「機械のための人間」人間機械 redirさんの映画レビュー(感想・評価)
機械のための人間
クリックして本文を読む
終始燃料や機械音が鳴り響く、サウルの息子を思い出す、人を落ち付かさせなくさせる絶え間ない騒音。べったりとしたインドの湿気を感じさせる映像。機械やシンプルなロボットは音を立てたりしなやかに回ったり中にピカピカに磨かれたようなものまで回転して織物を仕上げていく、その下ではまごうことなきマンパワーで機械様のために奉仕する人間の労働者たち。台車やカートを用意するだけでも重い布や染料を肩や頭に乗せて運ばなくても良いのに。経営者や斡旋業者は台車には1ルピーも支払う気はさらさらない、いくらでも調達できる出稼ぎ労働者のほうが安いからだ。機械化されている部分と、極端に機械化どころか道具もないような人間労働者が受け持つ仕事その対比がむごい。
映画館にいたら、機械音につられて寝てしまったかもしれない、機械から出てくるか布を手で受け止める12時間シフトで働く少年を見ながら。 なんということだ。
撮影するものに訴えかける人。撮るだけ撮ったら明日には他所へ行くんだろう、この状況をかえてくれ、変えてくれルナらみんなついていくよと語る人。ドキュメンタリーに関わらず現実と芸術篦はざまでなにができるのか、すべきなのか、答えはわからない。インドでお土産に買い求めた美しい布もこのように作られていたのかもしれないと思うと、映画を撮るものも見るものもこのように無力でよいのかと自省する。
コメントする