「超人になったのび太」映画ドラえもん のび太の宝島 YOSHIYUKIさんの映画レビュー(感想・評価)
超人になったのび太
子どもの付き添いで、十数年ぶりに映画館で、劇場版ドラえもんを観に行きました。なんかがっかりでした。がっかりな理由を3つ書きます。
①涙・泣き顔の押し売りが少々鬱陶しい。
作り手が作品に込めるメッセージをキャラクターに代弁させることなどで、どうぞ泣いてくださいという場面を作り出すのは、「STAND BY ME」のドラえもんくらい、しつこかった気がします。ただ、昔のドラえもん作品にもそれなりにあったかなと思ったので、そこまで本作の評価を下げはしなかったです。
②格闘アニメ界に転向したら、のび太君?
この点が、本作品の評価をがくっと下げた一番の原因です。昔のドラえもんでは、確かに主要キャラは活躍していたと思います。TV版では見せない人間的な側面、そして各々の成長が垣間見えるから、いずれのキャラも光っていたんじゃなかったかな~。他にも、ドラえもんのひみつ道具のおかげで活躍しているシーンは魅力でした。魔界大冒険、西遊記、夢幻三剣士、創世日記などなど、ひみつ道具を使いこなすことでのワクワク感がありました。ひみつ道具を使いこなすシーンは、本作でもそこそこあった…でしょう。
でも、今回の、特にのび太の活躍で解せなかったのは、映画終盤にドラえもんを助ける際、“素手”だったことです。ドラえもん世界の中で考えても、従来の、のび太像を変えてしまったように思えました(確かに、テキオー灯をちらつかせていたシーンはあったけどねぇ…)。この点は、どなたかが書いていた、ひみつ道具に関する説明がほとんど無い見せ方によってもたらされたのかもしれません。ちなみに、のび太がドラえもんを助ける前にも、ドラえもんが巨大なエネルギーに立ち向かっていくシーンがありました。どなたかが書いているレビューにも、ドラゴンボールのようなだという感想があったと思います。魔人ブウに立ち向かう孫悟空と重なってしまいました。
③星野源もいいけど…
本作のエンディングテーマが流れた瞬間、示し合わせたかのように、子どもたちが歌いだしたのには驚きました。ドラえもん作品のエンディングテーマといえば、武田鉄矢や西田敏行の印象が強く、子どもたちがこぞって歌いだすような曲ではなかったものの、なぜか心に残るメロディー・詩だったのですが…星野源は嫌いじゃないんですけどね。ドラえもん全般に当てはまる詩であって、別に本作品のエンディングテーマにしなくても良かったんじゃないですかね。エンディングテーマの選出が、作品の内容如何に関係なく行われているようで、劇場版ドラえもんの位置づけが変わってきたのかなと少し悲しくなりました。
まあ、要するに、過去の劇場版ドラえもん作品を観た記憶を美化する歳になったんでしょう。