散り椿のレビュー・感想・評価
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表と裏のバランスが惜しい
だだ、愛のために。これは「散り椿」のコピーだが、映画のテーマとしては裏テーマである。じゃあ表のテーマは何なのかと言えば、お家騒動に絡む「義」だ。
本来の筋としては、まず扇野藩における不正問題がある。この不正に絡み、主人公・新兵衛が下手人とされている刃傷事件の真相や、かつての友の腹の内、さらには亡き妻と友の間にあったかも知れない思慕の情などが複雑に絡み合う。
これを何も知らない若者である新兵衛の義弟・藤吾の目線で紐解いていくのが表テーマ。
映画が進むにつれて少しずつ事件の様相や、登場人物それぞれの関係が明るみになっていく様は見応えがある。
自分の知らなかった扇野藩の不正、過去の事件の様相、藩を変えようと奔走する若手筆頭・采女の人柄、命を懸けて事を成すということ。
藤吾が視点となって、「四天王」と称された若武者たちの生きざま・散りざまが見えてくる。
一方、裏テーマの「愛」については義理の妹・里美を演じる黒木華が素晴らしい。姉夫婦の仲を一番よく知っている人物でありつつも、義理の兄に対する里美の思いが家族のそれとはまた違う、というところが然り気無い仕草や目線で滲み出ていた。
特に稽古後の新兵衛に手拭いを渡そうと走り出るシーン。あの小走りに駆けていく様子に思慕の情があふれでていて、「ああ、里美は新兵衛の事を…!」とこっちに思わせるには充分。
今作品の裏テーマMVPは間違いなく黒木華だ。
だだ、全体で観ると裏テーマが表テーマに勝ちすぎて、ダイナミックさを感じられなかった。雨のクライマックスとか、カッコいいんだけどねぇ。
話が進むにつれて、物語的には謎だった部分が全て明るみに出て、まあそれで良いんだけど、今まで新兵衛や采女にとってわだかまりだった篠の事が綺麗サッパリ取り払われて、何の葛藤もなくなっちゃった。
あまりに晴れ晴れとした勧善懲悪ぶりに、ちょっと物足りなさを感じた。時代劇独特の、「大義を成すための苦しみ」みたいなものを期待してしまったからかもしれない。
エンドロールは、野に咲く花や水田、地上に芽吹く儚くも逞しい草花がどんどん映し出される。
采女が、四天王が守りたかった「民草」は、扇野藩に力強く芽吹いている。
そしてそれを感じられるのは、生き残った新兵衛だけ。それを感じることこそ、生き残った新兵衛の役目。
「新兵衛、藩は緑豊かか?」という今は亡き者たちの問いに、「ああ、豊かだぞ」と答えるような新兵衛のラストショットは素晴らしい。
武士道メロドラマ
早逝の妻が夫に託した願いの真意とは・・・。時代劇ではお馴染みの悪家老一派の暗躍と志半ばで散ってゆく一刀流の四天王と称された若き武士たちの友情と確執、名カメラマン木村大作の撮る端整な風景をバックに淡々と進む武士道メロドラマ。
V6の岡田准一と西島秀俊を据えて女性ファンを呼び込もうという算段、メロドラマとしては王道ですし、それに異論はないのですが脚本、演出、音楽に違和感が拭えません。
テレビの時代劇でもお馴染みの、ボイスオーバーのような心の内を語る説明過剰なセリフ回しは白けます。おそらく時代劇ファンに多いお年寄りを気遣ったのでしょう、加えて湿っぽいシーンで毎度流れる「ゴッドファーザー愛のテーマ」にそっくりな劇伴は安っぽさに拍車を掛けています。殺陣のシーンの過剰な血しぶき演出は既視感があり、黒澤組と言うことが如実に伝わります。
一つ疑問が残りました、椿の花がメインだったはずなのにエンディングで黄水仙、黄菖蒲、菜の花・・、と季節感の無い黄色い花のラッシュが続くのは何なのでしょう。
