散り椿のレビュー・感想・評価
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ロケ地の美しさにしびれました
鑑賞中ずっと、このロケ地はどこなのだろうか、と気になり続ける美しさでした。杉の大木、古い家屋の佇まいと、寺院の荘厳さ。多くは富山県での撮影なのですね。
そしてタイトルにもある『散り椿』。椿の品種の名前であることをパンフレットを読んで初めて知りました。
椿が咲き乱れる庭での主演二人の立ち回りは、息をのむほどに緊張します。椿で思い出す映画は、黒澤明監督作品『椿三十郎』ですが、本作クライマックスの殺陣シーンで豪快に吹く真っ赤な血しぶきは、椿三十郎のクライマックスを意識したのではないかと思わせる憎い演出でした。主演の岡田准一さんも三船敏郎演じる三十郎のようにみえてきます。
「時代劇で絵になる風景」が日本に今も残っていること、それを映画のロケ地に採用していること、そしてそれを映画館の特大スクリーンで楽しめることに、改めて幸せを感じる作品でした。
熱演と、原作の冒涜。
出演者の殺陣を始めとした熱演と、富山の美しいロケ映像は、とても価値がある。
一方、質の高い原作を冒涜するような、さまざまな設定やあらすじの改変があり、省略や分かりやすくするための簡素化とは言えないまったく別のもののように感じ、大変残念だった。
映像がよくて、あらすじが目を覆うばかりの巨匠邦画アニメに観賞後の印象が似ている。原作が良いので、その分、大変残念だった。
命を受け継ぐこと
「いのちを受け継ぐこと」について考えさせられた。映画の中では、簡単に人が斬られるけれど、その家族にとってはかけがえのないいのちと描く。愛する人が亡くなったとしても、その思いは受け継がれる。いわれなき罪によって亡くなったいのちをただ悲しむふだけではなく、その無念・意思を受け継ぎ、不正を正す。「汚れた土では作物は育たない」「きれいな水でなければ、魚は生きられない」誰が土を汚しているのか。誰が水を濁らせているのか。それを明らかにし、正す。妻「篠」が武士「新兵衛」と死ぬ間際に約束したこと。「散り椿」って、散るけども毎年美しく咲く。散ることで後世に美しさを残す。これが監督・木村大作が描きたかったことか。こうやって、ストーリーの奥底にある「描きたかったこと」を勝手に想像しながら映画を楽しみたい。
美しい時代劇
映画としての画が死ぬほど綺麗だ...。大きいスクリーンでこんな美しい時代劇を観られるのは感動だなあと思いました。それだけ画の力が凄いので、役者も所作、表情を極めて繊細にやらないといけない。しかも時代劇だからそこは現代劇のテンションではいけない。その辺が役者も撮る側も凄いなぁ、と...。
物語自体は...原作が未読なんですが、少し単調といえば単調、時間の流れが結構速いわりには平坦...という感じもします。何というか、悪が妙に曖昧な感じなんですよ。もっとがっつりした悪か悪である独自の正義みたいのがあれば良かったんだけど、その辺の機微が私には分かりませんでした。
岡田准一さん、渋いですね...殺陣も凄かったね...。時代劇は新たなスターを得たね...。
いやあでも自筆のクレジットって感動するね。あれを見ると「ああ、皆でこの映画を作ったんだな...」っていう気持ちがすごく押し寄せてきてよかったです。
散り椿 よかった
