BPM ビート・パー・ミニットのレビュー・感想・評価
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社会運動にとって「社会」とは何か
社会運動につきものの、穏健路線かラディカル路線かの組織内対立がアクトアップ・パリでもあった。そこでは「中立」に意見を述べると体制寄りに見えるという指摘があった。過激な運動手法は社会の理解を得られないとも。
社会から遊離しては社会運動は閉鎖的になり、カルト化する危険が生じる。しかし穏健路線は、時に妥協しすぎて運動の意義を損なう。ショーンは死してなお「政治的葬儀」を望んだ。その理不尽への怒りと運動への熱狂が、惰性に流れがちな穏健派への回答だったのだろうし、社会へのメッセージだったのだ。
指鳴らせないけど賛成。拍手じゃダメ?
字幕翻訳・松浦美奈さん。すき。
ほかに字幕監修もいた。
ショーン役の子に似てる日本人絶対知ってるけど誰?思い出せん?と今も思ってます。
知らないことを知ることを目的とした鑑賞でして、思いのほかお勉強以上にエモーショナルでグッときた映画でした。
私は虐げられた状態で、破壊行為に出る人の気持ちがわかる。自分も赤インクまみれにすることを選ぶと思う。ダメだとわかっているけど、そうせざるを得ないって思う。
テロと変わらないとも思うけど。
楽しそうにパレードで踊り、恋だか性欲だかを弾けさせ、ミーティングで意見をぶつけ合って、泣いて、笑って戦うみんなに、賛成する。
でも私指ならないのよね、カスカスゆうだけ。
それでもいいかな?仲間に入れて。
最後はロマンポルノ
思えば、まだLGBTという言葉もなかった頃、世界には同性愛者が数多く生きていて、それは売春宿や精神病棟にだけ存在する特殊な人々ではなく、我々の職場や学校にも少なからず生活をしていることを、ある種の驚きをもって知り始めたのはエイズの蔓延のニュースと共にではなかっただろうか。
同性愛者にエイズ患者が多い(誤解のないように補足するが、エイズ患者=同性愛者だと述べたいのではない。)のか、エイズ患者に同性愛者多いのか、そのあたりの情報もよく整理されないまま、HIVウィルスへの感染がひき起こす病気に関する情報は世界を震撼させた。
しかし、同時にこの病気は、同性愛や性愛について公の場で語ることをタブーとしない潮流を生み出したのではなかろうか。
HIVに感染し、命の尽きるのを日々感じながらも、HIV感染への対策を政府や社会に訴えることに駆り立てられている若者たちの姿は壮絶である。
映画は彼らに対して必要以上の感情移入をしない。見知った顔の俳優がスクリーンに登場していなければドキュメンタリーかと思うほどに、彼らの焦燥感が直接伝わる。
同時にこの直接的な描き方は、彼らが結局は性愛に対してオープンな人々であることを観客に見せつけてもいる。
ショーンが亡くなったあと、恋人のナタンは他の活動家とベッドをともにすることを自ら望む。行為の後、ショーンを想い慟哭するナタン。しかし、愛する人を失った悲しみを他の人との行為によって埋め合わせようとする短絡的な発想は、もはやピンク映画である。喪服の未亡人が、親戚のおやじに慰められるものとなんら変わらない。
本当のところは分からないが、どうも「簡単にヤレる」ことが同性愛者になった理由の一つでもあると、この映画は最後に彼らの業についても言及していたような気がする。
「沈黙は死、行動は命」
「活動家」と聞くと、ついついあまりよくないイメージを思い浮かべてしまう。乱暴な行為で事を荒立てている人たちというイメージだったり、傍若無人に自分の主張を押しつけている人たちというイメージだったり。しかしながら、そういう人たちの活動によって社会が動くこともある。そしてそういう人たちが声を発してくれることによって、それまで知らずにいた叫びを知ることが出来たりもする。この映画は、エイズが社会問題として大きく取り上げられるようになり始めたころのフランスの物語。そして今、もう一度改めて彼らの叫びに耳を傾ける。病に関するあらゆる誤解が錯綜していた時代は過ぎたものの、あれから社会は何か変わっただろうか?いや、これは現在進行形の叫びである。
そしてこの映画は、"ACT-UP"と名付けられた活動団体のパリ支部のメンバーたちが、常に生と死と隣り合わせの状態で、それでもこの社会をどうにかして動かそうと過激な手段で声を上げていく様子を写実的に切り取りながら、その過程でエイズ患者がいかに不当な立場に置かれているかや、エイズ患者が一向に減らない(寧ろ増え続けている)理由などを問いかけていく。冒頭のミーティングシーンからして、とてもリアリティがある。活動家のイメージというとその過激な行動からして感情的な人たちをイメージしやすいが、その裏で行われている「M」と呼ばれるミーティングは非常に理性的で、感情的になることを極力抑えるようなシステムを用いて行われている。彼らの行動が決して感情論ではないことを裏付けるようでとても印象深かった。
そして彼らの活動と並行して、若い青年ショーンとナタンの間のロマンスが描かれて行くのだが、このラブストーリーの美しさが物語には力強い必然となる。とてもリアルで生々しく、観ているだけで思わず息が上がるようなセックスシーン。特に印象深いのは、数学教師との初体験でエイズに感染したことを語りながら交わすセックスと、すでに死期が迫って来ていた頃に病室で体が弱りゆく中、手淫でオーガズムに達するシーン。いずれも生々しいシーンであるのだけれど、人を愛し愛し合うということを究極までピュアに浄化した行為に感じ取れて、切ないんだか悲しいんだか理由はよく分からないまま涙が出てしまった。そしてショーンを演じたナウエル・ペレーズ・ビスカヤートの熱演がまた魂に響くもので、この作品だけでもうすっかりファンになってしまった。
どうしてエイズ患者が減らないか。その理由はとても簡単で、減らそうとしなかったから、である。そしてその理由はというと、エイズに感染する者として挙げられる、同性愛者・売春婦・薬物常用者などは、社会にとっていなくなって都合のいい者たちだと判断されたからだ。彼らを排除しようとする国の動き、差別と無知と無関心からくる切実な絶望、そして自らに残された時間に対する焦燥。現実と事実を織り交ぜながら、次々にスクリーンへと突き付けられていく。何より、彼らが闘う姿勢を一切偽らなかったこの映画をとても正直な映画だと思った。
「沈黙は死、行動は命」だと彼らは謳った。そして21世紀に時代が変わった今も、まだまだ声を上げ続けなければ、無知と無関心は終わることがない。でも本当は、沈黙と死がイコールしないことこそが一番望ましいことのはず。そう思った。
過激なのは、TIMEがないから!
