女は二度決断するのレビュー・感想・評価
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邦題は何を意味するのか
「二度」の中身は何か。二度目は衝撃的な結末の行為に至った決意であるとして、一度目はその直前の小鳥を見ての逡巡を指すのか、あるいは当初、まっとうに裁判闘争に賭けたことを意味するのか。いずれにせよ、変な先入観を持たせる気取った命名はやめて欲しい。最近は作品の内容を理解していない下手くそな邦題が横行して迷惑している。製作者に対して失礼である。できる限り原題に忠実であるべきだと思う。誰か原題の「Aus dem Nichts」の意味を教えてください。
☆☆☆☆ 予告編を見た限りでは。ケビン・ベーコン主演の『狼の死刑宣...
☆☆☆☆
予告編を見た限りでは。ケビン・ベーコン主演の『狼の死刑宣告』の様な、激しい復讐劇の女性版か?…と思えた。
だが実際に映画本編を観たらかなり違っていた。
映画は三部構成になっており、それぞれを表すと…。
I、家族ー事件ー悲しみと重苦しい雨。そして或る決断!
II、正義ー法廷劇ー怒りと憎しみ。
III、海ー復讐劇ーもう1つの決断!魂の浄化。
…とでも言ったところでしょうか。
流石にハリウッド性のエンタメ作品とは違い、問題提起を観客側に投げ掛ける作品にはなっていた。
でもその投げ掛けている部分が、決して小難しい演出にはなっておらず。極めてエンターテイメントになっているところがとても良い。
特に三章目にあたるギリシャ編での追跡劇では。音楽の効果も有り、いつ敵側の反撃にあってしまうのか?…と、観ていてハラハラさせられてしまう。
映画は最後の最後に、観客の予想を越える結末を迎えるのだが。人によっては、その境地に至った想いが今ひとつ伝わり辛いかも知れないなあ〜…とは多少思った。
とは言え、非常に面白いエンターテイメント作品の秀作でしょう。
2018年4月25日 ヒューマントラストシネマ有楽町/シアター1
ドイツの裁判には結審までに期間の制限があるのか?ギリシャのホテルに...
ドイツの裁判には結審までに期間の制限があるのか?ギリシャのホテルに本当に滞在していたかどうか、もっと時間をかけて徹底的に調べ上げないのかな、と思った。
前半は少し冗長な感じがあり、裁判やギリシャの場面の方が面白い。ラストの「決断」は議論を呼ぶだろう。
逡巡
ダイアン・クルーガー主演のドイツ映画。
実際に2000〜2007年の間にドイツで横行した、ネオナチによる外国人排斥テロをモチーフにしたお話。
当時はドラッグやギャンブル絡みの争いと目され、的外れな捜査が被害者周辺にばかり集中して、後に捜査当局が批判を浴びたのだとか。
それはさておき、作中では捜査よりも、容疑者逮捕後の裁判と判決後に多くの時間が割かれます。
物語の軸は、トルコ移民の旦那と子供を爆弾テロで失った悲しみと怒りを、残された妻がどう整理し、ケジメをつけるのかという点。
涙の果てに憎しみの炎を燃やし、復讐心に駆り立てられる妻。
しかし、自身のやろうとしていることが、テロ犯と同様であることにふと気づき逡巡する様に、とてもナチュラルな感情の揺らぎを感じました。
最期に彼女がとる行動はそんな苦悩から生まれた、誅罰と贖罪をないまぜにすることで、彼らとは似て非なる行為に昇華させようとした、彼女なりのメッセージに思えました。
4.6
すごい作品を見た、気がする
ダイアンクルーガー渾身の演技
なんといっても観客の心を掴む様々な演出が素晴らしい
チャプター制にすることで観客に心の余裕を持たせながらも、長回しのカットで観客に緊張感を与える
全員の演技に脱帽ではあるが、特に相手方の弁護人ははらわたが煮えくりかえる演技だ
テロリストたちの心の余裕をキスシーンで表し、義理の両親の冷淡さを無表情で表す
リストカットの再現度の高さからは、気分が悪くなる観客も多いのではないか
タイトル、2度の意味も解釈出来るが少し安直ではなかろうか
衝撃のラストは予想は出来るものの緊張感と迫力は計り知れない
おすすめです
ドイツ語分かれば良かった…
久しぶりにヨーロピアン 映画を見たので映画見るの楽しみにしていました。
ロングテイクが多かったので映している意味があんまりがわからないところが何個かあった。
音楽が良かった。
最後のシーンがあんまりわからなかった!もう一回見たいと思った!
ドイツ語がわからないから裁判のシーンで理解しにくかった!
女優さん・俳優が綺麗だった!
