劇場公開日 2019年5月18日

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「知的刺激にあふれている」ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス ローチさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0知的刺激にあふれている

2019年5月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

図書館はただ本を貸すだけの場所ではなく、いろんな可能性を持っていることがよくわかる。就職支援に起業セミナー、家にネット環境のない家庭にWiFIルータを貸し出し、シニアのダンス教室に演劇、音楽コンサートに作家のトークショー。全てのサービスが無料で、社会の重要なインフラとして機能している。
フレデリック・ワイズマンが移すのは、図書館に集う人と働く人。彼はミーティングを撮影するのが好きな人だが、本作のミーティングシーンはどれもエキサイティング。この図書館はNPOによる運営で、行政の支援金と民間の寄付で成り立っている。多彩なサービスを提供するため、いかに予算を募るのか、実践的な議論がなされる。さらにホームレス対策にも悩むシーンも興味深い。誰もを受け入れるが、一人が居座ることで他の人がサービスを受けられないのでは困る。ハーレムの分館での黒人の歴史についての議論も非常に印象的。3時間半のドキュメンタリーだが、全く飽きない。知的刺激に満ちた傑作。

杉本穂高