「人間の内面、外面、表と裏」スリー・ビルボード ジョーカーさんの映画レビュー(感想・評価)
人間の内面、外面、表と裏
試写会にて。ゴールデングローブ賞作品賞を受賞しており、アカデミー賞では6部門7ノミネートを果たした、作品賞最有力の作品賞。ということですが、やはり作品賞は人種差別だったり同性愛に関するものだったりといった作品が多いよな…などと考えながら見に行きました。
まず、映画そのものの破壊力がすごい!といってもその破壊力が謎感なんです。これほどまでに先が読めない展開の映画ははじめてかもしれない。あらすじを見て、あぁーこういう話なんだろうな。と思っていたら開始10分で覆る。そこからも驚きを超えてただただ目の前でとてつもない方向に転がっていく。
だがそれよりもすごいのが登場人物の印象。置かれた状況だけで人柄を判断してはいけないな、というのが過激すぎるほどに描かれている。
つまりなにが言いたいかというと、見る前と見た後では人物の印象が全く異なり、脳内がごっちゃになってはじめての感覚だなあということ。
転じて、善悪の境界線は我々が思っている以上にずっと曖昧で、まずそれ以前にいいやつ悪いやつという区別はできないのではないか。この辺はたしかに深かった。
また、人種差別を皮肉るようないわゆるブラックユーモアが差し込まれていくのでアカデミー賞をとりそうだなという印象。
3枚の看板と3人の登場人物。それぞれの裏側になにがあるのか、体験したことのないハラハラがある。
最後に一言、ウディハレルソンありがとう!サムロックウェルありがとう!この二人の存在感というか余韻というか、半端ないです。