000ドルもの大金を出資するだろうか?
やはりウィロビー署長も犯人が分かった上であえて隠蔽していたことに、罪の意識を感じていたのではないだろうか。
そうであればウィロビー署長も、家族や仕事仲間には善き面をみせていたが、やはり悪である。
マイノリティに光を当てる必要があるということに変わりはない。
しかし実際人間はもっと複雑で、黒人が被害者で白人が加害者、被害者は同情され、加害者は迫害されるべき、などという単純な二元論で語ることはできない。
私はこの映画から、そんなメッセージを受け取った。