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マザー!のレビュー・感想・評価
全31件中、1~20件目を表示
これは間違いなくアメリカの歴史を描いている。
男社会と旧来の女性が、新しいマザーを中心に回っている。
周りは全ておかしな者ばかりだが、一番おかしいのは彼女の夫。そう思って、見てると、この異様な世界を理解できてしまう。
残り1時間だが、男社会と言うよりも、アメリカ社会を比喩してんじゃないかなぁ。
黒人と東洋系の逢瀬に出ていけとクレームを入れる。
しかし、若い美人な奥さんと見るからに醜い男。産まれくるその子はこの醜い男のDNAを受け継ぐ事になる。この映画で一番おかしな夫のDNAを受け継ぐのである。つまり、まだ、当分この社会は続くと言っている。
我が親父も飲み会があるたんびに人を連れてきた。普段は友人もいない親父だったが酒を飲むと、僕ら家族とは関係ない仕事仲間を家に連れてきた。八畳と六畳二間の借家である。家族5人でも狭いのにその倍の見ず知らずの酒と煙草臭い連中が訪れる。心の中はこのマザーのようだった。僕のマザーに聞けば、親父に暴力を振るわれるよりも嫌だったと生前語っていた。
だから、このエキセントリックで矛盾だらけの世界が理解できてしまうんだよね。間違いなく、これはアメリカの歴史。
焼け落ちる様は『ソドムとゴモラ』若しくは『バベルの塔』なのだろう。
墮胎しなければ、僕の見込みは間違ってない。
あとから、NET情報をさぐると、創世記をイメージしたとのこと。
そうすると、旧約聖書では、もう一人子供が出来る。そして、人類最初の事件がおこる。
つまり、人類滅亡へのパンドラの箱が開けられた訳である。
ボロボロにされた女性は男にとっては人類存続の為のequipment。
『エンド・オブ・ザ・ワールド』って『世界の終わり』てはなく、『世界の果て』つまり、アメリカのことなのかなぁ。
凄い傑作だ。
とにかく観て不快になる映画
とにかく観て不快になる映画。家に押し寄せるゴキブリみたいな連中はBLMを彷彿とさせ、"黙示録"というフレーズで宗教をモチーフとした映画だったのか、と激しく後悔した(宗教画もキリスト教色の強い映画も嫌い)が時既に遅し。原作があるのかどうか知らないがとにかくストーリーが破茶滅茶。ハビエ・バルデムは好きな俳優だが彼には悪人役が合っている。詩人にも小説家にも見えない。
胸糞悪い連中にイライラ
全米での興行が振るわず、日本公開も見送られた不運な作品だが、これは日本人に受け入れられる作品ではないだろう。配給元も良い判断をしたのでは無いか。その理由として、本作の根源はズバリ聖書。もっぱら私も読んだことは無いが、映画に触れた際に意味が分からなくて調べたら旧約聖書の第何章の・・・という事が過去何度かあったため、そこで調べ得た脆弱な知識を加味すると、全くの無知では無い・・・と自負している。だが、日本人一般はこんな感じではないだろうか。これを機に聖書に興味を持つ反面、逆に絶対読みたくない気もする。
天地創造のあれこれは、やや理解し難い物があると思うが、本作は一般家庭の日常生活における場面に置き換えて天地創造を描いた作品と思われる。本作では妻(マザー)を目線にして具体的に描いており、その構成が分かった時(劇中で理解不能でも後に調べて理解した場合でも)には、見事な構成だと拍手を送りたい程の感動を覚える。だが、そこに至るまでが我々日本人には困難を極めるという訳だ。
