「いつもどおりに、あったかい」希望のかなた chibirockさんの映画レビュー(感想・評価)
いつもどおりに、あったかい
<もう一度観ました>
夜の回、観客4人ということもカウリスマキ風味を助長。
やはりしみじみ、いいです。しみじみ。
皆さんちゃんと意思があって、それを素直に露わにするのにうるさくない。
終始テンションは低いけど、そこにはきちんと生きている人間の息遣いがある不思議。
しばしば差し込まれる、人間臭いしゃがれ声の歌が、カウリスマキ的に整えられた静寂を、カウリスマキ的にぶち破る。
この安心の様式。
あと1作、撮るか撮らないか…もっともっと観たい。
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暗い原色、しみったれて哀愁たっぷりの歌、心優しく笑わない人々、いつも通りにカウリスマキは、心をじんわりとあっためてくれます。
いま、世界中で大騒ぎの移民問題だけど、人種とか国とかのかたまりではなく、人間同士の交流を見せてくれる。
受け入れる側、受け入れられる側、それぞれひとりひとりに、事情や思うところがあるという当たり前のことを気づかせてくれる。
難民は、「難民」というひとかたまりのものではない、個人個人の集まり。
それを、見返りなんか気にせず(相変わらずの)無表情でかくまう人々が、なんとも崇高に見えて。
それに対する、かくまわれる側も、感謝の気持ちを特に見せず…w
この当たり前のようなやりとりに、何故か無償の愛を感じます。
優しいなあ、カウリスマキという人は。
※日本人は2割マシで楽しめます。
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