デイアンドナイトのレビュー・感想・評価
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作品の意図は面白かったのですが...
自殺した父親の秘密を探るうちに、昼は孤児を世話する善行、夜は自動車泥棒の悪業を重ねる闇のグループに深く関わることになってしまう主人公(明石幸次)に纏わる社会派ドラマ。善行を施すにはお金が必要ですが、そのお金を得るためには何をしても良いのか?と言う重たい問題を問いかける矛先はなかなか鋭いものがあると感じました。「清濁併せ呑む」と言えば、度量の広さを褒める様な肯定的なニュアンスがありますが、一人の人間が右手で善行を、左手で悪業を行うとなると話は別。やはりそれを正当化するには無理があります。しかし、大なり小なり私達は似たようなジレンマを抱えながら、何とかその中間を掻い潜ろうとあくせくしているのが現実ではないでしょうか?その意味で本作のテーマは、少し直球過ぎて扱いに困ってしまうのですが、私達の日常の本質を突いているような気がしました。ところでこの作品では幾つか不自然に感じられる演出が気になりました。地方の小都市(おそらく東北)が舞台の筈なのに、毎夜毎夜自動車泥棒をしてもばれなかったり、盛り場がやけに大きくて盛況だったりする点は兎も角としても、闇のグループを率いる北村亡き後も孤児院が何の変りも無く運営し続けられるのは何故でしょうか?資金に余裕があったのなら自動車泥棒など続ける必要も無かった筈ですし。作品の狙いはとても面白かっただけに、偉そうなことを言うようですが、もう少しリアリティがあれば文句なしだと思いました。
山田孝之としては大人しいかな
映画としてのまとまりはしっかりしていた。テーマも善と悪の境目は何か、何が悪で何が善か、など、色々な形で問いかける。最後はしみじみとできて面白かったと言える。役者も、タイトルを体現するように昼と夜の顔を持つ安藤政信が超カッコイイ。主役の阿部進之介の演技も繊細さが際立ってあまり知らなかったけれど良い役者だ。
ただ、欲を言えば、普通に面白かったのだ。山田孝之プロデュースとくると、良くも悪くもある種の先入観が入ってしまう。その点ではもうひと暴れしてほしい気がした。
映像が格好良かったからいいかな
正直、導入部分を全く集中して見切れていないので、終始話半分で見ていたような気がする。
話にあまり現実味がなくて、上手い具合に割愛されていた感があって、ストーリーに対して面白味を感じなかったけれど、映像そのものが自分には合っていたので、全体としては良い印象。
不条理な世の中
光の使い方というか、所々の儚くて柔らかい雰囲気がよかった。
この世界の理不尽さや矛盾、救いようのなさに、何とも言えないモヤモヤを抱えたまま、百々のつまり善悪はそれぞれが持つもので誰にもはかれないものなんだと思わされた。
本質そのものよりも、局面だけで判断され、一方から見ればそれは善でもう一方から見れば悪で。答えなんて自分にしか出せないし、正しいか間違ってるかなんて結局のところ不透明なんだと思う。
ただ、誰のための何のための正義なのか、守るものがあるなら守りきれる方法でないとそれって自己満足なだけじゃないかと見てて思った。
賢く生きなきゃ生き抜けない。清く正しくなんてのはいまのこの世の中やっていけない。
思っていたよりも良い♬
山田孝之がプロデュースに専念した…ということくらいで、あめり前情報なく観に行きました。結論から言うと、思っていたよりも、良かったです。ストーリーは、ありがちなのかもしれません。デイアンドナイト → Day & Night → 昼と夜 → 善と悪 という対照的なものに例えてるんだと思います。自殺をしたお父さんを正義だと思いつつ、お父さんが関わっている悪の部分に戸惑いながら、自分も関わっていく…。安藤政信さんも、結局は、そういう人でしたね。本当に、何が正義で、何が悪なのか、考えさせられますね。
個人的に、久しぶりに 小西真奈美さん観られて嬉しかったです。あと、エンディングの曲は、清原果耶さんが、役名で歌っているのでしょうか?気になりました。もっと、違う人が歌った方が良かったのかな…と。ま、好みの問題ですね。
壮大な風車の景色、とても良かったです♬
善と悪は混濁する。
この世で善と悪は混濁しており、何が善であり、何が悪であるかに答など無い。全ての人にとって常に「善」であるものなど存在せず、逆に「悪」は「善」になり得るから。
愛するもの、大切なものを守ることは正しい。それだけは、間違いが無い。
と言う映画だけど、脚本、カビ臭、青臭。リコール隠しとか「またかよ」って思う。社会派気取りに見えるネタ満載で、少し萎えます。勿体ない。
主題のナビゲーターは18歳の少女ですが、この清原果耶パートは良かった。逆に父親との関係が今ひとつの感がして。
企画・原案は主演の阿部進之介とのことですが、期待してます。盛りだくさん過ぎで整理が悪いだけで、基本、良かった。感動とまでは行かないけれど。
善と悪。あなたはどちら側にいますか?
