劇場公開日 2018年2月24日

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「岡田麿里の才能がいかんなく発揮された理想的な監督デビュー作」さよならの朝に約束の花をかざろう ローチさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0岡田麿里の才能がいかんなく発揮された理想的な監督デビュー作

2018年2月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

どれだけ経済格差があろうと、差別があろうと時間の流れ方だけは、人間にとって平等なはずだ。しかし、もしそれが平等でなかったら人は何を感じるだろうか。

これは、驚異的な長命の一族の少女、マキアが母を亡くした赤ん坊を救い、育て上げる物語。シンプルに母の愛の物語であり、時間の流れが違うために起こる、複雑な出会いと別れの物語ともなっている。

飼い犬の老衰のエピソードが、この時の流れの違いを観客に想像させるのに一役かっている。細かいエピソードの配置が絶妙だ。

母の愛の強さは時には残酷でもある。赤ん坊の実の母は死んでも子どもを守った。その結果、赤ん坊を抱きしめたまま死後硬直してしまった。あのままでは赤ん坊は母の強い(強すぎる)愛のせいで死んでしまったかもしれない。その死骸の指を一本ずつ折って赤ん坊を引き剥がす行為は、その母の想い(重い)を引き剥がす行為だろう。こういう残酷さも描かれるからこそ、優しいシーンは一層貴重なものになる。

新しい出会いのために、別れがやってくる。その繰り返しが人生で、そんな人生を多く見つめられることは喜びだ。とても美しい物語だった。

杉本穂高
iwaozさんのコメント
2023年2月26日

とてつもない骨太の物語、いろいろな戦争映画のエッセンスが詰まった見事な展開。架空の世界であることで敬遠されるのが、非常にもったいないですね。岡田麿里さん、凄すぎます。吉田明彦さんのビジュアルが見事に具現化されていて驚きました。傑作ですね。(T . T)感謝!

iwaoz
アクアMARINEさんのコメント
2019年3月30日

素晴らしい映画でしたね。愛は傷をともなうという描写のひとつひとつが素晴らしかったです

アクアMARINE