「かつてない尻ぬぐい作品」スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け type,oさんの映画レビュー(感想・評価)
かつてない尻ぬぐい作品
スターウォーズシリーズ完結編。このスターウォーズから映画を知り、ギリシャ神話からの宇宙や歴史というのを知った、いわば知識の源泉になった作品の完結編という事で意気揚々とレビューしたいが、残念ながらそうはなりませんでした。
新しい女性主人公、黒人の青年を中心に展開するエピソード7に胸を躍らせ、言うならばキラキラした夏休みが始まるって心境でした。
だけどエピソード8ではなんなら無駄な作戦とそんなフォースの使い方あり?それできたら過去作の全部を否定しかねない、え?姫様が宇宙空間飛ぶの?マジで?ギャグでしょと、キラキラな夏休みは無駄と無謀な日々の苦労の毎日で、宿題は何もせずにこのラスト2時間で全ての宿題をやり終えなきゃいけないという、もう100パーセント宿題を片付けるのは無理でしょうという中で、もー、わかった。わかったからとりあえず頼むからなんとか宿題終わらせてくれと、こちらが忖度しなきゃいけない作品になりました。
そんでもう忖度するぞー、この尻ぬぐい作品に付き合うぞーってポスター見たら、かつての影のボスが、1〜6まで出続けて、そんで確か原子炉みたいなところに落とされ何千度という熱さの中で爆発しましたよね?そんでまだ生きてんの?マジで?ってそこでズッコケるという事態に。
でもしゃーない、たしかにそうしなきゃ整合性がとれない、え?宇宙空間に笑い声が響き渡る?うるさいよ、何言ってんだと、開始早々にツッコミを入れる状況でした。まーそこからは速い速い。宿題の答えをいちいち考えてやっていたら終わらないので、それなりの答えを出しながらテケテケ進むっていう展開で、え?お前のじーちゃんそうなの?だったらエピソード8からそーいう話にしとけよとか、宝探しをしたと思ったらガシャーンってやられて、でも僕持ってるからダイジョーブ、やかましいわ、なんだ今の時間とか、まーすごい後手後手でつじつまがあってない展開なのにスピーディなテンポでいくという、まさに一夜漬けでテキトーに宿題をやった俺ならJ.Jの気持ちがよくわかるって思いながら見てました。
ただ感心したのは、砂漠のシーンはオーストラリアの皆さーん、マッドマックスですよーからのそこに007の活劇を入れてイギリスの皆さーん元気ですかー、からの雨の決闘シーンはジャパンの皆さーん、もちろんもされてないですよー、黒澤明です。そうです、スターウォーズは黒澤明の隠し砦から始まったんですもんねー、もちろん忘れてないですよという鬱陶しい気配りを宿題やりながら入れてくるそのたくみな感じですよね。そこは感心しました。
ま、答えあってないのでダメだけど。
とまぁそんな感じでラストまでいって、ツッコミはまだいくつも入れれるけどテンポいいから見られて終わるのですが、ラストは確かに感動シーンで隣にいたひとは泣いてたけどね、俺はそこ、アンタ関係ありました?ゆかりないっすよね?勘弁してくださいよ、って思ってしまいました。
結局ね、オールドファンはわかっていたし、俺もその1人なんだけど、やはり所詮ディズニーの映画だって事。毒にも薬にもならないいつもの生ぬるい感じですよね。
先にも書いた通り、神話を宇宙戦争という形で持ち込んだからこそNASAや科学者の方々でもファンを公言する人がでたし、熱狂的なフォロワーが生まれる部分があったけど、エピソード7からのストーリーからはそういうフォロワーは生まれないでしょう。
そしてスターウォーズファンの間でも確実な分断が起こると思います。7から見た人はおそらくかつての作品に対して、ちょっと神格化しすぎじゃないですか?という人は当然生まれるだろうし、それは仕方ない事だと思います。
それはディズニーが望むべく、フォースを拡大解釈してディズニー特有の魔法じたてにして、エピソード1からのストーリーを通して全体的に軽くして、さぁ、これからのスターウォーズは私達の得意なファンタジーで魔法を使いまくる映画にしていきますよーという事だと思うし、実際、7から9までの作品はそういう位置づけなのだろうと思いました。
一番良かったのはデイジーやアダムドライバー、ジョンボイエガという素晴らしい俳優を観れたこと。本当にこの三人がいなければ成り立ちませんでした。それと同時にこの俳優さん達をストーリーが全てダメにしてるという事かな。もっとやりようがあったし、残念ながら俳優の素晴らしさをこの作品群は表現できてないというところが一番残念でした。