黄色の花は友情の証とも言われていますし、黄水仙の花言葉は「私のもとに帰って」ですが、だとすれば意味深ですね、ただエンドロールは長いので黄色から白、薄紫に花色は変わり最後は麦畑や水田にまで変ってしまいましたから考え過ぎだったのでしょう。
もともと野暮なおじさん向けの映画では無いのに失礼しました。
これぞ日本映画の美しさ✨ 移ろう四季と人の情を描き出す、堂々とした時代劇。
亡き妻との約束を果たす為に、かつて逐われた故郷・扇野藩へと帰ってきた瓜生新兵衛が、自らとも因縁の深いお家騒動に巻き込まれていく様が描かれる時代劇。
主人公、瓜生新兵衛を演じるのは『コクリコ坂から』『永遠の0』の、V6の元メンバー岡田准一。
新兵衛のかつての友、榊原采女を演じるのは『風立ちぬ』『クリーピー 偽りの隣人』の西島秀俊。
新兵衛の義理の妹、坂下里美を演じるのは『おおかみこどもの雨と雪』『バケモノの子』の名優、黒木華。
新兵衛の義理の弟、坂下藤吾を演じるのは『セトウツミ』『万引き家族』の池松壮亮。
新兵衛の妻、篠を演じるのは『おおかみこどもの雨と雪』『バケモノの子』の麻生久美子。
本作の敵役、石田玄蕃の手下で藤吾の先輩、宇野十蔵を演じるのは『告白』『モテキ』シリーズの新井浩文。
新兵衛や采女が籍を置いていた平山道場の現当主、平山十五郎を演じるのは『誰も知らない』『銀魂』シリーズの、カンヌ国際映画祭の男優賞を最年少で受賞した名優、柳楽優弥。
新兵衛や采女と同じく、平山道場の四天王と呼ばれた篠原三右衞門の娘、篠原美鈴を演じるのはドラマ『高嶺の花』や『累』の芳根京子。
ナレーターを務めるのは、『フラガール』『20世紀少年』シリーズの豊川悦司。
第42回 モントリオール世界映画祭において、審査員特別グランプリを受賞!
黒澤明に重宝されたという名キャメラマン、木村大作が監督を手掛けているというだけあって、映像の美しさがとにかく素晴らしい✨
雪の白さや燃えるような紅葉の赤さ、抜けるような空の青さなど、日本古来の事物に宿る色彩美に目を奪われる。
何気ない会話のシーンでも、その背景には雄大な自然や荘厳な建造物などが聳えており、画としての迫力を持って観客を退屈させないようにするという工夫が見て取れる。
日本映画の持つ美意識ってこういうことだよな、ということを再確認させてくれるというだけで、本作を観賞する価値は大いにある。
本作は時代劇ではあるがチャンバラ映画ではない。
喪失感と罪悪感に囚われた男が、己の過去に向き合うことで、本当の意味で妻の死を受け入れていく、という人間ドラマである。
扇野藩のお家騒動という物語の軸はあるものの、実は主人公である新兵衛は終始部外者として扱われている。
このお家騒動の顛末を描くことが本作の目的ではない、ということを理解しなければ、非常に薄味で面白みのない映画に感じてしまうかも知れない。
本作はチャンバラ映画ではない。…ということはわかるのだが、もっと殺陣のシーンを増やしてくれ!という気持ちはある。
岡田准一は本作でも素晴らしい殺陣を披露しており、特にクライマックスの采女との決闘シーンは、その構図からロケーションから、何から何まで素晴らしかった。
せっかく岡田准一を起用したのだから、もう少し娯楽作品寄りに作ってくれても良かったのに〜、というのが正直な感想。
とはいえ、本作のような堅実な時代劇を、これだけの豪華キャストで作ってくれたことに感謝。
時代劇は日本でしか作れないんだから、どんどんお金をかけて、どんどん作って、どんどん国外に輸出していって欲しい。
そうすれば死に体の邦画業界も息を吹き返す…かも?
…池松壮亮って役者さん、今回初めて観たんだけど凄い棒読みだった😅
これは時代劇ということで、役作りをした結果なのかな?
