劇場公開日 2019年12月20日

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「自分探しの旅」スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5自分探しの旅

2022年7月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

全9エピソードの完結編という触れ込みで、予告編の段階でネタバレの嵐。いやでも期待値が上がる。そういう意味では、各レビューの評価や口コミが今後の展開に結びつくところだが、スターウォーズ・サーガの特異性は何と言っても世界中に熱狂的なファンが大量に存在すること。

仮に私の年代を第一世代とするなら、第三世代のファンを開拓したディズニーの功績は素晴らしいとしか言いようがない。ただし今回手放しでJJを礼賛する気にもなれない。内容を見て、人気が急速に萎んでいく予感が漂うから。

どうしたってネタバレを避けられないので、観てない人は遠慮して欲しい。まずは、とにかく映画を観てと言いたい。しかしそう言えない理由がある。

一本の独立した映画としては、楽しめないからだ。

はっきり言えば、一見さんお断りの内容だ。そして情報量が多すぎておそらく細部まで理解するのには時間がかかる。見る角度によっては駄作と言えるし、少なくともお気に入りの一本にはなり得ない。

ここからが、スターウォーズならではの特殊な事情だが、私は劇場であと2回は観るつもりでいる。何と言ってももう一度観たいシーンがたくさんある。3Dでも観てみたい。

それを承知で言わせてもらえるなら、今回のエピソードは謎だらけだ。

観念的であり、象徴的でもあり、時代性にもおもねっている。突然降って湧いたようにパルパティーンが復活し、レイを苦しめる。カイロ・レンの行動も整合性がなく、同一人物がこれだけ変身出来るのだろうかと疑問に思う。

主人公のレイに至っては、相変わらず単独行動が基本で、果たして彼女が反乱同盟軍に寄与した功績って、何かあるのだろうか?いや、結局レイもレンもふたりとも最後までずっと自分探しを続けていただけで、納得はしたけど、満足感は無い。

ジェダイという特殊な人種には、ストーリーテリングに於いて厄介な問題がある。高度な潔白さと、清廉さがキャラクターに反映されるため、生き死にを扱う戦いの描写に配慮が必要になることだ。許されるのは、自衛のための戦いで、それも過ぎればダークサイドという落とし穴がある。

守るべき存在があるのに、作戦には加勢せずに、アストラルボディを駆使して銀河皇帝をたおしても何の証拠も残らない。『最後のジェダイ』で、ルークに全砲弾を命中させても、実体がないので当たらないのと同じ理屈だ。ましてや、居たとしての話しになるが、今回初めてスターウォーズを観るなんて人が居たら、パルパティーン?シス?翻訳不可能の言語?なんじゃそりゃ?である。

余りに不親切な作りでしのびない。それもこれも『最後のジェダイ』で、カントバイトのエピソードに無駄な時間を費やしすぎたからだ。コードの解除ならフィンとキャプテン・ファズマの因縁と、レイのフォースがあれば突破できたはずだ。今にして思えばあのお話し全部カットして良かったやんけ!その時間を、パルパティーン復活と、レイアとルークのジェダイ修行に使っておけば、もう少し、余韻の残る終わり方ができたのに。(本作で突然レイアのライトセーバーが出てくる)多様性に配慮したアジア系女性のキャスティングが裏目に出て、ジャージャー並みに嫌われるキャラを生んでしまった。多様性どころか、あらゆる人種、種族、クリーチャー、生命体、文化、文明が登場したシリーズに多様性を配慮する必要がどこにあったのか。

愛して止まないシリーズではあるが、愛しているが故、敢えて言うなら「つまんなかった」

2019.12.21

うそつきカモメ