「静かに響く」blank13 blank25さんの映画レビュー(感想・評価)
静かに響く
映画公開前からずっと観たかったのですが人前で観る勇気が出ず。自分の誕生日にAmazonでポチりました。
この作品の存在を知った時は鳥肌が立ちました。
この作品と似たような境遇の人は世間に沢山いると思います。私もその1人です。
私はコウジと似た立場の人間です。
自分に少しでも重なる人の心には大なり小なり響き
全く重ならない人には、理解できない・胸糞悪い
そんな作品なんだろうと感じました。
この映画の存在を知った時、映画を観たら号泣するんじゃないかと思ってました。
結果的には感情が大きく揺さぶられる事はありませんでした。泣かなかったです。
でも…なんていうか、頬の裏側を乾いた落ち葉でカサカサ撫でられたような。静かに佇む水の中に小さな石をポトリと落としたような。
静かに心が揺れました。
時間が経つとジワジワ心に広がりました。
葬儀の最後に言ったコウジの気持ちは分かります。
嫌いだったけど
少しだけ好きなような
私もそうだったな。と思い出しました。
家族って何なんでしょうね。
時代が変わっても家族の形って色々あって。
血が繋がってる・一緒に住んでる・そうじゃなくても戸籍が一緒とか。
色んな家族がありますけど、家族なのに他人より遠い存在なこともあるじゃないですか?
この作品みたいに。
私と父はblank 25年でした。
借金背負わされたらたまらない!と言い訳してダラダラ時間だけ過ぎて、いざ勇気を出して父を探しに父の故郷に行ったらすでに父は亡くなっていました。会いに行った時期のちょうど2年前に亡くなったと知りました。
父の最後は『知らんほうがよか』とだけ親戚には言われました。
突然離れて暮らしてから23年。
亡くなるまでどう過ごしてたかは知りません。
知る術がない。
なんのピースもないんです。
思い出すと苦しくなります。
自分以外の家族(母・弟)も、作中のヨシユキや母:洋子のように父の死を悼みながらも父については語ろうとしません。
母が苦労していたのを知っていたらから、私自身も家族の前では話せません。
でも、父に会いたかった事。ずっと気にしていたけど会おうとしなかったことを今も後悔していてそれを誰にも話せなかった。
苦しいです。とても重かった。
生きた父には会えなかったけど、
父の葬儀も無かったけれど、
この映画の中に自分を投影して、自分の苦しみが少し軽くなった事に、時間が経って気づきました。
私みたいな人のための映画だったのかもしれません。この作品には色んな人の解釈があると思います。
人は間違うし、逃げるし、素直になれないこともあるし、タイミングが合わないとか、小さなボタンのかけ違いで、どんどん時間が経って、取り返しのつかない人生を歩む事にもなりえる。
色んなひとがいて色んな家族がある。
私にはとてもささりました。
セリフが少ないけれど粛々と流れる作品に救われた人間がここに居ます。
レビューなのに上手く言えなくてすみません。
DVD大切にします。
ありがとうございました。
自分は隅田川と荒川が並んで流れている近所に住んでおりまして、今日何の気なしにこの映画に出てくる光景を眺めながら、何の気なしに二度目の鑑賞となりました。
初めて見た時に感じ得なかった様々な想いがあり、あらためてこの映画に引き込まれました。
そして何気なくこのサイトでの口コミを読んでいたらあなたのこの書き込みに出会い、更に心が揺さぶられてしまいました。
そうしてもイイネとコメントを書き込みたくて、ユーザー登録し、電話番号の認証を済ませ、ようやく書き込むことが出来ました(^0^)
まさにあなたの仰る通りで、自分の人と多かれ少なかれ重なるひとと、まったくそうでないひととでは、この映画に対する想いはまったく異なるんだと、色んな方の口コミを読んでそう思いました。
25年のピースは見つからなかったけれど、この映画があなたの気持ちに変化をもたらすひとつのきっかけになったのであれば、それはとても素晴らしいことだと思います。
映画って、そういう側面を持っていると思います。
二度目の鑑賞ができ、あなたの優しい口コミに出会う事ができ、今日は良き日になりました。
本当にありがとうございました。