「本当の犯人は誰か」スリー・ビルボード riorioさんの映画レビュー(感想・評価)
本当の犯人は誰か
見終わって腑に落ちなかったことが2点。癌の白人所長はなぜ自殺したのか?
それと、レイプの容疑者はなぜ捕まるリスクも辞さずにのこのことミルドレッドの店に現れることができたのか?
個人的な見解は、やはり容疑者は犯人だったんだと思う。ただ、軍関係者だったことから軍の圧力により真実を揉み消されていたのではないか?
そして、自殺した白人所長もその事をもともと分かっていたし、だからこそ自身の良心との葛藤の中で自殺したのだろう。
一方で、レイシストの巣窟だった警察署に正義の象徴として現れたアラントゥーサン似の黒人所長が、容疑者が犯人だと知ったにもかかわらず、暗黙の了解として易々と軍や警察上層部の圧力に屈して隠蔽に加担したのであれば、「誰もが正義であり悪である」といった本作品を貫くテーマに一層の深みを与えるだろう。
ストーリーだけじゃなく、シリアスさと笑いのバランス、開始3分で魅了された映像美と音楽も素晴らしかった。
追記: 自殺を覚悟していた白人所長が「警察嫌いの友人」と書かれたメモと一緒に広告の更新料5000ドルを広告会社へ送ったのはなぜか?もし犯人逮捕を軍の圧力によって妨げられていたのであれば、所長の死後も「娘はレイプされて焼き殺されたのに未だに犯人が捕まらない、どうしてウィロビー署長?」と書かれた看板は、自ずと軍や警察の隠蔽体質に対する皮肉なメッセージになるからではなかったか?
https://wezz-y.com/archives/32213/2
なるほど。新しい所長は黒人でありながらそこまでの地位を得たわけだから、清濁飲み込む術は持っていそうですね。
ラスト、二人で出発した彼らが 本当はそこまで覚悟も出来てなくて、感情に突き動かされての行動である、といった構成が私は割と好きでした。
事によってはやる時はやるよ、という二人でもありますしね。
容疑者(犯人)が主人公の店に喧嘩腰で現れたのは、公に宣伝された看板を知った犯人が自身への挑戦、と捉えたからと思います。「砂っぽい」イラク戦争でPTSDを抱えてしまってたら、そんな思考回路が発現してもおかしくはないかと。警察と軍は連携してるし、看板の署長への批判=犯人への批判、的な。