「設定だけフリクリ」フリクリ オルタナ HUMMER喝さんの映画レビュー(感想・評価)
設定だけフリクリ
The pillowsからフリクリを知り、その世界観にハマった自分は、当然今作も公開決定からとても楽しみにしていました。
しかし、期待していたあの「フリクリ」とは全く異なる印象を受けました。
「フリクリ」は、単なる青春群像劇ではないと思います。
前作は、出来のいい兄と比較され続け、必要以上に大人びるナオ太、彼氏はアメリカで女を作ってしまい当人は学校でいじめを受けているマミ美、
親が市長であるために、家庭問題が世間に広まってしまうニナモリであったりと、登場人物それぞれが当人だけではどうしようもない問題を抱えています。
今作は年上の男と付き合い背伸びをしてしまうヒジリー、デザイナーを目指すも裕福ではない家庭事情であるためひたむきにアルバイトに励むモッさん、親が金持ちで仲間の中で1人だけ火星へ旅立ってしまうペッツ、全ての問題に首突っ込んでウザがられるカナブン、とまあよくある事情に終始します。
これらの問題がハル子によって毎話何故か解決されるところが「フリクリ」らしさが感じられない要因の1つかなと思いました。
前作はハル子はアトムスクに夢中で手段を選ばず行動する人物でした。
いつからこんな水戸黄門みたいな勧善懲悪になったのでしょうか。
それぞれが人に言えないような問題を抱えながらも(それをうっすら気づいてたとしても特に首も突っ込めないし)共に日常を送っているところの生々しさが前作にはあったと思います。
今作は登場人物の心情もよくわからないし(やたら突然キレる)、背景を語り過ぎてる気がします。
前作にはあったマミ美がスカート絞りながらこっちを見ているようなカットの鋭さは今作にはありませんでした。
自分はアニメをよく見る方ではないのですが、フリクリの名のついた作品が、よくありそうな青春+非日常みたいなつまらない作品になってて本当に残念でした。
この作品を作った人は、きっとrunners highのアルバムで、「確かめに行こう」聞かずに「runners high」まで聞いて満足してThe pillowsって最高だよねって言う人なんだろうなと思いました。