まず、本作で母(マザー)を演じたジェニファー・ローレンスは、恐らく地球を表している。そこで、招き入れられた客らは我々人間である。本当に無神経でバカ揃いの客人らであり、私も潔癖が故に自宅に人を入れた事も無いし、入れたら入れたで何を触ったかが気になる位だが、とにかくこのシーンを自分に置き換えると心底胸糞悪い。勝手に物(環境)を壊して、殺し合って、大地に血を付けて、我が物顔で我こそが地球の主だという客人(人類)がいる。地球もこういう気持ちなのかと考えると申し訳なく思ってしまう。そして、登場人物らの台詞から、この惨事が初めてでない事が悟られる。結局また同じ過ちを繰り返すのだろう。
この解釈に加えて、地球上の歴史からも分かる、女性への待遇も皮肉たっぷりに描いているのもポイントである。聖書に対する批判とまでは思わないが、明らかに現代社会の闇と聖書をリンクさせて描いているのである。国が国なら暴動が発生してもおかしくない内容だ。「全世界震撼」や「超問題作」等の煽り文句も間違ってはいない。何だか映画の中で出来ることの最大限を見た気がする作品である。
最低
サブスクで事情があり急いでポイント消費しないといけなかったので、うっかり購入し観てしまい後悔しています。
結局、観ているこちらの脳に多大なる悪影響を及ぼしました。
この監督はブラックスワンという退屈な映画も作っていた人です。(まるでバレエ文化や白鳥の湖という作品を侮辱した映画でした)
アメリカ人ってこんなにマナーが悪いんだなと感じてしまうし終盤では悪魔崇拝のようでした。結局妻と言いながらネタの一環として住まわせて次の女を住まわせてるじゃないですか。
この監督はきっと女性に対して強い憎しみや恨みでもあるのでしょう。
気持ち悪いエグイ描写が突然出てきて大変胸糞でした。
こんなもの公開しないで自分の中だけで楽しめばいいのにと思います。
私はやっぱりダーレンが好き♡
本作は、詩人(男性)の視点からではなく、妻(女性)の視点からキリスト教の欺瞞と矛盾が描かれており、世界中のキリスト教信者+男性達という圧倒的な権力+マジョリティを敵に回した問題作品だったので、ダーレン流石怖いもの無しだわと、胸が震えるほどに感激しました。
この詩人は、つまり男性社会の象徴である『一神教』です。この一神教=男性社会は、自分に才能や権力があると盲信した男、外面だけは良い男、全てを引っ掻き回して台無しにする男、直接的にも間接的にも妻への暴力に加担する男、間接的であれ子供を殺した男、として描かれています。戦争、殺戮、差別、環境破壊等、諸悪の根源は一神教である男性社会だったというオチ。女性を虐待してきた男性社会の歴史。
なんかこの詩人の言動に見覚えがあるなあなんて思ったら、実は身近にいる男性(父親、夫、恋人、上司)だということに気がつきます。だからこそ、この妻の憤りに共感できる女性は多いと思います。
自分が原因で妻や子供が死んでも、何事もなかったかの様に次々と新しい女性に乗り換える詩人。しかも死んだ妻よりもさらに若い妻なんでしょうね。本作を鑑賞後、冷静にこの社会を見てみたら、パーソナリティがある女性ってどれくらいなんだろうって思ってしまいました。女性は、長い間産む道具(妻)としてしか存在出来なかったんだなって。祖母も母も叔母も次に生まれ変わったら、仕事を持って自由に生きたいって言ってたし、私が今存在していることは喜ばしい反面、沢山の女性の苦しみがあったからこそなんだなと想像しました。
厳格なユダヤ教徒の家に生まれたダーレンが、こんな女性目線の作品を撮るとは思ってもみませんでしたし、ここまで神を否定してみせたのも凄いパンク。
私はテクノロジーが進めば出産は男性でもできるようになると思っています。不変だった生命のルールが変わったらとてつもない変化が人類に訪れそうですよね。そんな時に宗教はオワコン化するのか?一神教だけオワコン化するのか?男や女って何それ?になるのか?そんな革命を見届けてみたい気分です。
【”我慢強すぎる創造の母” 不穏感、終末感が尋常でないダーレン・アロノフスキー監督節全開の、怪作である。創世記をモチーフにした作品でもある。】
