「良作」スリー・ビルボード tattooyeahさんの映画レビュー(感想・評価)
良作
脚本、魅せ方、キャラクターの立たせ方などどれもレベルが高い。
色々な感情が込み上げる、色々な事を考えさせるという面ではいい作品。
ただ、改めてアングロサクソンと日本人とは似て非なるものだという事を感じた。
通常の日本人が、署長の主人公を思いやる手紙やディクソン元刑事が体を張ってまで手に入れた証拠や正義感などに触れた場合、その事に感謝し、色んな紆余曲折はあるだろうが(場合によっては何十年も掛かるかもしれないが)、最終的には「罪を憎んで人を憎まず」に行き着くのではないだろうか。
最終的に犯人を殺しに行こうとするシーンはかなり異質なものを感じた。
署長もあれだけいいハートと正義感を持った人なのに、なぜ主人公が広告を出す前にもっと捜査説明なりケアなりをしてあげられなかったのか。
あと、この映画と実際のアメリカの社会がどこまでリンクしてるのかは分からないが、実社会と全く浮世離れしたストーリーであるなら本国でもこんなに人気は出ないだろうから、ある程度アメリカの(田舎の)社会を反映した映画だと仮定する。
だとすると、自分たちの国で起きた残忍な犯罪の犯人のアリバイを軍がどうにでも操作できるという社会も話半分ではないという事になる。
(比較的正義感が強いと思われる)警察署の署長でも触れようともしない大きな組織に牛耳られてる国って、民主主義が聞いて呆れるし、我々の隣国と大差ないのではないか(残忍さでいうと遥かに凌駕してるが)。
本国でもそうなのだから、沖縄で犯した犯罪をもみ消すくらい何とも思っていないんだろうし、それを正す事の重要性も大して感じてないのではないか。
ある意味恐ろしい映画だが、そんな事まで考えさせるという意味では自分にとっては考え深い映画だった。