たしかに、真っ直ぐだけど未熟な若侍、という感じが出ていてかなり良かったんだけど、これと同じ演技を現代劇でやられたら結構シンドいぞ。
まあまあだった
物語の肝の部分はさっさと言えば済むだけの話にしか感じない。全然言える立場にあるのに、なぜ言わないのだと思う。ほのかな恋心が描かれていたのだが、あえて無愛想にしてる感じも面倒臭いし、結局何にもしないし、なんなのだ。殺陣は鋭くて迫力があったのだが、変な間合いだった。あんな構えで強いのだろうか。けっこう退屈でうとうとした。
絵画的美しさ
厳かなほどに美しい風景、人物の立ち位置に奥行きをもたせた構図の見事な撮影は、まさに木村大作の真骨頂。
ただ、筋が通っていない!
これじゃあ、木村大作が撮影監督を務めた多数の降旗康男監督作品と変わらないじゃないか。
オープニングの岡田准一の殺陣は、スピード感があって素晴らしいと思った。
序盤の岡田准一と麻生久美子のシーンは、お互いに頬を撫でるなど、今までの時代劇では見られなかった武士の夫婦の描き方が新鮮だった。
しかし…
まず、キーアイテムである起請文の扱いがあまりにもいい加減。
そもそも奥田瑛二は、8年間刺客を放って岡田准一の命を狙い続けながら、起請文は放置してたのか?
起請文を預かった西島秀俊は、若殿にいつでも渡せたのでは?
石橋蓮司が岡田准一に用心棒を頼んだのは、1日だけだったのか?
しかも、起請文が自分を守ってくれるんじゃなかったのか?
人物の描写も大雑把。
反目してた池松壮亮が岡田准一に心酔しはじめたきっかけがよく分からないし、
一件落着後に富司純子が団らんに加わってるのも、唐突な感じだ。
とにかく全体的に緩い。
岡田准一の剣法は、なんだか亜流な感じがして違和感があったものの、
殺陣は迫力があって見応えがあった。
俳優陣が豪華で、セットもロケーションもこだわった感があり、映像美も含めて一見の価値はあるだろう。
ただ、残念な印象を拭えない。
堂々たる
見事であった。
昔ながらのやり方を頑なに変えない感じで、ドンと据えられたカメラが印象的だった。ほぼ動かない。カットを重ねる事も少ない。
ただ…それが最良かどうかは別の話だ。
俳優陣の練度が低い。
多くの演者は「時代劇だから」という呪文に囚われているようでもあった。もしくは俺が「時代劇なのに」って呪文に囚われてるのか。
棒読みの台詞回し、不自然な立ち姿、座している時の両手…残念ながら馴染んでなく、違和感の塊だ。
以前は、そうではなかった。
俳優という仕事をしていても、時代劇を目にする環境がないのだなと思う。
そんな中で、岡田氏と渡辺氏は見事。
岡田氏には修練と探求の結果が、渡辺氏には解放が見えた。
黒木さんも凄い良くて…さすが、女優を撮るのは上手いなあと、衰えぬ手腕に感心。
動かないカメラが映し出したのは、役者としての地力でもあった。
殺陣もちょっとお目にかかれないようなカラーで楽しかった。
外連味を殺陣の手には極力入れたくなかったかのようにも思うのだけど、あまりに高次元なやり取りに、かえって外連味が際立つかのような…そんな論理的なアプローチから組み上げたエンターテイメント、みたいな不思議な感覚だった。
だが、何にせよ芯である岡田氏の練度が恐ろしい程高みにあるので、説得力も十二分にあった。
総じて「王道時代劇」とカテゴライズはされると思うが、本格と付くまでには至らず…時代劇というジャンルの浸透してなさ加減が浮き彫りにもなった作品だった。
いや…最早、時代劇のDNAは途絶えたのではなかろうか?