ー 今作に登場する人物は、誰も名前が出て来ない・・。
草原の一軒家に住む、詩人の男(ハビエル・バルデム)を夫に持つ若く美しい妻(ジェニファー・ローレンス)
そして、そこに訪れる詩人のファンだという男(エド・ハリス)と矢鱈に”子供は?性生活は?とづけづけと聞いてくるその妻(ミシェル・ファイファー)
錚々たる布陣だが、今作はアメリカでの興行で惨敗し、日本上映も見送られたという、曰く付きの作品でもある。
この内容では、不興を買うだろう・・、と思う反面、私は今作を面白く鑑賞した。
但し、事前にアメリカ在住の著名な映画評論家の本で、今作のレビューを読んでいた事が、その要因であることは否めない・・。ー
◆感想
・冒頭、炎に包まれた女性の顔がアップで映し出させれる。だが、この女性はジェニファー・ローレンスではない事が、詩人の男の言葉で分かる。
詩人の男は、火事で前妻を失っていた・・。
・若く美しい妻は、草原に出る事もなく、只管不安げな顔で、家の壁にペイントを塗っていたり、不安感が増すと、黄色い水を飲む。
ー ダーレン・アロノフスキーは、ある映画祭でジェニファー・ローレンス扮する女性は、”激甚化する気象や、戦争により大地が傷つけられている地球の象徴だ”と語ったそうである。
この後の展開は、監督の映画製作の根本理由を知った身には、良く分かる。ー
・矢鱈と、他人を家に招き入れる夫。それに、抵抗する妻。ミシェル・ファイファーが、夫が大切にしているクリスタルを壊した時には、夫も激怒するが、妻が妊娠しその喜びを詩にしたら、ベストセラーになったらしく、嵐の様に家に押し寄せる編集者、ファンたち。
夫は再びその連中を家に入れるが・・、彼らは家をバッコンバッコン破壊し始める。
・そして、漸く授かった男の子を、妻は夫に抱かせない。
”私がマザーよ!”
・だが、男の子は夫により、民衆の中に連れて行かれ、無残な死を遂げる。そして、妻も民衆から暴行を受ける・・。
妻は、家に火を放ち、死に至る前に夫は妻のお腹から”クリスタル”を取り出す・・。
ラスト、灰になったベッドから、新しい妻が姿を現す・・。
ー 成程。ダーレン・アロノフスキー監督版、"創世記"だな・・。ー
<自由で、寛容すぎる詩人の夫はどう見ても、ダーレン・アロノフスキー監督自身であろう。
そして、詩人の夫は天地創造の”神”でもあるのであろう。
もう少し、自身の想いを制御して、商業ベースとして成り立つ作品を作れば良かったのに・・、とも思ったが、観客にイロイロと類推させる面白い映画であった。>
ネタバレ情報を入れない、映画体験として面白かった!!
ダーレン・アロノフスキー監督は、男(「レスラー」)をテーマにしても女(「ブラック・スワン」)をテーマにしても相当上手いので期待しました。期待した(上昇志向がある)ものとは違いますが、拘りは感じました。舞台劇のようで没入度は(初めは)高いですが、主人公は振り回されるばかりで終始状況をコントロールできないのでストレスになり、楽しくはありませんでした。後半は、あまりに状況がおかしいので、何を意味するのかを考えていくのは面白かったです。私は「ローズマリーの赤ちゃん」だと思いました。何故、日本劇場未公開だったのでしょうか。
予備知識(ネタバレ)必須な作品
ネタバレなしで見ましたが、あらすじ通り知らない人がいきなり訪れて、他人の家の大事な物を壊して反省するかと思いきや客室でセッ○スしてるわ家庭問題持ち込んでくるわで前半は普通の人が見たらイライラするだけの作品。
訳が分からないまま後半に突入してさらに?が増していきよくわからないまま物語が終わりました。
最初は後半の展開的に家にある何かの力が夫の願望を具現化してるのでは?と思っていましたがそうでもなく、最後の最後で登場人物の名前が呼ばれていないという違和感に気づいて主人公は実は家そのものだった?と考えたりもしました。
