劇場公開日 2018年1月27日

  • 予告編を見る

「もっと構想を練ってから映画化して」ダークタワー うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0もっと構想を練ってから映画化して

2022年9月11日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

原作未読で、リージョンフリーのBlu-rayで見たので、英語字幕しか選べず、私の英語理解力には限界があるので、細かなニュアンスまではさすがに理解できませんでしたが、もう劇場に見に行くことはありません。いっぺんで十分。もう一回見ようなんて気にはならない映画でした。

「IT~”それ”が見えたら、終わり。」が面白かったので、スティーブン・キング原作というつながりで、ド派手な予告編に興味津々でしたが、かなり期待はずれでした。ガンプレイや、魅力的なキャラクター、作品世界の造形には力が入っていたようですが、肝心のストーリーと、セリフの単調さ、早口でぼそぼそとしゃべる人物ばっかりで、アクセントになる人物や、イベントが無さすぎます。

予告編では大仰に「我は銃では撃たぬ」「我は心で撃つ」みたいな描写がありましたが、そのセリフ自体は、普通の言葉で、普通に訳せば「俺は銃で撃つんじゃない」「俺は俺のソウルでねらうんだ」的な普通の言葉に聞こえました。原作の「ダークタワー」で、どう扱われているのか知りませんが、重要なセリフの割に、カジュアルな作業指示みたいな言葉でした。スラムダンクの「左手は添えるだけ」みたいな感じです。

少年との結びつきも、行動を共にするほどには絆が深いようには見えませんし、運命の結びつきも弱い。ローランドは単独で行動したほうがよっぽど強く見えます。

その少年といっしょに、現実世界と、魔界みたいなところを行ったり来たりしますが、現実世界で、ガンショップに行き、銃弾を補充するところもかなり拍子抜けします。エイリアンみたいな怪獣を一発で仕留める銃なのに、普通の銃弾でいいの?みたいな。おまけに金も払わないし。

ローランドはそれなりに様になっているガンマンで、西部劇に出てきそうな格好をしていますが、敵の黒衣の男はフォーマルなシャツを着ているので、ホワイトカラーのエグゼクティブにしか見えません。何ともバランスが悪い。そして、現実世界では、ガンマンの格好をしているローランドに「ハロウィンの仮装か?」みたいなツッコミも入るので、黒衣の男もそれなりにおどろおどろしい格好をしているべきでしょう。

キング原作の映画は、ほとんどがひどい出来栄えに終わるようですが、この映画もその一本に入るんじゃないでしょうか。「ダークタワー」は英国幻想文学大賞を受賞した全7部作に渡る大作で、「ロード・オブ・ザ・リング」のようなヒットシリーズにできただろうに、余りにも練り込みが足りない作りの、軽く見れるガンアクション映画になってしまいました。

2018.1.24

うそつきカモメ