善と悪、真実と嘘、優しさと凶暴さ、希望と絶望、表と裏、一般社会と闇の社会、昼間と夜・・・。人はどちらかの側に完全にいるわけではない。完全に「悪」に見えていも、「善人の混じった悪人」もいる。流行りの言葉「あり寄りのあり」風に解釈すればいい。
「空飛ぶタイヤ」的な導入部から、サスペンス、バイオレンスの要素で観客を翻弄し、結末を読ませない。骨太のメッセージを込めた、筋書き的には「鬼平犯科帳」にでてきそうなストーリーだ。設定にやや納得のいかない部分(田舎町でそこまで世間に知られずに窃盗団が暗躍できるものか?とか)はあるものの、それを横に置いておいて十分味わえる見ごたえはあった。画面の作りに強いこだわりも感じ、役者の気合の入りようも大したもの。
力こそパワー
久々に、観終わった後に伸びをした映画。
緊張感をもって観られた。
昼は児童養護施設で働き、夜は施設を守るため組織的に自動車泥棒を繰り返す。
そんな生活を送りながら、自殺した父親の無念を晴らすため地元の大手自動車メーカーの不正を告発しようとする。
何が善で何が悪かというテーマはもちろん作中で描かれているが、それ以上に力こそがパワーなのだ、ということを感じる映画だった。
力があればどんな不正を行っていても信頼され人を幸せにできる。
力のないものはたとえ勝つことができたとしても、不幸しか生まない。
そんな無念さが漂う。
「善か悪か」を何度も言葉で投げかけたり、序盤の作品背景の説明を登場人物のセリフにキーワードとして入れ込むなど、ちょっとセリフの使い方があからさまな感じがした。
主人公に「正義とは?」と疑問を投げかけるシーンもインタビューにしか見えなくて苦笑した。
そういう部分はあるものの、
バイオレンスな表現があるため、誰でも楽しめる作品ではないが、良い映画だと思う。
光が美しい。風力発電の風車が印象的なオリジナル作品
ここでも清原果耶が光ってる
善と悪は、どこからやってくるのか。
自分は今どこに立っているのか
秋田県鹿角市と山本郡三種町がロケ地
1ヶ月の間、3つの町で撮影
秋田県立十和田高校
風車は由利本荘海岸
三種町の風力発電の風車が並ぶ釜谷浜海水浴場も
光と闇の映像がきれい。昼と夜、善と悪の対比映像
寒さを感じる季節の映像も
「失ったものに対してどう折り合いを付けますか?」
血の繋がらない家族の愛
最近ニュースでみたスマートキーのリレーアタックがもう出てきていて、報道される前からもうある盗難技術なのかと感心。
清原果耶が作中の役柄・大野奈々名義でRADWIMPSの野田洋次郎が作詞・作曲・プロデュースする「気まぐれ雲」を歌う。これが良かった。素で大野奈々って新人歌手かと思ってググったがな。
佐津川愛美が珍しく?終始可愛いキャラで癒される。
答えはない。風に吹かれているからね。
素朴で単純な疑問を投げかける。
そんな人に、少しは大人になれよ!
