「ご都合主義も甚だしい」さよならの朝に約束の花をかざろう ほくほくさんの映画レビュー(感想・評価)
ご都合主義も甚だしい
序盤で戦争孤児の赤ん坊を自分の物だと言って(?)連れていってしまうところから、もはや違和感の始まり。
なぜか故郷に帰ろうとしない。同種族のハーフの人がその場にいるのに何も教えてくれない始末。子供の為と思いきや仲間の織物を見つけ、助ける為なのか王都へ引っ越し。ならさっさと故郷に帰っておけば…
その仲間が子供を孕んでいるからと帰るのを拒否したのに理由無しにそのまま王都に何年も棲みつく。一定の知り合いと次々と再会。国の人口は3桁ぐらいなんですか?
大事にしていた織物をむやみに引っ張って取り唖然…。金具に繊維を引っ掛けていたんですけど?その織物も充分届く高さなのに息子にかけさせるという。時が経ったらなぜかもっと高い所にかかっていたけど。
戦争中の真っ只中、最前線で主人公があちこちに行けてしまうし、息子とその嫁ともサクサク偶然会える。その戦争、20人対20人ぐらいなんですか?街に住んでるのは50人ぐらいなんですか?
母と息子のシーンを綺麗に撮りたいが為か、負傷兵がわざわざ集められた場所なのに、1人だけ離れた川沿いにセッティング。敗戦した最前線の兵士が定時だからと言わんばかりにサクッと帰宅。
一度も会えなかった娘との邂逅→たいした会話もせずに唐突にほぼ自殺のように飛び降りる狂乱の母。普通の娘ならトラウマになるでしょ…。んでなぜそんなに急いで去ったのか分からず仕舞いだし龍に乗る意味も無し。
息子の死に際に母参上。それほぼ死神だよ。来るタイミング遅すぎ。
あの花的に感動させようとするラストやタイトル。「約束」だの「花」だの「朝」だの何のテーマにもなってない。しかもその約束は少しも守れていないという。守らなくてもいいぐらいの約束でもあるんだけど、それをタイトルに含んじゃうの?
脚本など作家としては優秀だろうけど、まさに「初」監督作品という感じで、ゲド戦記みたいなものを感じた。宮崎吾朗は次のコクリコ坂からで大きく前進できたし、監督をやるなら次の作品で決まるのかも。