劇場公開日 2017年10月14日

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「【”その想いは人生に付き纏う。”今作は謎の過去を持つ初老の古書店主と、田舎から巴里に出て来た若き女のプラトニックラヴストーリーであり、女の成長譚でもある。】」静かなふたり NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 【”その想いは人生に付き纏う。”今作は謎の過去を持つ初老の古書店主と、田舎から巴里に出て来た若き女のプラトニックラヴストーリーであり、女の成長譚でもある。】

2025年12月16日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

知的

幸せ

癒される

■トゥールから巴里に来たマヴィ(ロリータ・シャマー)は、隣の部屋のSEXが激しい夫婦の存在もあるのか、中々都会での生活に馴染めない。
 そんなある日、ふらりと出掛けたカルチェ・ラタンの小さな古書店「緑の麦畑」で年老いたやや風変わりな店主・ジョルジュ(ジャン・ソレル)と出会うのである。
 そして、彼女はその古本屋で働き始めるのである。
 一人暮らしで、謎めいた孤独の影を持つジョルジュとの会話の中で、マヴィは徐々に彼に惹かれ、ジュルジュも彼女の事を大切にして行くのである。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・監督が女性であるからか、(エリーズ・ジラール:初鑑賞である。)柔らかいトーンの静謐な恋愛映画である。
 ジョルジュは可なり変わっていて、棚卸をしていた自分の店に入って来た男を追い払うし、マルグリッド・デュラスの新刊が入っている段ボール箱を”嫌いだ”と言って開けようともしない。

・ジョルジュが何故に孤独な隠遁と言っても良い生活をしつつ、マヴィに”人生は、金が必要だ。”と言い、札がタップリ入った分厚い封筒を二度も渡す理由は、途中で警察が入って来るシーンと、マヴィが彼が留守の時に見てしまったイタリアの極左集団”赤い旅団”の記事で分かるのだが、マヴィは彼からは離れないのである。

・ジョルジュはマヴィが頭痛の為に休んだ時には、わざわざ見舞いに来て、マヴィが寝ているベッドに腰掛け、マヴィは”気持ちが安らぐ・・。”と呟くのである。

・或る日、マヴィは映画館で哲学的名インド映画を観ている際に、涙を流す。隣席に居た若い男(パスカル・セルボ)にティッシュを頼むと、男はネーム入りのハンカチを渡してあげて、二人の交流が始まるのである。
 そして、二人が小さな古書店「緑の麦畑」で仲良く働く様を車の中から見たジョルジュは、静かにそのまま車で何処かに去るのである。

<今作は謎の過去を持つ初老の古書店主と、田舎から巴里に出て来た若き女のプラトニックラヴストーリーなのである。>

NOBU
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