「苦しみを癒すのは永い時間と人の優しさ」四月の永い夢 とえさんの映画レビュー(感想・評価)
苦しみを癒すのは永い時間と人の優しさ
良かったなぁ
前向きな気分になれる映画だったー
3年前に恋人を亡くした初海の元に、その亡くなった恋人から、一通の手紙が届く
初海は、近所のお蕎麦やさんでアルバイトをしているのだが、
そこが店じまいをすることになったため、
新しい職場を探さなければいけなくなった。
しかし、3年前のことが引っかかっていて、なかなか、新しい一歩を踏み出せずにいた
そこで、初海は3年前の悲しい出来事と向き合う決心をする
では、なぜ、初海は重い腰を上げて
辛い過去と向き合う決意をしたのか
蕎麦屋が閉店するというタイミングもあるだろう
くまちゃんに告白されたこともあるだろう
でも、彼女を最も強く動かしたのは
「辛い思いをしているのは私だけではない」
ではなかったかと思った
恋人のDVに悩まされながら明るく生きている楓も
店じまいをする忍さんも
もうすぐ子供が生まれる同級生も
みんな、現実と向き合って毎日を生きている
けれど、初海の時間は3年前から止まったままだ
ここでは、そんな初海が悲しみの底から立ち上がり、再び歩き出すまでが描かれている
人が再生するのに必要なのは、時間と人の温かさである
悲しいできごとが風化するまでの時間と、周りの人たちとの会話が、人を癒していく
中でも、高橋恵子演じるお母さんの優しさには泣いてしまった
初海はお母さんに負い目があったけれど、お母さんも初海には負い目を感じていたのだ
「人生はいろんなものが減っていくものだと思うの」
そのお母さんの言葉に涙が溢れた
若いうちには、いろいろな出会いを重ねて、友人も経験も増えていくけど
ある年齢を越えると、今まで積み重ねたものが、どんどん減っていく
しかし、それもまた人生なのだ
だからこそ、人との出会いがあるうちは、前を向いてたくさんの人と会うべきなのだ
それまで永い夢を見ていた初海は
人との出会いの中で
過去と向き合う力を養い、
心にあったシコリを吐き出し
永い夢から覚めて良かったと思った
そして私も、そんな初海を観て、会いたいと思う友達には、会える時に会っておこうと思った
私の人生はまだまだプラスの人生だからだ