いつもハリウッド映画しか観ないので今回久しぶりにヨーロッパの映画を見て良かったと思った。
また観たいと思った。
人の中にあるケモノ
爆弾テロという単語が、画面の中のお話の様にどーしたって感じてしまう日本人。でも、だからこその作品かもしれない。
爆弾テロは何も無差別大規模を狙ったものだけではなく、このような無差別極小規模も存在する、ということ。そしてそこには、人種的な選民思想が拭えずあるという現実。更には、他人事ではなく、我々日本人も内包しているものである問題。問題なのか、それが人という生物なのかはわからないけれども、そんな事を考えるきっかけとして秀逸な作品でございました。
その決断は衝撃的だが、共感できない
ドイツのハンブルグの刑務所。
トルコからのクルド人移民二世ヌーリ(ヌーマン・アチャル)は、麻薬の大量所持により服役中。
だが、獄中で、ドイツ人女性カティヤ(ダイアン・クルーガー)と結婚する。
ふたりは大学時代に知り合っていた。
それから数年。
ふたりの間には可愛い息子が居、出所したヌーリはハンブルグのトルコ人街で税務関係の事務所を開き、地道に働いていた。
が、ある日、ヌーリの事務所前で爆発事件が起き、ヌーリと息子は亡くなってしまう・・・
といったところから始まる物語で、カティヤの目撃情報をもとに容疑者が逮捕され、裁判が開かれる。
彼女の目撃情報も役に立ったが、逮捕のきっかけは犯人の父親からの通報だった・・・と展開し、犯人カップルはネオナチであることがわかる。
さて・・・
で、これが簡単に、ふたりが犯人でした、となるならば、まぁ、ハナシとしてツマラナイ。
いや、出来れば、そちらの方が観たかった。
裁判で有罪が決まれば納得できるのか、というとそうでもないだろうし、かといって復讐するわけにもいかない。
そこいらあたりを、通報した犯人の父親と遺されたカティヤとの間でなにがしかが展開されれば、かなり興味深い題材になったと思う。
(実際、裁判が終わった際、判決が出る前にに犯人の父親とカティヤがすれ違い、言葉を交わすシーンがあり、おおお、これが展開するのかと思ったのだけれど)
けれど、物語は、そうは展開せず、被告側の極右証人の偽証も明白なのだけれど、「疑わしきは罰せず」の原理に基づき、無罪となってしまう。
やるせないカティヤであるが、やはり、彼女がとる行動については共感できない。
一度思いとどまった、としても・・・である。
自らもろとも・・・というのは判らなくもないが(3部構成でその頭にカティヤ家族のプライベート映像が挿入される、事件後、止まっていた生理が一度目の決断の後にやって来る、など意味ある描写がある)、やはり自爆テロを連想させるし、被害者のヌーリはまったくの無宗教だったということから、この行為、やはり自暴自棄、これしかない、思い込みの行動にしか見えない。
ということで、衝撃的な結末、共感できない。
あがいた末、苦悩した末の行動であっても、である。
平凡な復讐エンタテインメント作品よりも罪深いような印象がしました。
ゾクゾク
65本目。
数十分後に同じスクリーン、ほぼ同じ席、奇しくも主演の名前がダイアン。
法廷シーンは好きだし、面白かったし、そこから俺の中で動きだした感じ。
作品の静けさが緊張感を持たせていい。
最後は韓国映画っぽいかな?って思ったけど、面白かった。
でもネットで調べりゃ爆弾作れんだから、怖い怖い。
女は二度決断する
2018年39本目の劇場鑑賞。
卑劣な移民排斥テロによって最愛の家族を奪われた女性が、
絶望と怒りの中で立ち向かう理不尽な現実とその顛末を描いた緊迫の復讐サスペンス。
カティヤに起きた悲劇について、
話は三部構成で語られている。
基本的に説明のない映画であり、
カティヤの主観オンリーで物語が展開する。
見所は俳優たちの演技力高さだと思います。
カティヤ演じるダイアン・クルーガーは、
本作で第70回カンヌ国際映画祭女優賞を受賞も納得の演技。
他には、
容疑者の父親ユルゲン役を演じたウルリッヒ・トゥクールの、
取り返しのつかない深い罪悪感背負った謝罪、
容疑者側の弁護士ハーバーベック役を演じたヨハネス・クリシュ。
彼の厳つい顔と憎々しい演技も印象深い。
いい作品ではあるが後味はいいとは言えない。
人は殺し合いをやめない
見終わった後も、様々なシーンが蘇り考えさせ色々な事を語りたくなる、こう言う映画は私にとって良い映画である。
辛いシーンがあちこちにある。
雨の描写は彼女の涙、脇腹に入れ墨を入れるシーンは、彼女の実質的な痛みと心の痛み。トルコ人との結婚を実は祝福してなかったと分かってしまう実母からのなじりのシーン。
義母から「あなたが孫を見てなかったからよ!」と詰め寄られるシーン。
二人自身は幸せだったけれど、彼女を取り巻く親族からは、かなり距離があったんだと思わせる。彼女に寄り添うのは、移民の友達たちのみ。
たくさんの入れ墨を入れて、過去に大麻をやっていたという彼女は、個性的な人生を送ってきたのだろう。そしてサムライ(浪人)の入れ墨は何の意味があるのだろう‥
映画の最後は、この方法しかなかったのか⁈と思わせる、が、サムライの入れ墨を入れた彼女は、サムライの妻らしくしたのだと私は無理矢理思った。
複雑な気持ちですが、観て良かった
本作品、実話と聞いていたので、てっきり、イスラム教テロの話かと思っていたのですが、ネオナチによるテロの話で、私的と言うか、日本人のような島国の国民には、あまりピンときませんが、しかし、色々な考えの人がいますね・・・
本作品、非常に残念な事件、残念な裁判、残念な結末でした・・・・
事件に関しては、主人公の女性に同情的ですが、ラストは共感が出来ないかな・・・でも、本当に追い込まれると人間何をするか分からないので、客観的にしか言いませんが、しかし、非常に考えさせられました。
映画的に言うのなら、事件の詳細の部分があっさりしているかな・・・
もっと事件の事を詳細に作って頂ければ、もっと感情が入りやすかったと思うな・・・
しかし、ネオナチなんているんですね。それもいまだに過激な活動をしているのですね。古い話ですが、私の子供の頃、「マラソンマン」と言う映画が有って、ナチの生き残りが活動しているんだと言う空想な話かと思っていましたが・・・・
しかし、本作品、全世界にネオナチがしている卑劣な事を伝えて行く事に関しては、いいと思うし、見るべきだと思います。
PS
本作品、新宿武蔵野館で見たのですが、冒頭の15分位、遅れて入ってくる人続出で、遅れてくるのは仕方がないとしても、小さな映画館なんだから、ガタガタ音をたてたり、スマホつけながら入って来たり、遅れて平気な顔で、堂々とスクリーンの前とか横切るの止めろよ!
