劇場公開日 2020年1月17日

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「リュウ・ウェイ?高価な名前だ。」コンプリシティ 優しい共犯 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5リュウ・ウェイ?高価な名前だ。

2020年2月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

やむなき理由で、他人に成りすまし、安全な場所で生きようとする中国人チェン・リャン。今、日本に来ている中国人のなかに、おそらく彼と同じ境遇の人間が何人かいるんだろうなあ、と思いながら観ていた。立場を変えれば、そうなってしまった日本人だってどこかにいたはずだとも。ひとつ踏み外せば、もう上がることはなく、下の階段へ転がっていくだけだ。だけど、その切実さはありながらも陰湿さを感じないのは、蕎麦屋親子のみせる善人が寄り添っているからだろう。そしてまた、テレサテンの歌が流れて来て、ついちょっと涙が流れてくるのは、リュウの誠実な人柄に、こちらが気付いているからだろう。
最後、そうするのか。結局危ない道を行くことには変わりがない。主人の親切はけしていい結果を生むわけがない。だって逃げてもね、どこまで逃げても、中国までは逃げきれないんだから。そしてそのラストシーン、そのタイトルを言わせるのは酷だなあ。酷だよ。

栗太郎