J ビヨンド・フラメンコのレビュー・感想・評価
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ただその踊りと情熱に身を任せるだけでいい。
スペインの巨匠、カルロス・サウラ監督が放つドキュメンタリー。フラメンコの起源のひとつである「ホタ」について描いた作品だ(それゆえ原題も”Jota”)。カウラの出身地であるスペインのアラゴン地方は、まさにこのホタの発祥の地でもあり、そのリズムやステップから現代のフラメンコとの違いや繋がりが感じられて興味深い。またそこにはアラブの伝統も息づいていて、古よりこの地が様々な地域と交流を続けてきた伝統が伺える。 サウラは無駄な要素をいっさい省き、広いスタジオにスクリーンや鏡を用意し、時に色鮮やかな照明とカメラワークを駆使してダンサーや音楽家たちの一挙手一投足をダイナミックに写し取っていく。ドキュメンタリーだからといって説明もほとんど無し。観客はただこのリズムとメロディ、そしてじっとしていられなくなるほど情熱的な跳躍を、ただ一身に感じて、体内で燃焼させれば良い。ただそれだけでホタの魂が伝わってくる。
スペインのお国自慢
フラメンコは情熱の国スペインの代名詞のような有名な舞踏だがタイトルの「フラメンコを越えて」とは何なのでしょう・・。どうもホタと呼ばれる民族舞踏がテーマらしい。
スペインの舞踏史をひも解くと
・フラメンコ(Flamenco)スペイン南部のアンダルシア地方を中心伝わる芸能で国際的にも有名なジプシー発祥の情熱的な舞踊、スペインの無形文化遺産
・ボレロ(Bolero)
16世紀劇場芸術の一部として発達したバイレ・クラシコ (古典舞踊)。
・ファンダンゴ(Fandango)
スペインで最も有名な、活気があり明るいスペイン舞踊。
・ホタ・アラゴネサ(Jota Aragonesa)
北スペインのアラゴン発祥。速いテンポと手を高く上げカスタネットをたたきながらカップルで踊るのが特徴。
他にもサルダナ(Sardana)、ムニェイラ(Muñeira)、サンブラ(Zambra)、パソ・ドブレ(Paso doble)など、なんとカタルーニャ地方だけで200を越える舞踏派があったというからスペインはまさに民族舞踏の宝庫なのですね、本作のホタはフラメンコのルーツともされ北スペインに留まらず民族舞踏の総称のように扱われています。
ドキュメントですが解説めいたナレーションも無く只管、踊りや歌、演奏が続きます、ホタのルーツは求愛ダンスだったらしいですがまさに腕を上げて細かいステップを踏む様子は小鳥のそれのようにも思えますね。
そんな古典ですが後半の作品は時代と共に洗練と言うか他の影響を受けて様変わり、踊りもクラシックバレー顔負けの優雅さやピアノもまるでビルエバンス風にジャージ―でした。あのチゴイネルワイゼンで有名なサラサーテのホタがあったのには驚きましたが、スペインの人なので魂のルーツだったのでしょう。スペイン人が自国の伝統芸能を誇りに思って情熱的に描くのは至極当然ですが、醒めた目で観るとまるでスペインのお国自慢、さながらプロモーションビデオのようにも思えます。正直、前半は似通った踊りが続くので思わず時計を見てしまいましたがなんとか最後まで鑑賞できました。
JOTA JOTA JOTA!
其の歴史、音楽的、踊りの今昔を見ることができたんだと思います。
冒頭の子どもたちのレッスンが、とても参考になったというか…
レッスンで少しJOTAをやっているせいか、音や踊りがとても沁みました。
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