犬猿のレビュー・感想・評価

兄弟姉妹ならではの…物語ではあるけれど、
それだけでは終わらないのがこの物語の良いところで…オーバーすぎない役者の演技力…役者が…演じてはいても…すっと懐に入ってくる自然さが顕著に表れている映画だと思う。…ある兄弟と…ある姉妹の…愛憎劇…群像劇…新しい扉というか…新しい邦画を見せてもらえたような…役1時間40分の間…飽きずに見ることができた。吉田監督のキャスト選びは間違いないといえる。新しい扉を開かせてくれてありがとうございます。決して綺麗事では終わらない所とっても気に入りました！！！

兄弟それぞれの｢俺の方が親孝行してる｣っていう感じが自分的に一番共感できた。兄弟姉妹って自分の方が親から愛されていると思いたい永遠のライバルみたいなところがあるから。
４人それぞれの演技が見所だけど、鬱屈とした表情で車を運転してる登場シーンからずっとリアルに真面目で姑息な弟を演じる窪田くんがすばらしい。つまらない人間が魅力的で愛おしく感じられる。

窪田・新井の名コンビ、筧美和子ちゃんもちゃんと活躍している。ニッチェの江上さんもそれなり。
全体として楽しめる作品でした。
ホントは仲良しなのに素直になれない・・・といいことで❗

皆さんもコメントしている通り、「あれ？」って感じでスタートし、その後すぐの窪田が車のドアで絡まれるシーンが実家の近くのゴルフ練習場であることに気づいて、役者さん４名に負けず劣らずのインパクト強い出だしでした。

「葛城事件」の気弱な兄とは正反対の凶悪チンピラ兄貴が面白い。
複数出てくるお茶の間のヌルい空気感と家族同士で抱える気まずさの生々しさよ。
大事になってもなんの成長も観られない肉親の関係性の可笑しさと哀しみ。
「ヒメアノ〜ル」同様、子供時代の回想シーンは蛇足。

刑務所帰りのチンピラ兄貴と広告代理店営業マンの地道な弟という兄弟と、父親から継いだ印刷工場の社長の姉とその印刷工場の従業員兼売れないタレントの妹という姉妹が絡み合いながら、それぞれ兄弟、姉妹のいがみ合いをみせる話。

自分は否定するけれど他人に言われると腹がたつとかいう天の邪鬼さや、それぞれの性格を活かした笑いも含みつつ、兄弟、姉妹、それぞれに相手と比較してのコンプレックスを持っているからこその負けん気でマウンティングし合う感じが何ともリアル。

かなり判りやすいストーリーと展開であるからこそ、助けを呼ぶ所から回想のシーンがどうにも説明過多でテンポも落ちて余計に感じたものの最初から最後まで楽しめた。

って感じかな？
似た者同士は憎み合うとも言うが、各々、全く似てもいない。歩み寄りがあるかと思えば、反発し合う…というやり取りをもっと繰り返したら、もっと面白かったと思うが…。
でも、なかなか面白かったかも？

完成披露試写会で観てきました。鑑賞前、正直筧美和子さんがメインキャストで大丈夫なのか？！と不安に思ってましたが無駄た心配でした。ポスターの表情は４人の中でも最高！江上さんもビジュアルだけでなく演技もインパクトがあって良かった。新井さんはもう安定の粗野な兄で、でもちょっと憎めなくて！江上さんと新井さんのシーンは何度も笑いが！強烈な３人のキャラに囲まれた平凡な弟、和成を演じた窪田さんは１番演じるのが難しかったと思いますが優しく、平穏に過ごそうとしてる中に時々、粗野な兄ちゃんと兄弟だと思わせる目つきが流石でした！吉田監督の意地悪い演出にちょっとグサッときましたが、オリジナルのこれぞ日本映画って感じの犬猿を満喫しました！

ええわぁ