「「海を駆ける」奇跡」海を駆ける エイブルさんの映画レビュー(感想・評価)
「海を駆ける」奇跡
人間は海の力を前に無力。
同時に、生命の源は海。
そんな海は人間にとってままならぬ神秘であり、
また同時に、我が身の存在自体ままならぬ神秘であるという事実に自らは盲目になりがちなのもまた人間。
知性の利器たる言語=英語、を介して自由を求め合う若者たちは、互い小競り合いながら何かしらに導かれ、
海の権化たるディーンフジオカに救われる。
救われた者らのみ、海を駆ける奇跡を起こす。
派手な映像的な興奮や粗筋のサスペンス感は望めませんが、
人間という、所詮は棺に収まるまでの、可能性の限られた存在、その存在自体、すでに各々未解決の物語性を持って、人物自体を生きる事件、として描いている。
そして、遂にその棺は、奇跡により突破される。
大江健三郎的?快感にため息。
神話を暖簾分けしたような物語。
小手先のことを言うと、ハネケ風のビデオやテレビ画面が散見されるが、
効果は微妙。
コメントする