「物凄いものを観た…」花筐 HANAGATAMI everglazeさんの映画レビュー(感想・評価)
物凄いものを観た…
評する資格などありませんが、肉体的、精神的に戦争へ巻き込まれていく若者達を、怒涛の芸術的感性で描いた傑作だと思いました。
個人的には”SADA”でやや中途半端に感じた演出や映像が、ついに頂点まで昇華したような感じがしました。人工的でコラージュのような映像が、どれも大変美しかったです。
大戦の影が忍び寄る時代。
馴染んできた西洋文化や働けない病人は非国民か。お国に命を捧げることは真の男の証明なのか。
目的を持たずに燃え続ける太陽のような健康美の鵜飼は、外の世界へ解決策を見い出そうとするタイプ。一方、ニヒルで哲学的、死神のような風貌(^_^;)の吉良は、自己の内面を探り続けるタイプ。吉良の自傷行為は”The Da Vinci Code”のSilasと被りました。鵜飼と吉良は対極に位置する存在ですが、二人とも同じ難題を抱えるためか互いに意識し合い、戦争に生命を「消費」させないという同じ答えに辿り着きます。どうせ尽きる命ならと戦死したおば様の夫や、使える物は何でも「消費」して有効活用しようとする阿蘇とは対照的でした。
ただでさえ面倒でこじれやすい青春に、戦争という破滅的な現実がのしかかり、一層退廃的なカオスに飲み込まれていく様子が鮮烈でした。また、生と死と性を表す赤色が効果的に使われていました。
ちなみに出欠の返事は、少なくともアメリカでは”here!”です…。
everglazeさん
コメントへの返信有難うございます。
ジェンダーレスを目指す時代になりましたが、大林宣彦監督作品は、女性はより女らしく、男性はより男らしく描かれている気がします。
大林宣彦監督か描く独創的な映像美やメッセージが、海外ではどう評価されるのか…高く評価されるのではないか…との期待を込めて、密かに見守っていきたいと思っています。
本筋とは関係ないところですが、米国でも出欠の返事に "present" という人達もいて、そちらの方が formal に響くとか。結局は、学校ごとの習慣みたいです。
「物凄いものを観た」に賛成です。