と、答えにならない応え方しかできぬ大人たち。
で、全ては不寛容になってしまったこの世の中の所為にしてしまう。
久しぶりにいい映画に巡り会えた。
答えを出してくれるよりは問題を出してくれる。
そんな映画が好きなんだ。
人が死ぬと言うことは大変なことなんだし
なぜ死んだのかを探るのは当たり前のこと。
そこに、寛容も不寛容もなく事実があるだけだし
それをどう受け止めるかは本人次第だ。
疑問符を投続けた少女がバスで旅立つシーンでエンドマークなのがいい。
少しは希望を見せてくれたからね。
極限状況の主人公に答えを託す
山田孝之は映画「ハードコア」では、人間を力強く肯定する、エネルギーに満ちた作品を披露したが、本作品では逆に、矛盾に満ちた人間社会を鋭く抉って見せた。俳優としては時にチャールズ・ブロンソンのような分厚い存在感を見せてきた山田は、今後はイーストウッドのように演者と制作者の両輪で力量を発揮することになりそうだ。いろいろな意味で楽しみである。
主人公の明石幸次を演じた阿部進之介は、実はあまり他の作品での記憶がなくて申し訳ないのだが、なかなかどうして実に堂々たる主役ぶりであった。本作の主人公のように心に葛藤を抱えた孤独な中年男がはまり役だろう。今の世相を考えれば、今後そういう主役が増えていくに違いないので、比例して彼の出番も増えそうである。
中年男が主役なのに何故かヒロインは女子高生である。若者らしいストレートな質問を主人公にぶつけてくる。最初は彼女がいるとかいないとかの無邪気な質問からはじまり、付き合いが長くなるに連れて、人生観や世界観を問う質問に深まっていく。なるほど女子高生をヒロインにした理由はそこにあったのかと感心した。
明石は大変に真面目な性格で、父親が遺した言葉「善と悪の違いはどこにあるのか?」をずっと考え続ける。善と悪は宗教的な教条に拠る考え方が歴史的に存在し、たとえば人を殺すことは絶対的な悪だと信じられている。しかし戦争で人を沢山殺せば、即ち英雄である。つまり善なのだ。共同体の都合によってひとつの行動が善だったり悪だったりする。父親の宿敵である三宅が言った「正しいとは多数派であることだ」という言葉が、戦争を肯定する共同体の論理そのままである。善悪より前に共同体の存続が優先されるのだ。
女子高生の大野奈々から聞かれた「復讐して、そのあとどうなるの?」という突き詰めた問いかけに、もし自分が明石だったらどう答えるだろうかと考える。もちろん答えは決まっていないし、映画は答えを与えてくれない。ただ極限状況に置かれた主人公に、善悪の価値観とは何なのか、人間はどのように生きるものなのかを託すのだ。
スケールの大きな傑作である。清原果耶が大野奈々の名前で歌った主題歌はとても澄んでいて心地のいい歌だった。
突きつけられる善悪の彼岸に魂が震える
山田孝之がプロデュースに徹したという程度の予備知識で臨んだが、これは何という傑作。
熱くて、優しくて、切なくて、正解などなくて、それ故に成す術もなくて……複雑な思いを抱きながら涙した。
父の自殺を機に故郷の秋田に帰った明石は、父が自動車会社のリコール隠しを告発し、係争中だったことを知る。企業の不正を暴こうとする一方で、明石自身も大切な者を守らんと闇の世界へ…
果たして大切な者を守ることが「正」なのか?
まさに善悪の彼岸を観る我々に突きつける傑作。今年の邦画のベストワン候補に一番乗りだ。
明石を演じた阿部進之介の「優しい表情」に魅かれた。キリストの如く、彼の行うことが善だとさえ思ってしまう。児童養護施設で育ち明石と心を通わす高校生を演じた清原果耶の孤独な佇まいも印象的。
そして、小西真奈美のクールネス(地味なのに圧倒的な存在感!)、佐津川愛美のピュアな温かさ(最近では逆に新鮮!)など、脇の女性陣も出色だった。
昼と夜、善と悪、単純には分けられない
とっても良かった。
小説やアニメ原作がほとんどのこの時代、原作無しでここまで面白いのかと思ってしまった。
テレビドラマでは描けない重厚感。劇場で見るべき。
俳優陣も良かった。特に清原果耶はとてもいい。
可愛い、可憐、無垢なイメージだけではなく、影のある雰囲気がとても良かった。
歌も上手いのね。
高校生くらいで、ここまで幅が広いと今後も期待。
これからも応援します!
愛唄もオススメ。
全ての人物が悪であり善でもあるという、なんとも曖昧なストーリーなので、スッキリしないと言えばその通りだけど、最後までどうなるのか、釘付けになった。法律を破る善人というようなダークヒーローだけではなく、法律を守る悪人というわけでもなく。とても複雑な人間の内側が良かった。
今ひとつ心に響かない映画
「善と悪はどこからやってくるのか」…使い古されたこのテーマに何ら新鮮味を与えることもなく、ただただ陳腐でつまらないストーリーに2時間以上も付き合わされた…そんな愚痴しか出て来ない映画でした。色々と凝った設定でしたが、テーマがシンプルなだけに、非現実的なストーリーや人物設定にあまり共感出来なかった…今年のワーストムービー候補です(笑)
ジワリじわりと心を侵食していく
1度目鑑賞時は、ただただ圧倒されつくし。
観終わってからずっと暇さえあればデイアンドナイトのことを考えてしまっていた。
2度目鑑賞時は、1度目とはまた異なり、このあとああなる…と知っているからこそ見えてくるひとりひとりの心の機微に胸打たれ。
その後もずっとデイアンドナイトのことを考えている。
じわりジワリと心に広がっていく、デイアンドナイトの世界に心と思考が侵食されているよう。
3度目鑑賞後はどうなるのか…
たくさんの人に観てほしい。
そして、その後観た人の心と身体がどうなっているのか聞きたい。
知りたい。
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