答えとしては聖書の内容を1つの家で再現した作品のようで「そりゃ知らんがな」ってなりましたw
タイトルなし
結局彼女ジェニファー・ローレンスは家なのか何なのか。物語はエンドレスでハビテル・バルデムは悪魔なのか神なのか。次々と家に来る来訪者たちは何なのか、全く理解不能。分かりやすい落ちがラストは来るだろうと期待したが。
ユダヤ人キリスト教の神の再解釈。
私本人も男性で、制作活動をしています。初めの感想は、ハビエル・バルデムがまるで自分を見ているようだということです。制作前に悩みぬいて、作品ができたらハイになって、嫁に見せて、でも人々の名声には興味津々。しかもその栄光もつかの間、また初めに戻って新たな制作の開始。結局は女性のなかにある「自然」からインスピレーションを得て、それを作品に解釈して人に見せることで、名声を横取り。
多くの人が言うように、旧約聖書における神がハビエルであるのは間違いないと思います。そしてジェニファーが、自然そのものなのではないでしょうか。人間を救うために自然を犠牲にして搾取し続けて、愚かな人間を寛容に受け止め、産めよ増やせよとやってきて、キリスト誕生と死、それでも人間の愚行は収まらず、戦争に明け暮れ、最後には崩壊。しかしまた初めに戻る。神の寛容さも人間の側からすれば素晴らしいものだけれども、自然にとってみたらいい迷惑で、じつは神も人間の賞賛が目当て。そういう歪んだ世界がストーリーに凝縮されている気がします。
自然にとっては、人間そのものが悪、人間の自分本位な愛も悪、ヒューマニズムも悪、それに加担し、名声を得るキリスト教の神も悪、そういうメッセージを感じます。そんなこんなで、最近人間至上主義に疑問を持っています。
ミッドサマーというホラー映画で、とある宗教コミュニティが、ある年齢に達したメンバーを殺したり、外部の人間を次々と殺していましたが、それがホラーになってしまうのは、私たちがキリスト教的価値観にすでに影響されているからとも取れます。人間の死を闇雲にタブー視することが、世界の均衡を破り、ひいては自分たち自身の首を絞めることになるということなのかなとも思います。
先に書いた通り、ハビエルの行動が、なぜかそれが芸術家の制作プロセスにそっくりです。私も嫁の冷たい目線を感じながら、工房にこもり、名声を望んだ時期もありました。最近はそういう制作スタイルに疑問を感じ、別な方法で作っています。
非常に考えさせられる作品でした。
まあまあだった
演出なのだろうけど、不自然な感じがずっとしていて、悪夢のような感じで、最後やっぱりそうだったかとなる。悪夢はこんな感じだなあと思うのだけど、見ていてストレスがたまる。自宅をあんなふうにいろいろな人が訪れて好き放題されたら、素敵な家でなくてもたまらない。
地球ちゃんがんばる!
終始、クズ神とクズ人類たちに翻弄され、アタフタする地球ちゃんが可愛い映画。
地球史上一番売れているラノベ『聖書』すら知らん人たちの「解らんからクソ映画」なレビューは、このサイトだけでなく、至る所に溢れているが、それは日本感覚からして仕方ない。それほど日本人は宗教に興味がなく、学も無い。調べもせず、理解もせず自分の好みでなければ駄作のレッテルを張るいつものレビュー。レッテルや無理解に関しては日本だけでないけど、それが普通。
ただこれほど、キリスト教を皮肉ったコメディが評価低いのは、個人的には残念。
ラストの赤さん殺しやバカの曲解によるカニバリズム、果ての円環も、確かに酷過ぎるエグさだけれど、あそこまで描いて始めて伝わるのが、人間の業と阿呆レベル。このエグさに目を背けても良い人はキリストの言う「石を投げられる資格」を持つ人だけ。
気分が悪くなる!
なんなんだこれは?
奴は、悪魔か?
はたまた神なのか?
別に日本で公開してもよいのでは?