1990年はじめのパリ
AIDSがまだ不治の病でおカマの病気とされ
薬も高価で副作用が多く
注射器の使い回しや、薬の開発や副作用の原因を解決しない政府や製薬会社と闘う
ACT-UPパリの活動をパワフルに描いた作品!
同性のラブシーンが多くあるが、なぜか美しい!
やはり愛し合っう姿だからか?
いろいろ考えることがある。
もっと穏便にと言う仲間に
時間が無いんだ!もたもたしてると
おれは、死んでしまうんだ!
に、何もいえない。
君に生きてほしい
エイズという重くのしかかる病を患いながらも、「私は生きたい」「君に生きてほしい」と激しく叫び続ける姿にはどうしたって胸を打たれる。
本気でエイズ患者を救い感染拡大を防ぎたいと討論を重ねる彼らには少し驚きも感じた。
若者が集まり主体となって真剣に心から主張し合うというのがなかなか新鮮に思えた。
90年代という時代特有のものかもしれないし、私があまり一つの目的を持った有志団体に触れていないってのもあるけど。
いささか過激なスタイルには疑問も感じるけど彼らからしたら自分や仲間の命がかかっていて、今この時間の中でも病状は進んでいることを考えると納得はできるかな。
しかしどうしても客観的に観てしまうので、明確な非の見えない製薬会社を責め立ててもな…という気持ちにもなってしまう。
代表者の態度はたしかに悪いけど。
実際にあったことをベースに描いているらしいので私の勉強不足でもあったかな…
感情表現の激しいショーンと冷静なナタンの対照的な二人は、その生々しい描写やひとつひとつの表情・仕草から人間味がとても伝わってきてよかった。
病室での手でなぐさめ合うシーンがとても好き。
終わったあとにクスクス笑っちゃうのが本当に可愛くて。
あと学校に突撃した時の唐突なキスシーンは最高に好き。
元々彼氏のいたショーンがどうナタンにぐいっと惹かれたのかは気になるところだけど。
ただ、最後のナタンの行動はかなりショックだった。
おそらく愛し合っていたからこそでありショーン自身が望んでいたことなんだろうけど、行為自体はただの殺人だし、実は彼に暗い裏があったのか!?と勘ぐってしまった。
直後に違う人と寝てるし、苦しそうに泣いてたけど人に縋るにしてももう少しやりようがあったのでは…と悲しくなった。
ショーンの遺灰の使い道について急に話し合い始めるシーンも唐突さと寂しさを感じたんだけど、それも現実だしある意味彼らにとっては当たり前のこと、言い方は悪いけどよくあることなのかなとも思った。
不条理な感染をして、どんなに激情的に声を上げ続けた人も具合が悪ければ気も落ちるし、それでも死してなおグループの活動に一役買って終える彼はかっこよくもあるんだけどやっぱり寂しくもあるな…
エイズに真っ向から立ち向かい啓発した団体の物語であり、ショーンとナタンの恋愛と人生を描いた映画だった。
テーマがテーマだけに相当色々考えてしまい、なんだか普通にストーリーにのめり込んで楽しむことはできなかった気がする。
普段考える機会のない問題やエイズについて改めて意識させられたのは良かった。
クラブシーンでの輝く塵の映像が好き。音楽も好き。
責任問題
飛び込みで見てしまいましたが、かなり「重い」映画でした。
生々しい描写もありました。
最初は「やり過ぎ感」のある運動も彼らの背負っているものが、重くて冷静な判断を削がれます笑
社会にとっては無視できない問題なのにその当事者でないと中々共感しづらい問題で、あの製薬会社とか「別に隠してる訳では無いんじゃない?」って最後まで完全な敵視は出来ませんでした。
アクトアップの活動より、そういう業を背負ってしまった人間の話なら入りやすかったかも…
最後にあのナタンという男。
あの人だけちょっと不思議な感じでした。あれ、最後は薬で殺したんですよね?
で、ショーンが死んで、すぐに他の男とやりましたよね?
なんかずっと陰性なのも違和感…最後にどんでん返しが出るかもと密かにナタンには期待してしまいました。
見る前よりはゲイとかレズの人の事理解出来たと思いますので、良かった^ - ^
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