現状、コレ以上に時代劇を撮る上で最適な環境があるのだろうか?多分、ない。
被写体に問題がある。
一流料亭で、脂の乗ってないサンマを出されてる様な感覚…なのである。
そもそも一流料亭でサンマを出すかどうかは疑問ではあるが、それはまた別の話だ。
秘めた想いのぶつかり合い、その果てに…
原作は既読です。
原作からの換骨奪胎が程良い感じでした。藩の隠密組織が登場したり、若殿襲撃の場面がもっと大掛かりであったりと、エンターテインメント性が強い作風の原作でしたが、映画版はそれらを思い切って削ぎ落とし、登場人物も極力減らして、人間ドラマに重点を置いているように感じました。
時代劇としては珍しく、全てのシーンをロケーション撮影していて、日本の美しい風景や建造物の数々が登場し、画面に彩りを与えると共に、物語に奥ゆかしさを加味しているような印象を受けました。こんな景色がまだ残っていたのかと目を見張る想いでした。それを捉える木村大作のキャメラ・アングルの巧みさ…。眼差しの素晴らしさに感極まりました。
ひたすら、妻への深い愛故に行動する新兵衛(岡田准一)の姿が涙を誘いました。かつて四天王と称された仲間たちとの深い絆にも胸が熱くなりました。青春時代を共にして、未来への希望が光り輝いていた美しき日々―。やがて酸いも甘いも知った大人になり、それぞれの道を歩み始めていた彼らを非情な運命の流転が否応無しに包み込んでいきました。
石田老中(奥田瑛二)の権謀術数が彼らをとことん追い詰めていき、過去の斬殺事件も絡み合いながら、壮絶な終局へとひた走っていきました。老獪でふてぶてしい石田老中に怒りが燃えたぎりました。新兵衛の妻・篠(麻生久美子)の死も、間接的には彼のパワーゲームのせいだと言えるかもしれません。
新兵衛が仇討ちへ向かうクライマックスでは、激しく降る雨の中で繰り広げられた殺陣の美しさに見惚れると共に、刀を振るう彼の胸の内を想像すると、涙が溢れました。
岡田准一も参加した殺陣演出が息を呑む迫力でした。流れるような素早い剣戟…。華麗な動きに魅了されました。殺陣に籠められた気迫がスクリーンから伝わって来るようでした。
「椿三十郎」で時代劇に変革を齎した鮮血の美学がオマージュされていました。迸る夥しい鮮血が、顔や着物を濡らしていく…。静謐な物語に血しぶきが加わることで、人生が持つ壮絶さや荒々しさを表現しているように感じました。新兵衛の鬼気迫る殺陣と共に、秀逸な演出だなと思いました。
※鑑賞記録
2019/09/22:レンタルDVD
2022/04/03:Amazon Prime Video
※修正(2022/02/06)
岡田よし、もったいないよ。
やっぱり、脚本がありきたり。
悪代官が、単純な悪代官だから、
わかりやすい水戸黄門みたい。
深みがない。
親友と、親友の愛した女性を妻にしてしまった苦悩、
藩の内部の汚職と、それに真っ直ぐ対抗するもの、
切腹したもの、脱藩させられたもの、
上手く描けば、ものすごく深い物語になる。
岡田も雰囲気よくて、殺陣もよくて
映像も綺麗。
だけど、物語が、単純で、しかもどうにも腑に落ちない
流れと、結末。
愛する女のためにとはいえ、切ない
不正を訴えたが聞き入れられず、妻と藩を離れ京都で暮らしている新兵衛(岡田准一)
今でも彼を刺客が襲うシーンが最初の場面で描かれ
岡田の立ち回りは健在でかっこ良かった
采女(西島秀俊)を守って欲しいと新兵衛の妻・篠は息を引き取る
篠はかつて采女の許嫁であったが家の反対に会い
新兵衛と結婚したと言ういきさつがある
妻の願いを聞き入れるため 再び新兵衛は去った藩に
再び戻ることにことになる
これは純愛時代劇だと思った
今で言う元彼を守って欲しいなど 新兵衛の気持ちは
どんな思いであったろうか
新兵衛が戻ってくるとあって 藩内はざわめき始める
はたして不正は そして現在藩内をたてなおそうとしている
采女を新兵衛を守ることができるのか
