劇場公開日 2018年9月7日

「原作の設定とキャストの違和感を、うまく演出でカバーして、消していたのがよかった。」累 かさね Push6700さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5原作の設定とキャストの違和感を、うまく演出でカバーして、消していたのがよかった。

2019年12月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

原作を読んでいていつも思っていたのは、そんなに自分の醜い顔がいやなら、整形手術すればいいじゃないの?ということだった。

整形したことないし、知識もないので、どこまでできるのかわからないけど、そこそこ見られるようにはなると思う。

そこそこ見られるようになれば、美人の役ばかりではないので、演技力があれば女優として十分やっていける。

そもそも美人過ぎると現実感がなくなるし、できる役の幅もかなり狭くなるので、かえってよくないと思う。

あとこの映画の予告編やポスター見て思ったのが、主演の二人が両方ともきれいでおかしい。

美人女優のダブル主演でお客さん呼びたいのはわかるけど、ニナの役はいいとしても、累の役は芳根京子さんみたいな整った顔の人では、ストーリー自体が成り立たなくなる。

百歩譲ってこの二人でいいとしても、芳根京子さんの方がきれいなような気がするので、配役が逆のような気がした。

でも顔の派手さからいって土屋太鳳さんをニナにするしかないのか?と何かとても釈然としない気分だった。

実際に映画見てみたら、この2つの違和感を累の顔の傷をものすごく誇張することで解決していた。

原作でも顔の傷はあるにはあったけど、プラスアルファ的で、元がものすごく醜い上にさらに傷みたいな、オマケみたいな扱いだった。

でも映画ではこの顔の傷を、お化けの口裂け女並に強調していた。

この顔の傷を、入れ替わる時のシーンのCGで、さらに不気味にして、ホラー映画みたいな感じを出していた。

これではどんな美人でも、整形手術でも、カバーするのは無理かもしれないと思わせるような演出がうまくて感心した。

内容的には、その他の設定やストーリーもうまく改変してまとめていたし、ほとんど土屋太鳳さんの一人舞台という感じだったけど、主演の二人の演技もさすがNHKの朝ドラ女優という感じでよかった。

でも終わり方が、続編を意識していたのかもしれないけど、納得いかない感じだった。

このままいくと続編には、当然芳根京子さんは累として出てくるのだろうけど、原作では死んでしまって別の人が出てくるはずなのに、またニナ役で土屋太鳳さんが出てきそうな勢いだった。

Push6700