「映像とセリフによる表現方法の可能性」スリー・ビルボード osanさんの映画レビュー(感想・評価)
映像とセリフによる表現方法の可能性
よくよく振り返ると登場人物は限られている。その割に表現に多様性があるのは、脚本がよくできているからかもしれない。
ストーリー展開がすごいという前評判を意識していたが、ストーリー展開を重視しているというよりも、映像とその切り替え、セリフ展開、会話の展開を重視しているという印象を受けた。そういう意味で、この映画は、巷でいわれるほどのストーリー映画ではなく、むしろいまのアメリカ社会の問題に対して人間の内面の側面から踏み込もうとした映画であり、また一つの新しい表現の形なんだと思う。
心が揺さぶられるというのではなく、心に打撃を与える種類の映画。
この映画の感想はとても難しい。批評はできても、感想となると難しい。
しいていえば、良い映画。多くの感想が浮かばない。そうなるのは、この映画が、社会性という論点を言葉やフォーマットではなく、心・感性で表現しようとしているからなんだろう。
こういうふうに論点を飲み込んで、こういうふうに映像とセリフで表現していくスタイルの映画はそうそうあるもんじゃないような。
この監督のこれからの映画づくりが楽しみだ。
コメントする