劇場公開日 2018年2月23日

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「おんなたちのため息」The Beguiled ビガイルド 欲望のめざめ xtc4241さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0おんなたちのため息

2018年2月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

難しい

禁欲的なおんなたちの館に招かざる男が現れる。
男に接触したおんなたちはドアをしめた途端、
荒く、深く、熱いため息を漏らす。
前半はそんな場面が次々に出てきて、男のぼくも息苦しくなる。
本音と建前。
どっちが本音で、どっちが建前なのか?
わからないが、女性だけでなく人間両面持っているんだと思う。
例えば、ニコール キッドマン演じる館長のマーサ。
男の体の汚れを落としている時は間違いなくため息を漏らしていた。
でも、男が生徒たちに危害を加えようとする時は
毅然として守ろうとする。
そう、その時、その場によって人間は変化するのだ。
そういった女性のグラデーションをよく描いていると思った。
そんなおんなたちを美しい映像の中で見せてくれた。

最後にこの映画、#me tooには距離を置いているのでは?
という意見が多い。確かに女性もセクシアルに感じる時って
あるじゃないという場面が多くあるのは確かだ。
でも、それって当然だろうと思う。
レイプのようなセクハラ、パワーハラは論外だが、
自然にセクシアルな感情になるってことを
否定するのはそれこそ自然じゃないと感じる。
それを否定することはアートそのものを否定することに
通じてしまうのではないか。
もちろん、この感情はとてもセンシティブに
つきあわなければならないのだが。
ソフィア コッポラはきわめて誠実な監督だと思う。

xtc4241