「優しさとは…」スリー・ビルボード amerainさんの映画レビュー(感想・評価)
優しさとは…
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もしミズーリ州に住む第三者としてこの事件を概観するとしたら、やはり3枚の広告は立てるべきものではなかった、そう思うのだろう。この母の怒りを発端とした出来事が、次々に二次災害を生んでいったように思えてしまう。結果だけをみると、大変登場人物それぞれが惨めな状態に陥ってしまったようだ。
しかし終わり方を含め、思い起こされるシーンの一つ一つは大変美しい。自分を重傷にした加害者に差し出すジュース 自分が大切に思うものへの手紙、犯人を突き止めるために奔走する元警官。
それらは、(宗教ちっくな響きだが)自分への見返りを求めない他者への優しさに満ちた行為だ。そういった行動が、怒れる登場人物たちの考え方をじわりと変えていったように思えた。対照的に描かれる、怒りを発端とする暴力的な行動は、全て人を不幸に陥れてしまっている。
大切なのは慈悲の心なのだ、とラストのシーンに語りかけられた気がした。それを思えば、賛否は両論だろうが、3枚の看板は立てる必要などなかったのかもしれない。
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