劇場公開日 2017年8月19日

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「エグゾーストノート、ブレーキング、タイヤの空転音、ワイパーの作動音・・・すべてが音楽とシンクロする。"運転=ダンス"のようだ」ベイビー・ドライバー Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5エグゾーストノート、ブレーキング、タイヤの空転音、ワイパーの作動音・・・すべてが音楽とシンクロする。"運転=ダンス"のようだ

2017年8月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

単純

興奮

音楽とドライビングテクニックが完璧にシンクロする!スバルのWRCがカッコよく踊る。ミュージカルのダンスシーンのように華麗でクール。計算され尽くしたドライブパフォーマンスに興奮。

音楽のビートやコーラス、リズムに乗りながら驚異のドライビングテクニックを見せつける、若き天才ドライバー、"ベイビー"の活躍を描く作品。プロの彼の仕事は、強盗犯罪の逃走を手伝う"逃し屋"。しかも出逢った運命の女性デボラのために足を洗う覚悟をする。

まるでライアン・ゴズリング主演の「ドライヴ」(2012)のような設定だが、"ベイビー"が愛用する、iPodには仕事を完遂させるためのお気に入りのプレイリストが入っている。そのプレイリストの曲に合わせて信じられない運転テクニックが引き出されるのが、ステキだ。

そもそもクルマ好きは、何が好きなのか? もちろん運転そのものや、物体としてのフォームやたたずまいという人もいるだろう。しかしそのひとつに、"サウンド"もあることは確かだ。それは"内燃エンジン音"しかり、ドライブに寄り添う"オーディオ"しかり・・・。

エンジン音、エグゾーストノート、ブレーキングノイズ、急発進タイヤの空転音、ワイパーの作動音・・・本作はすべてが音楽とシンクロする。"運転=ダンス"のようだ。ただでさえ寡黙な"ベイビー"はイヤホンをつけながら行動をするので、セリフは少なく、部分的にはミュージックビデオのようでもある。

「ワイルド・スピード」シリーズ(The Fast and the Furious/2001~2017)を観ていると、"もうカーアクションには新しい局面はないのではないか"と思えるときもあるが、それを見事に裏切っている。これは制作・脚本も兼任するエドガー・ライト監督の為せる技である。ただ音楽と映像の素晴らしいシンクロを除くと、凡庸なプロットで、大絶賛されているような評価は大げさ。ストーリーではなくドライビングを全身で体感する音楽映画だ。

主役のベイビー役は、「きっと、星のせいじゃない」(2015)や「ダイバージェント」シリーズ(2014~2017)でシャイリーン・ウッドリーと共演している若手のアンセル・エルゴート。まだ23歳の、まさに童顔(ベイビーフェイス)のイケメンである。「ダイバージェント FINAL」はちょうど同日公開である。

ヒロインのデボラ役は、ディズニーの実写版「シンデレラ」(2015)を演じたリリー・ジェームズ。正真正銘の可愛さ。犯罪者仲間で、ケビン・スペイシーやジェイミー・フォックスといったベテランがしっかりと存在感を発揮している。

(2017/8/19 /新宿バルト9 /シネスコ/字幕:栗原とみ子)

Naguy