美しい時代劇を作りたかったと木村監督は言っていた
全編絵がとても美しかった
雪のシーンもほんと綺麗だった
「彼を守ってほしい」妻・篠の台詞が
ラストシーンに思い出されて切ないかった
酷い
ダメだと思った点
・メインとなる人物の説明不足
いきなり妻が病で夫に頼みごとをする。せめて自分らが誰なんか説明入れろよと。
(馴れ初めとかそういうのがまったくない、そういう話をするならまずそこまでに至ったところを先に流さないと
そもそも誰やこの人らとしか思えんし。結婚前、四天王の若かりし頃が中盤で流れるが結婚までの経緯が映像に出ていないし説明もない
せめて夫を選んだ理由くらいは流せよ
・雨降らせるのは良いが降らせすぎて見ずらい
・不自然なほど雨の中雷が連続して起きている(あれするなら雨弱めろ
・雪も雨と同じで降らせすぎて役者が見えにくい(降らせれば良いってもんじゃねーよ
・積もるほどの雪降ったと思ったら次のシーンでは雪が積もってもいない(せめて時系列の表示してくれ
・ナレーションがいるのにまったく使われていない上に書いたが時系列や場所の軽い説明させればいいのにと突っ込みどころしかなかった。
・あっという間に散り椿が見れる季節になっている
・終盤の戦闘で返り血をモロに受けているシーンがある、お前達人なのに返り血受けるとかないやろ・・・目にもし入ったら終わりやぞ
実際見ると他にも突っ込みどころあるけど軽くダメだししてコレだからな。
監督と脚本、演出担当が俳優に丸投げしただけの作品だったなと思いました。
個人的にはアリ。でももっと原作を大切に…
葉室麟にはもっと面白いのがありますので、なんで今回これ?という疑問はありましたが、他の多くのレビューの通り、理由は岡田准一にあり、岡田准一が光るためのこの作品なんだなぁというくらい岡田准一がカッコよかった(西島秀俊もいい味出してる)
つまり殺陣ですが、意見は色々ありますが、アリかなと!斬新なところは岡田准一がからんでるのかな?
とにかく時代劇作品に新しい風が起きました(映画なんだから少しは非現実的でも良いのです)
個人的には音楽が加古隆なのも嬉しかった!エンディングのテーマがピアノで流れる頃にはすっかり癒されてました
そしてやはり評価を下げてくる部分はストーリー脚本。こればかりは私も同意見。原作はずいぶん前に読んで、少し内容も覚えてただけに、映像に落とし込めてない粗さが目立った。
山田洋次3部作などの良さ。所作、自然の風景美はしっかり踏襲出来ていても、実はこれらの作品はもう少し尺が長く、おそらく原作を壊さないようにものすごく緻密に脚本が練られ映像化している。言葉すら無い映像のひとつひとつでも流れがあった。今回の一番良くないのは私の個人的な意見としては映像の切り替わり、流れがなく、シーンが変わってからすぐに展開する場面が過ぎる。シーンが切り替わるたびにテロップ「はい!次は〇〇のシーン!」みたいなのを見せられてるような感すらあった。
例)終盤「采女に会いにいく」→「決闘」→「決着の乱闘」の流れ
☆☆☆★★ 木村《ワガママ》大作おじいちゃんの、俺様&岡田准一の「...
☆☆☆★★
木村《ワガママ》大作おじいちゃんの、俺様&岡田准一の「僕、何でもやっちゃいますからね!」映画。 原作は未読。
画の美しさは、今年公開された日本映画の中でも最高峰と言って良く。時代劇として、派手な殺陣等は有るには有るが。自分にとって大事な人を想う人間が多く登場し。終始、人間の内面描く…。
…のだが!
最初から最後まで平板なまま映画は終了する。
その深みの無さは恐ろしい程だ(ー ー;)
画面を見つめながら、「これは一体どうしてなのだろう?」…と、考えてしまった。
明確な答えは分からないのだけれど。おそらくは登場人物の多くに《喜怒哀楽》が無いからなのかな〜!…と、少しばかり思っている。
特に主演の岡田准一。
例外的に『海賊とよばれた男』は素晴らしかったものの。それ以外の作品は、どれを取って見ても同じ顔だ!