過去の岡田君の時代劇では一番、2番が蜩の記、3番が最悪の関が原。今回の散り椿は最近の日本映画界での最高傑作の一つに上げられると思います、ほぼオールロケによる絵画のような映像美、侍、侍の妻、その取り巻き人の全ての所作、思い、愛とは何か、人生とは? 上げればキリが無いほどの人生ドラマの集約だったと思います、監督のこだわりには敬意を払いたいと思います、岡田君が竹林の中で剣術の稽古をしているシーンでの迫力はとても良かったです、思うにこのシーンでの刀は真剣か、あるいは真剣と同じ重量の模造刀を使用していたと思います、でもその他のシーンのほとんど、特に散り椿の前でのシーンでは軽い刀であえてスピード感のある異色の殺陣をしたかったのでしょうが、軽すぎてがっかり、最後のシーンでも刀が横にしなっているのが見えてしまってここでも軽量の刀が使用されていることがちょっと残念、黒澤監督が見たら怒るかも。(でも2振りの刀の当たったときの音はおそらく本物の刀を実際に当ててその音を録音して使用したと思われます、あるところで真剣どうしの居合い道での演技で本物の刀のあたる音を聴いたことがありましたがそのときの音に近かった気がします)
まあ細かいことはさておき、全体的にはいい加減な映画がほとんど菜いまどき、とてもまじめいに作られていてとてもすばらしい印象でした。自分的には、麻生久美子演じる篠の日本人の女性の美しさに縛られてしまいた、ほんとに美しく撮られていたと思います、ありがとうございました、もう一度大きなスクリーンでみたいです。
う〜ん…
映像は美しい。
俳優さんも素敵な人ばかりだが、なぜだか入り込めず、感動もしなかった。
名言的な狙いすましたセリフ、ところどころ空回りしてた気がする…
クレジットの名前が俳優さん自筆というのがよかった。
散れども再び咲き生きる
黒澤明の現場で映画作りを叩き込まれた木村大作が時代劇を撮るのは必然だった。
脚本も黒澤に師事し、遺稿『雨あがる』を手掛けた小泉堯史。
黒澤縁の2人がタッグを組んだ時代劇は、オールド・タイプ。
派手な展開や見せ場は無く、スローテンポで、しっかり睡眠を取ってなければ寝落ちしてしまいそうなほど淡々と静か。…いや、ズバリ言うと、少々退屈にも感じてしまった。
だからと言って凡作ではない。
美と和の精神が染み入るヒューマンドラマ時代劇。
名キャメラマン・木村大作による映像美は秀逸。
春日和、夏の陽光、秋の香り、冬の雪原など日本の四季、雪深い開幕シーンや雨降りしきる中のクライマックスの殺陣…いずれもさすが画になる。
ロケーションも素晴らしい。
そのクライマックスの殺陣の、降りしきる雨と噴き出す血しぶきはうっすら『七人の侍』と『椿三十郎』を彷彿。
黒澤時代劇へのオマージュとこだわりが感じられた。
それにしても岡田准一は時代劇がよく合う。今回は何処か、三船敏郎のような佇まいを感じた。
また今回特に殺陣の見事さが絶賛されており、それもその筈、殺陣指導に名手・久世浩と共に岡田准一自身も参加。
ワンカットによる椿の樹の下での西島秀俊との殺陣は緊迫感みなぎる。
感情をグッと内に込めた名演も言うまでもなく。
実力派キャストたちが抑えた好演披露する中、昔ながらの日本人女性像を体現した黒木華がやはり印象残る。
時代劇は特有の題材や設定でなかなか話に入りづらい時もあるが、要約すると、
藩の不正を訴えるも、逆に藩を追われた新兵衛は、病に倒れた妻から託された願いの為、8年ぶりに藩に戻る。
それは、旧友の采女を助けてやって欲しいというものだった…。
訳ありの人物が舞い戻る。
藩としては喉に刺さった骨のような存在。マークし、機会あらば刺客を送る。
旧友ともわだかまりあり。
だが新兵衛はただ、旧友を助けるという亡き妻との約束を果たしたいだけ。
その過程で藩の不正の実態も明らかになっていくが、それ以上に、旧友との確執の解消や妻の願いの真意を知る。
藩の不正は現代にも通じる社会の暗部を浮き彫りにする一方、人と人の繋がりや思いこそ心に響く。
一度は散れども、再び咲き生きる。
地味で好みは分かれる作風だが、これぞ邦画、これぞ時代劇とでも言うべき良質作。
本作も悪くなかったが、木村大作には是非、往年の黒澤作品のようなダイナミックな活劇時代劇も撮って欲しい。
邦画、時代劇の良さが凝縮した映像美に感動!
