ダウト = 疑い それは嘘だ… サブタイトルに付いた「偽りの代償」にこの映画の内容が表現されている。
違和感… 最後に彼女が似たような言葉で彼女の心の「引っ掛かり」を表現するが、視聴した当初からその違和感が与えられている。
それは、単に「かもしれない」理由で、ハンター判事を陥れてやろうとする主人公の試みだ。
これに賛同はできず、主人公に共感できないまま彼らの悪巧みが進捗していく。
この視聴者の違和感こそが、最後に彼女の言葉となって大どんでん返しにつながっていく。
これはあっぱれ。卓越した脚本だ。
彼女は勉強中ではあるが、真摯に仕事に向き合い、誰よりも正義感が強い女性だ。
彼女の正義感の前では、たとえ愛した男でさえも、命をかけて救った男でさえも、法の下の平等に晒す必要があるのだ。
そしてそんな事になったことに対して彼女は、微塵の葛藤もない。まさに彼女は鉄の女だ。
ハンターと主人公は同じ穴の狢。同類項。類は友を呼ぶ…。
主人公には自分と同じ臭のするハンター判事が、自分より脚光を浴びていることが許せなかったのだろうか。それが彼のすべての動機で、仲間が死のうが突き進むしかない原動力になっている。
もはや救いようのない人間性だ。
正義… これが彼女の原動力なのか… 言葉で表現するにはまだ何かが足りない気がする。
この足らなさを埋める彼女の原動力をもう少し表現してほしかった。彼女の正義が単に正義だからというだけでなく、なぜその気質が最後まで守りとおすことができるのかという点について表現してほしかったが…、しかし、十分に楽しめた。