ジュニファローレンスね
乳首やおしりはエロいね。
ミシェルファイファはオバちゃんに
なりはりました。
聖書の隠喩に満ちている
予備知識がないまま観賞。
冒頭からいっさい名前を呼び合わない登場人物たちに、一筋縄ではいかない展開を予想。しかし旧約聖書の天地創造の話がベースになっているとは、思いもよりませんでした。
細かいところで何を隠喩しているかは全て解きほぐせませんが、ベースの話は聖書でほぼ間違いないと思われます。
ハビエル・バルデル演じる夫は神、ジェニファー・ローレンスは大地神もしくはマリア、そして楽園・大地または地球そのもの。
創造に苦悶する神は『創世記』をなぞらえ、最後に生み出した生命は自分(神)に似せた人間(アダムとリリス)。
エド・ハリスはアダム、ミシェル・ファイファーはリリスもしくはイブ。
ミシェルはイブというより、人間最初の女でアダムの最初の妻、性に自由奔放なリリスに近いと思いました(しかしアダムは劇中「再婚した」と言っていたので、二番目の妻イブかもしれません)。
アダムとリリスは楽園にいる神に会いに来る。調和の取れた楽園から追い出したい女神。しかし土から自ら生み出した人間を神が追い返す道理はないわけで、神は人間と対等に対話できることに興奮すら覚えている。
しかし女神の感じた不安は的中し、のちに息子たち(カインとアベル)がやってきて、人類最初の殺人は行われてしまう。
楽園(家)を穢され二人を追い出したのもつかの間、神はそんな欠点を持つ存在も、それを作った自分のせいだとばかりに受け入れてしまう。
ノアに「産めよ増えよ」といった神の言葉そのままに、人間の数は激増、彼らは神を求めて押し寄せる。
ここからは確信のない想像なのだが、生命の土台と調和を美しいものにしようとする女神の前に何度も現れる不気味なシミや地下の炎は地獄の業火か、次々に行われる人間の罪を表し、後半カオス状態になる家の様子は加速する人間の強欲さ、性欲に溺れ、戦争を始め、大地を汚染する人間の罪そのもののメタファーだと思いました。
ちなみに神に徴(しるし)をつけてもらう人間の姿は善き人間を選り分ける黙示録の場面のようだし、人間が奪い合っている小説の原版は「神の言葉」=モーセの十戒の原板を意味している気がしました。そして最後に産み落とされるのは勿論、イエス・キリストですよね。神はいわば、人間に殺されるとわかっていながら息子を差し出すのです。
女神をリンチする人間の姿は難解ですが、神と私だけいればいいという女神の態度は「人間など不要」と言っているのと同義なので、憎まれたのかもしれません。
いつか地球が滅びて無くなっても(ジェニファー=女神の自殺)、また懲りずに神は天地を創造するのです。
映画【ノア】で見られるように、聖書の物語を、閉ざされた空間での人間同士の緊迫したサスペンスに転化する辺りは監督の手腕でしょうが、ではかといって面白かったかと聞かれると「聖書」と気がついてしまうと面白くは無い。
【エデンの東】などのように聖書の話を現実世界でなぞらえつつ、人間ドラマに昇華しているならまた別でしょう。
ブラック・スワンがすごく好きだったので、この作品もみてみようと思い...