本日は台風24号が日本中を直撃と言う事も有り、街中が早仕舞をしていた事も有り、私が本作を鑑賞した上映回では映画館の中は粗貸切り状態だった。(私を含めて5人程だったと思う)
しかし、入り具合とは裏腹に、心底久し振りに秀作に出会えたようで、台風の前に映画に来て本当に良かったと嬉しくなった
先ず小泉氏の脚本が素晴らしく良い!さすが本編を知り尽くしている作家は違うと思った。
この物語もジャンル的に言えば、ラブストーリーではあるけれども、最近の邦画で語られている恋愛物とは次元が大きく異なる。
只、欲を言えばナレーションがもう少し時代劇らしい風情の香りの有る物で欲しかった点とナレーションをなるべく控え目にして、8年前の出来事は回想シーンをもう少し多用する事で、映像をしっかりと観せて欲しかった事を除けば、久し振りの最高点と言いたいところだ。
そして更に始まりから終わりまでのカットカットその全てのカメラワークの美しさは、まるで絵画の連続絵巻を観ているようで、その美しさに思わずため息が漏れる程の感動を覚えた。
本作は本編時代劇の情景美の美しさのお手本を魅せ付けられているような作風で、流石は木村監督自身が撮影もされていると言う、この圧倒的な迫力の有る映像と深みの有る映像美が、他の作品とは格段の違いを魅せていた!
同じく岡田氏が出演している時代劇「関ヶ原」とは比べ物にならない程本作は美しかった。
岡田准一もやはり現代劇よりもこうした時代劇の方が格別に彼の芝居の味の良さが強調されている様に思う。
そして黒木華が素晴らしい。時に控え目で有り、また有る時は存在感を魅せられる女優らしさ、いつの間にか、本当に華の有る映画女優らしく育っていた事に驚いた。
奥田瑛二始め、石橋蓮司、富司純子と脇を固める役者も役柄にとても合っていたと思う。
只惜しいのは西島演じる采女と岡田演じる新兵衛が平山道場の四天王と言われていたと言うには少しばかり武術の出来映えに開きが有る様に感じてしまったのだが、それは意図的だったのだろうか?
藩の不正賄賂と汚職事件の真相と言う時代劇では定番のストーリー展開で殊更真新しい事はない物語だけれども、それを巧く新兵衛と篠との純情ラブストーリーにまとめ上げた点がこの作品の良さであり、その2人の気持ちを充分に知って尚、新兵衛に想いを寄せる、里見の美しい心根が輝きを放っていたと思う。
地味で暗くやるせない話では有るかも知れないが、時にはこう言う作品が公開されるのも良いのではないだろうか?
変化に乏しい定番時代劇かも知れないけれど、2018年の今の邦画界には公開出来て良かったのではないだろうか?
もう1度映画館に行って観直しても良いと思える作品だった。
もっと面白く作れたはず
岡田准一の殺陣は素晴らしかった。
ただ見せ方がダメ。
冒頭の刺客に襲われるシーンは雪を降らせ過ぎて肝心の殺陣がほとんど見えない。
クライマックスの殺陣も雨を降らせ過ぎてコレまた殺陣の動きが見えない。
黒澤作品意識したのか、迫力出したかったのか知らないが、あそこで大量の雨を降らせる事に作品的な意味は全くない。観客の期待を悪い意味で裏切った無駄な演出だ。
オープニングで主人公の境遇を説明するのにナレーションベースにしたのも気にくわない。
はっきり言って手抜きだ。映画なんだから画で見せてくれよ。
原作がもったいない。
監督を変えてリメイクして欲しい作品だ。
メリハリのある佳作
岡田准一はすっかり俳優である。本人もそのつもりで身体を相当に鍛えているようで、立ち姿や歩く姿に迫力がある。映画監督がこの人を俳優として起用したくなる理由がなんとなくわかるような気がする。人間エネルギーのオーラを発散しているとでも言うのだろうか、意志の強さが滲み出ているのだ。強い男はそのまま演じればいいし、存在感があるから弱くて情けない男を演じるのもいい。向いていないのはチャラい役柄くらいである。高倉健と同じ路線と言えばかっこよすぎか。