総じてジャニーズ系の俳優は、全て顔が一つしかない。演技に引き出しが無さすぎる気がする。
でも岡田准一には、少なくとも演技力は有ると思う。それなのに演技に深みを感じられ無い。
これは多分、彼の演技の質は《喜怒哀楽》と言うよりも、【喜怒怒哀哀哀哀哀哀楽】と言う演技の質に近いからではないだろうか?
観ていても、此方の感情移入を拒否されてしまうのだ!
思えば、中村錦之助時代劇には。錦ちゃんの《喜怒哀楽》の演技の素晴らしさに溢れていたなあ〜(´-`)シミジミ
錦ちゃんが喜べば嬉しくなり。
錦ちゃんが怒りに震えれば(心の中で)「そうだ!」…と叫び。
錦ちゃんが泣けばこちらも泣き。
錦ちゃんが笑えばこちらも笑う。
その深みの有る演技には、心を揺さぶられたものです。(リアルタイムでの中村錦之助時代は知らず。萬屋になってからしか知りませんが💧)
…あれ?俺、何で中村錦之助を語ってるんだ(ー ー;)
まあ、それくらい何も感情が湧いて来ない作品だったんですよね〜(-.-;)
2018年10月5日 TOHOシネマズ日比谷/スクリーン9
徒花に実は生らぬ
……ええと、割とキツい書き方のレビューになってるので、
本作を気に入られてる方は読み飛ばしていただいて結構です。
『剱岳 点の記』『春を背負って』そして本作を観てこう感じるのだから
いよいよ確信しているのだが、自分は木村大作の監督作品が苦手だ。
どうにも合わない。好きになれない。全く以て不思議なのだが、
美しい映像があって、実力のある役者も揃えているのに、
どうして毎回こんなに情感の薄い映画になってしまうのか?
岡田准一の素早い殺陣や豪華な出演者は見応えがあったし、前2作より物語のテンポは良いと感じたので、
それらよりは集中して見ることができたと思うが、それでも映画内で心に残るシーンがあったかと言われると、
ぐぅっと考え込んでしまう出来だった。イマイチの2.5判定。
...
プロットがステレオタイプであること自体は僕は別に欠点とは思わない。
ステレオタイプなプロットなのに滅法面白い映画というのは山ほどある。
だがそれらの映画というのは登場人物が魅力的に描かれていたり、
感情的な起伏で展開にメリハリを付けたりしているものである。
だが、本作の場合それは当てはまらない。
「亡き妻は、本当は恋敵の方を慕っていたかもしれない、自分は妻を不幸せにしていたのかもしれない」
という主人公の苦悩が本作のドラマにおけるひとつの肝であるわけだが、彼ら夫婦の絆を感じさせる描写が
冒頭以外に殆ど無いため、互いを想う夫婦の繋がりがいまいち伝わらず、主人公の葛藤も感じづらい。
恋敵の件も手紙1枚での説明に留まっているので、真相は予想の範疇を越えず、驚きも感動も薄い。
主人公の旧友たち、すなわち平山道場四天王についても、彼らが竹馬の友だったと感じさせる描写はほぼ皆無。
おかげで藩の陰謀に関わったが為に友情と命運を狂わされていく彼ら全員の悲哀も殆ど感じられない。
池松壮亮演じる藤吾との師弟(or兄弟)関係、黒木華演じる里美の慕情にはわずかに心に響くものがあったが、
まず藤吾については彼の成長が分かり辛く(特に成長前)、終盤の活躍で盛り上がり切らない。
里美については感情を抑え過ぎだと思うが、これに限ってはまあ、
本作の抑えたスタイルを思えば致し方ない気もするので痛し痒しか。
妻への想いと恋敵への友情とで揺れる心、二人の男の間で揺れる心、
友情と保身とで揺れる心、師に出会う前と後で変わる心、
心である。とにかくどの登場人物についても、心の揺れが
しっかり感じられない。だから、感情を揺さぶられない。
一体なぜそれらを映像で描かず、セリフだけで処理してしまうのか?
