「許す偉大さと、許されることへの罪の意識。権威主義と伝統を重んじる事の意味とは。」博士と狂人 nanaさんの映画レビュー(感想・評価)
許す偉大さと、許されることへの罪の意識。権威主義と伝統を重んじる事の意味とは。
実はかなりの名作感。
実話を元にしてるとのことですが、
脚色ありつつだとは思いますが、派手ではないながら、かなりドラマチックというか。
映画作品としてかなり作り込まれている。
メインは辞書の出版…の物語ですが…それをとり巻く人間についてとても深く描かれている。
権威を持たない人物が奮闘するという話で権威主義だったり伝統を重んじるということに、新しい風を吹き込むことの大変さや偉大さが描かれていて、現代にも通じるテーマかと。
狂人として?描かれている(おそらく見方によってはどっちがどっちでも良いと思う)元軍医。
彼は自分の犯した罪を非常に重く抱え込み、
それが許されることによってさらなる苦しみを感じる様が、
とても人間臭く描かれていて、罪は許されれば終わりではないのだなと深く考えさせられた。
許す側も、苦悩の上での許しと新しい愛をもつことの苦しみがある。
そして博士のパートナーの、人としての愛の深さにも感銘を受ける。
人間が神や宗教にすがってしまったり、許しを請うたりしてきた歴史を垣間見たような作品。
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