さて本作品では意志が強いあまりに潘を追い出されてしまった浪人の役を演じている。静かな男の表情に淋しさや悲哀がそこはかとなく伝わってくる。共演の西島秀俊、緒方直人も男の優しさと矜持を併せ持つ役柄を十分に演じていて、この三人の男が、保身に汲々とする役人たちと対峙するダイナミズムが作品に奥行きを与えている。
黒木華がいい。この人が出演すると映画に深みが出るように感じる。この人の演技には、いまはもうあまり見かけることがない「女の優しさ」がある。今後公開予定の「日々是好日」や「ビブリア古書堂の事件手帖」も楽しみである。
池松壮亮が演じた坂下東吾が一年間で少しずつ視野を広げ、人間的に成長していくのもさりげなくて受け入れやすい。黒木華と並んで演技の上手な若手俳優で、11月公開の「斬、」も鑑賞予定に入っている。
敵役の奥田瑛二も、いまや大御所の富士純子も、それぞれに好演。
ストーリーは一本道だが、経緯が少しずつ明らかになっていく演出で、飽きずにみられる。タイトルでもある散り椿の映像は非常に美しい。この映画で初めて散り椿という言葉を知った人もいるだろう。雪と雨が効果的に使われ、移り行く四季の中で散る花と咲く花が、人々の運命のメタファーとなっている。静かに進む物語だが、起承転結がはっきりしていて、大団円では主人公のポテンシャルが存分に発揮される。メリハリのある佳作だと思う。
ナショナルジオグラフィック
監督が大好きな立山の大自然を撮りたかっただけでしょう!と思いたくなるような映画でした。確かに、綺麗な映像でしたが、独特のたるいテンポが眠くなりそうでした。岡田くんの、アクション力でカバーした感じですか。豪華俳優陣も無駄使い!柄本さんを超端役に使ったらいけません。素直にドキュメンタリー撮りなさい!
木村監督の映像美
木村監督が撮りたかったとか、今後どんどん撮りにくくなるだろう映像を撮り集めて、ストーリーで繋いで一本の映画にしたのだと感じた。全編美しかった。
岡田さんは殺陣のキレ、西島さんはほぼ静の演技と少しの動のコントラスト。
はぁー
141本目。
台風来てるし、帰ろうか迷ったけど観賞。
観る前から重い作品だとは思ってたけど、やっぱそうで、俺にはそれが足枷でなげーって。
重厚な作品と言えない自分が未熟なだけなんだろうけど。
斬り合いは雨か雪ばっかで、監督の拘りだろうけど、正直どうでも良く。
本当、早く終われ早く終われとしか思わなかった。
それに緒方直人の芝居がザ・時代劇で型にはまり過ぎで失笑。
ま俺合わないだけなんだけど。
岡田准一は険しい、暗い役続きで、またなのって感じで、うまいのは否定しないけど、そういう役でしか評価されないのも残念な気がする。
感動と感心とかさせる気が皆無
出演してる役者さんはいいです。
原作知らなくても十分内容は理解できます。
笑いも涙もいらないというのが演出のコンセプトなんだろうか?
演技はいいと思うのですが、殺陣の派手さもなく、主人公の映画の場面に至った背景や理不尽さ、物語で起きている問題も大したことなく。。。
嫌悪感は特にないけど、全く感動のない映画です。
穿った目でなにをみる
確かに岡田pv。しかし、それは武術武道として所作が演技の領域を越えた彼だからこそではないだろうか。
映画を見慣れてないと、二時間の枠に納めた展開が味気なかったり人物が薄く感じるのかもしれないが、本と映画は立ち位置が違う。僕は近年の流れの中で、こういった時代劇を撮ってくれる事そのものに甘くはなってしまうが、良くできていたし震えた。そして奮えたのだから、やはり良い作品だったのだと思う。
池松くんの青さと直人さんの仰々しさには苦笑いしましたけれどね(笑)。
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