ブラック・スワンがすごく好きだったので、この作品もみてみようと思いました。
最初はだるかったけどだんだん面白かったです。赤ちゃん殺されるとこは心が痛かった
大草原の大きな家
住み始めたばかりの詩人(ハビエル・バルデム)とは親子ほど年の離れた妻(ジェニファー・ローレンス)が家の修繕に精を出す。そこへ次から次へと訪れる不条理な客人たち。最初は整形外科医であり、詩人の熱烈なファンだという男(エド・ハリス)。見終わってから考えると、禁煙だというのに平気でタバコに火を点けるところ以外は彼が一番まともな客人だったが、理不尽な事件の発端でもあった。妻はそんな彼のジッポライターを隠してしまったことが原因なのだろうか、様々な珍客によって彼女の人生も狂ってしまう。
翌日訪れた、図々しさの極である彼の妻(ミシェル・ファイファー)が前半ではもっとも苛立たしい客だった。自分のファンだからというだけで、親切心も甚だしい詩人もどことなく秘密がある雰囲気。やがて2人の息子もやってきて、兄が弟を殺してしまうという衝撃の展開。人が良すぎる詩人は自分たちの家で葬式まで執り行ってしまうのだ。まだ修繕も完了しない中、家の中もズタズタにされてしまうが、スランプ中だった詩人もこの災難をネタに新作への意欲を沸かし、また、性生活から遠のいていた彼は子作りにも励みだす。
前半だけでも不条理感たっぷりで、車も無さそうだし、どうやってこの家にたどり着いたかも、なぜか妻だけがずっと裸足だったのかも一切説明がない。時は流れ、傑作となる詩を描き終え、妊娠して順調になった妻はさらに不条理な世界を体感する。自分が初めて読んだハズの原稿なのに、編集者から祝いの言葉、さらには取材陣も訪れるという・・・。それからが怒涛の訪問客。家の中は荒らされ放題で、暴徒化した人々にデモ隊やそれを阻止する警官隊。ついには戦争まで起こってしまったり、処刑を行うテロリスト。そして、人々の死を追悼する教会まで出来上がってしまうのだ。順番が定かではないが、なんだか凄いものを見てしまった気がする。狂ってしまい、破滅へと導かれた家だったが、最初から創り直せばいいと一点張りの詩人。戦争の荒れ狂った中、出産してしまった妻も創造の女神と崇められ、悪い気もしなかったのも束の間・・・狂信者たちによって赤ん坊は食いちぎられてしまったのだ。何とおぞましい展開。
ネットでの解説サイトをチェックすると、旧約聖書のメタファーだということも納得できました。ただ、産まれてきた子を食うカニバリズムは聖書とは関係なく、中盤のトイレの中の異物や、ラストの心臓なんてのも無縁のもの。序盤で壁が心臓のような鼓動を感じるのも、家が生きていることを表しているのでしょうか。地球のメタファーだと捉えることもできるようですが、そんなことは抜きにしても、とにかく破壊的なシークエンスは強烈なインパクトがありました。さらに、大切なクリスタルがこんな具合にループして、新しい女とやり直す詩人の哲学的なこと・・・悪夢を見てしまいそうですけど、まさしく心臓をつかまれるほど凄い映画でした。特に親切心に付け込んで悪意を蔓延させるようなことは国家間で起こりそうな大問題。まぁ、全ては理解できませんでしたが、何かを感じ取ればOKってことで、大好きな作品の一つになりそうです。
問題作だけど実は傑作
映画の核心は非常に深く、傑作。前半は意味不明だが、後半につれ、セリフが深い意味を持ち始め、徐々に核心が明らかになるようになっている。
常に女性の立場から描かれているのがとても印象的。神の慈悲、皆への寛容がもたらす衝撃的な展開はまさに強欲な人間の本質を非常に早いテンポで象徴的に映し出しているのである。移民受け入れ反対の自国主義をの現実が世界で進んでいるのを批判しているようにも感じる。
正に母なる大地か
母なる大地に全てを受け入れる想像主と自我の欲望むき出しの人間の関係性を描いた映画ってことだろう。
この映画を観ていて胸糞悪くなっている感覚(我が物顔でづかづか家に入ってくる人々)が実は自分にあてはまらないか?という事で、普通に生活している人間でも知らず知らずに地球の資源や自然を犯している。でも本人はそれほど気にもとめていない、最初に来た夫婦しかり自分達も母なる大地からすればこの夫婦と同じなんだろう。また想像主はそういった罪人をも受け入れる、一見崇高な存在に見えるけど映画で見る限りはそうは思えない。
人間はもとよりある種、神を皮肉った映画なのかもしれませんね。
そういった戒めを人というキャラクターに置き換えた演出は面白いけど、見つめ合うシーンや物思いにふけるシーンが多すぎてダレますね。
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