...
当たり前だが、映像というのは映画における肝心要の部分だ。
優れた映像は観客をその土地・時代・映画の世界に連れて行ってくれるし、
登場人物の心象を表現あるいはさらに増幅してこちらの心を震わせる。
本作の場合、「この時代の風景はこうだったのだろう」と思わせる点で
雄大な山河、緑の溢れる畦道や山寺などの映像は確かに効果を上げているし、
雪降る中での殺陣や土砂降りの山寺を走る主人公などは確かに「画」になる。
しかしだ、
登場人物の心象を表現するという点で、これらの画は十分に機能していたか?
例えば映画のテーマともいえる散り椿が常にロングショットで撮られ、
視覚的にも印象に残らないのは本当に作り手の意図したことなのか?
単に「綺麗な画」ではなく、主人公たちの心を表現・強調させているように
感じさせるような画が、この映画に果たしてどれくらい存在したか?
僕には正直、そういった画は随分と少なく感じた。
...
うーむ、他の2.5判定作品より語気の荒いレビューになってしまった。
けどね、やっぱ綺麗な映像と役者の演技をフレームに収めただけじゃ、心を動かすのには不十分。
今まで観てきた映画の中で記憶に残っている美しいショット・力強いショットを思い出してみると、
それらは総じて周囲の風景が登場人物の心象を表現・強調しているものだと感じる。だが……
はい、ここまでにします、以上です。
<2018.09.29鑑賞>
脚本が(特にセリフ)イマイチ。殺陣は物凄い
さすが岡田准一、殺陣(アクション)は本当に凄い。気合い入り過ぎて他のキャラ達がショボく見えてしまう。なので、あそこまで凄い殺陣を見せるなら他の出演者にもそれに順応するくらいのものが見たかった。ただ、殺陣にも名前が入ってるのをみてわかるように、久世さんではできないアクションを入れた殺陣らしい醍醐味。
殺陣師やアクションチームでは再現できない、役者ならではの生々しい殺陣。それを観るだけでも価値あり。
それが故に、芝居部分に直結する脚本、役者の時代劇としての演技には絶望を感じた。
岡田准一の芝居は、どこか往年の時代劇俳優のキャラをトレースした雰囲気があるし、あれだけの名演技を連発している池松壮亮も、どこかぎこちない。ほかに至っては自分の置かれた立場やキャラよく理解しないまま現場で演技している感じが出まくりで、セリフをようやく言葉にしているヨチヨチ感。
と言うことはその人達は、現代劇でもそのアプローチで雰囲気勝負しているのがよくわかる。
セリフが酷い、見苦しい。でもその中で唯一の救いは黒木華。」彼女は見れた。
監督に演出はよくわかった。カメラの位置や、外連味を優先するばかりで、結局その中で演技している、生身の人間の感情全く描かれていない。腹が立つくらいの無神経さ。
もうカメラマンとしても引退して欲しいのに、監督としても出しゃばるめんどくささ。映画界のためにも監督業は少なくとも辞めろ。木村。あと、エンドロールで撮影者とか出して、カメラマンの立ち位置を無理やり弄るな、
岡田准一と黒木華で星三つ
岡田は男前
緒形直人の死に際の
解説が長くて馬に乗ってる殿様放置(笑)
岡田の殺陣はかっけ〜
景色は綺麗でした。
内容はイマイチ
映画の日に観て正解‼︎
なんか
新藤兼人の映画みたいだったです。
白い雪が見たかった。いい画なのにね
黒澤明に師事していた、木村大作(79)が監督・撮影。小泉堯史監督(73)が脚本というコンビで、直木賞作家・葉室麟の同名小説を映画化。
藩の不正を訴え出たために藩を追われた瓜生新兵衛。追放後も連れ添い続け、病に倒れた妻の遺言のため、故郷に戻り、妻との約束を果たす物語。
圧倒的な"雪"、"雨"、"自然光"の使い方。構図のキメ方が、その瞬間瞬間、"シャシン(寫眞)"になっている。素晴らしい。文句のつけようがない。どこにもピントがあっていない風景の中、岡田准一演じる瓜生新兵衛が歩いてくると、望遠で岡田にカッチリ合わせる。