教養がなさすぎるね・・・・
ラストが凄い
もうラストが圧倒的に凄いの。「あ!」って開いた口がしばらく塞がらなかったもん。
そこまでは冷静に振り返ると裁判映画だから、そんなに見せ場はないのね。でもダイアン・クルーガーの演技で観ちゃう。
法廷のやり取りは納得感あった。相手の弁護士は嫌な奴に見えるけど、与えられた職務を全うしてるだけなんだよね。だからちょっと「俺だって、これが良いとは思ってない」みたいな表情するしね。
法廷のやり取り観ててね「これ状況証拠しかないし、しんどいなあ」と思ったの。そこに「アリバイはあるんだ」って虚偽証言が入ってきたらもう「疑わしきは被告人の利益に」の原則で有罪判決は出せないね。やるせないけど、ここ無視しちゃうと冤罪生むから。99.9%有罪の日本より良い判決かもよ。
「これは、もう、しょうがない」って中で、でも、主人公の気持ち考えたら、そんなこと言ってられないし。「やったー、無罪だぜー!」ってネオナチを野に放ったら危険だし。それで、どうすりゃいいんだよって中でラスト来るからね。もう凄い。
でも、帰り道で冷静に考えたらね。犯人捕まえてるんだから、事件当日のアリバイは取り調べで把握するはずなんだよ。そこに「実はギリシアに居ました」って来たらさ、それ、おかしいでしょ。警察は何してたんだってなっちゃう。黙秘権行使したのかなあ。そこはちょっと気になった。
それでも、観てる間はそんなこと考えもつかない。ダイアン・クルーガーの演技にやられちゃってるからね。
好きな女優さんになりました
先のみえるストーリー展開だけど、ダイアン・クルーガーの演技は見事でした。悲しみから復讐に至るまでの心情の変化を、わざとらしくなく リアルに演じていました。はじめは雨ばかりの天気も、曇りばかりの灰色の世界も、最後の最後に晴れ渡る青空も 彼女を映す鏡のようでした。止まっていた生理がきた場面は、廃人のような彼女にようやく生きる精気を出せたのは、死ぬ覚悟ができたから?こういう繊細な描写は、アメリカ映画にはないと思います。
確かに社会的な背景があって考えさせられますが、感傷することはありませんでした。ダイアン・クルーガーの演技と心情を現す映像は一見かと。
子を持つ親として
コンプライアンス上は許されない。でもこの展開には大いに共感するなあ。子を持つ親としては。
スネに傷持つ身ゆえ、法廷闘争には完全には委ねられない。弁護士がいい人なので、多少後ろ髪引かれるが、いやいや、止めてくださるな妙心殿。理性的であることが法治国家の国民に求められる掟だが、知ったことかと実力行使。ここに、社会のはみ出し者だからというエキスキューズを与えるあたりがメジャーの弱さ。
トム・クランシーの「容赦なく」、映画化の話はどうなったんでしょう。
よかった。ぐっときた。
俳優が良かった。
夫の悪そうな、頼りになりそうな感じ。向こう方の弁護士とこっちの弁護士の感じ。ギリシャのホテルの男の感じ。カップルの感じ。全てばっちりはまってた。よく見つけたよねというのかよく演じたというのか。
映画館は危険な場所だ。
見終わって電車に乗ってもまだ心臓が落ち着かない。
映画館は危険な場所だ。晴天の穏やかな日曜日に人々はのんびり繰り出しているというのに、その中でまるでそこに染まらないどす黒い絶望と吹き出る血で頭がカオスになってる人間を生み出す。
いいとか、悪いとか、そういうことよりも、凄まじいとしか言えない愛を突きつけられ狼狽えているのかもしれません。
心臓が弱い方には勧めません。
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