「HOPE」栞 AKIRAさんの映画レビュー(感想・評価)
HOPE
生きていくなかで、岐路に立った時、壁にぶち当たった時に思い出しては観る映画がいくつかあります。
栞はその中の一つになりました。
描かれているのは躓きであり、後悔であり、絶望であり、衝突なのだけど、なぜこの映画からは希望の匂いがするのでしょう。
それはきっと物語の中の人々が、たとえそれが失意の中であっても持っているバトンを誰かに必死の思いで渡そうとしているからだと思いました。
脊髄を損傷したラガーマンから理学療法士へ。父から子へ。同僚が共に働く人々へ。兄が妹へ。同じ病気を診ようとする名も知らぬ若者へ。
それは人が生きて行く過程や歴史の中で、ただひとつ尊い行為なのではないかと思うのです。
僕は理学療法士ではなく、周囲の親しい人間にその職に就いている人はまだいないのですが、どんな仕事や生き方を選んでいるかにかかわらず、その点においてこの映画はすべての人々に、息を吸ってまた歩き出すための力を思い出させてくれる作品だと思います。
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