「難民問題にユーモアと人情で切り込む」希望のかなた ローチさんの映画レビュー(感想・評価)
難民問題にユーモアと人情で切り込む
カウリスマキの新作は、前作に続いて難民問題というシビアな題材を取り上げているが、いつもの彼流のユーモアセンスと人情劇で、温かな気持ちで観られる秀作になっている。
不法滞在となったシリア人青年を、無条件で自分のレストランに雇い入れる主人公。警察の手入れの時も、従業員たちも何も言わずに協力して彼を匿う。なぜ彼らがそこまで親切なのかの説明はひとつもない。ただ、そうすることが人間として当然、と言わんばかりに。
唐突にレストランを日本食に改造するシーンは爆笑を誘う。本筋のストーリーに必要なさそうにも思えるが、無駄のある笑いも心地よく感じさせるし、監督の日本愛を感じる。
わびさび感じる寂寥感に独特のテンポのユーモアも健在。シビアな欧州の難民問題に、笑いと人情で立ち向かう監督の姿勢がとても素敵だ。
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