「人はチェスの駒のようには動かない」スリー・ビルボード ヘルスポーンさんの映画レビュー(感想・評価)
人はチェスの駒のようには動かない
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重いテーマだが、ところどころに挟まれるおバカな展開(キャラクター描写)に思わず笑ってしまう。
ピリピリと張り詰めた緊張感が続くが最後にはフッと肩の力が抜けるのでご安心を。
人によっては「ん!?これで終わり?」となってしまうが、あの先を描くことはこの映画の目的ではないのでしょう。
署長があのビルボードがチェスのように人を動かし始めたという。
主人公は神様(チェスをプレイする人間)のように、止まっている人を動かそうとするが、中々思い通りに動かない。それどころか、あの人は実はこういう人で、こう動くのだと自分の勝手な思い込みを知るのである。
何だかんだ人って喧嘩したり、互いに恨んだりするけど、優しくすることも簡単だし、それだけでさっきまで怒ってたことがバカらしくなる。
優しさは優しさを生み、怒りは怒りを生む。ラストは神の鉄槌を下すべくあの悪い奴を裁きに行くと見せかけるが、やはり2人は人間であった。そんなことはもういいんだ。ようやく肩の力が抜ける。穏やかに終わる。
良質な人間ドラマを見た。
ディクソンが向かいのビルの広告マンの兄ちゃんを窓から落として、また警察署に戻るワンショットシーンは臨場感バツグン。こういったさり気ない職人技が光る作品でした。
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