劇場公開日 2018年5月12日

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「若いから何でも獲得していくと思ってるだろうけど、人生とはどんどん失っていくものなのよ。」四月の永い夢 kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5若いから何でも獲得していくと思ってるだろうけど、人生とはどんどん失っていくものなのよ。

2019年5月8日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 初海(朝倉)のような女性が近くにいたら、藤太郎(三浦)よりも先に告白して何とか恋人にしたい!と思わせるような女性。でも、まずは下調べということで、そば屋の忍(高橋由美子)から情報を得るために接近して、徐々に忍と親しくなり、結局は忍とお付き合いすることになってしまう自分を想像してしまった。まぁ、バツイチくらいいっか~てな感じで。

 名画座で公開されていた『カサブランカ』といい、その映画の音楽「As time goes by」しか聴いていなかったジャズシンガーの卵である楓。なんだか好みの設定ではあるものの、DVの恋人がいる割にはちゃらんぽらんな性格が気に入らない。とにもかくにも元音楽教師の初海が理想女性に思えるような内容で、しかも死んだ元カレをどこかで断ち切れていない自分。喪失感というものに向き合うには若すぎるということもあるのだろう。

 ラジオが好きだという、現代的なチャラチャラした性格じゃないところも魅力の一つ。そして手紙のやりとりというアナログ感も時代から取り残された雰囲気もある。ただし、フェイスブックは使っている・・・。そして、元カレの実家へと向かう富山地方鉄道の無人駅うちやま。デジタルの世界だと、人の死は一瞬なんだろうけど、アナログの世界ではずーっと残ってる。この田舎町の雰囲気のために、そんな印象が残ってしまった。

kossy