また映画のキホンは・"女優を美しく撮る"ことである。これは映画の大原則。さすが木村大作のカメラは、黒木華の魅力を見事にとらえている。もちろん黒木華は演技で、その撮影に応えている。
そしてなんといっても主演の岡田准一の存在感。岡田准一じゃなかったら、成立しなかったかもしれないと思えるほどだ。まだ37歳なのに若さが影を潜め、老練ささえにじみ出ている。作品は地味だが、もう一回、日本アカデミー賞の主演男優賞でもいい。
もうひとつ、魅力的なのは風変わりな殺陣である。岡田准一の提案という、しゃがみ込んでの斬り合いは新味があって、普通の殺陣だったらオーソドックスな印象に沈みそうな作品にインパクトを与えている。
それにしてもこんなにいい撮影なのに、オープニングから、色相がイエローに転んでいる。よく言えばセピア調?意図的なタイミング(カラー調整)なのかもしれないが、これってどう。
"アレっ?"と思って、公式Webページで予告編を見直してみると、白文字であるべき"散り椿”のタイトルテロップが黄味がかっていることがわかる。やはり雪も"黄色い"のだ。
本作は名匠のこだわりなのか、フィルム撮影(KodakのVISION3フィルム)である。黒木華の姉妹2役が同時に出てくるシーンはデジタル加工していたりもしているわりに、どうしてもフィルムなのだろう。最初からデジタル8Kのパキッとしたコントラスト映像で撮影していたら、最高だったのに。単純に"白い雪が見たい"。
もう一度、フィルム原本からデジタル変換をやりなおしてほしい。
それと出演者・スタッフのテロップが"自筆署名"になっている。ヘタクソな字を見ると情けなくなってくる。木村大作監督の筆致だけが妙に個性的で、これもどうなんだろう。いい作品だけに、ちょっとイラっとしたり。
(2018/9/28/ユナイテッドシネマ豊洲/ビスタ)
緊張感が伝わる殺陣!
映画館で見なければと行ってきました。
序盤、雪で見づらい画面での殺陣が始まる。画面が汚いという事ではなくて、動きそのものに注目することになる。
速い。
ストーリー自体は普遍的。主人公の瓜生が亡き妻との約束を胸に、しかし辛い思いを胸に隠しながらそれでも生きる姿に男の辛さがよく現れていた。
全体通して丁寧に作られているのがよかった。各人物の立ち位置や背景も、よく整理されたうえで描かれているのがよく分かった。
テンポは人によっては冗長に感じるかもしれない。でもおかげで頭を整理しながら見ることが出来て良かった。
私は主演の岡田准一のことはよく知らない。けどあれだけ、速く、そして見るものに緊張感の伝わる殺陣を出来るというのは凄いと思った。最後、雨の中複数人を立て続けに切り倒すシーンは屈指の名シーンだと思う。
またその意味では、直前に采女に手紙を見せてもらって、瓜生の気持ちが氷解していって涙を流すのも、見ている側にジンワリと温かな気持ちが生まれる、そんな名演技だったと思う。全体的に見て、眼が雄弁に気持ちを表現していたように思う。
あと内容に直接関係ないが、最後の殺陣のシーン、杉並木の場所って監督デビュー作の『剱岳』でも使われた場所ではなかっただろうか?エンドクレジットでも富山県と出ていたので、そうではないかと思っている(笑)
黒澤監督には遠く及ばない
某ラジオ番組で木村監督のこの映画にかける熱い思いを聞き、期待膨らませて見ましたが、残念ながら黒澤映画の壮大な娯楽性には遠く及ばなかった。男女の複雑な愛憎をテーマとしても食いたらない印象だった。原作を読んでいないので何とも言えないが、それにしても侍は死して輝くという自分の意識が邪魔して、この先晋兵衛の生き様が惨めに思えて仕様がない。
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