「出オチかと思いきや、なんとこちらでも”月が綺麗ですね”。」家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。 Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)
出オチかと思いきや、なんとこちらでも”月が綺麗ですね”。
タイトルそのままの予告編を見て、"出オチか?"と心配になる。ある日、玄関で血(ケチャップ)を流して倒れていた妻(榮倉奈々)。夫(安田顕)はあわてて介抱するが、まんまと騙されたダンナを笑う妻は、それ以来、趣向を凝らした"死んだふり"を繰り返すように。
そもそも「Yahoo!知恵袋」(電子掲示板上で参加者同士が疑問・質問に答えるコミュニティサービス)に掲載された、"おのろけ"であり、どうやって話を膨らませるのか…と思いきや。"夫婦の在りかた"、"力まずに生きる姿勢"、ほっこりする映画だ。
なんといっても、妻・チエ役の榮倉奈々の可愛らしさが光る。チエは結婚3年目にして、ダンナに"です・ます"調で話すなんて・・・。
榮倉が豊川悦司と共演した「娚の一生」(2015)の色っぽさを封印したのは、私生活と関係しているのだろうか。
というのも、2016年の賀来賢人との結婚~妊娠を前後して撮影された本作は、妊娠中の撮影もあったかもしれず、表情が柔らかい。
また小出恵介の未成年淫行事件による降板で、代役の大谷亮平で撮り直しとなっている。小出は、安田顕演じる主人公の後輩役だったため、主役2人との絡みが相当多い。よって榮倉奈々が母になってからの撮影ということもあり、心なしか"ふっくら"している。これが功を奏している?
結婚3年目。バツイチゆえに妻との愛に不安を感じるダンナと、いつも自然体の妻のひたむきな愛情表現。劇中で、夏目漱石のエピソードとされる、"月が綺麗ですね"(漱石が"I Love You"をそう訳した)がキーワードとなっている。
奇しくも同時期に公開中のディーン・フジオカ主演「海を駆ける」(2017)も同じく、"月が綺麗ですね"をエピソードに使っている。有名な言葉なので別に珍しくはないのだが、タイミングの偶然ってある。
(2018/6/10/ユナイテッドシネマ豊洲/ビスタ)