「武士道メロドラマ」散り椿 odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
武士道メロドラマ
クリックして本文を読む
早逝の妻が夫に託した願いの真意とは・・・。時代劇ではお馴染みの悪家老一派の暗躍と志半ばで散ってゆく一刀流の四天王と称された若き武士たちの友情と確執、名カメラマン木村大作の撮る端整な風景をバックに淡々と進む武士道メロドラマ。
V6の岡田准一と西島秀俊を据えて女性ファンを呼び込もうという算段、メロドラマとしては王道ですし、それに異論はないのですが脚本、演出、音楽に違和感が拭えません。
テレビの時代劇でもお馴染みの、ボイスオーバーのような心の内を語る説明過剰なセリフ回しは白けます。おそらく時代劇ファンに多いお年寄りを気遣ったのでしょう、加えて湿っぽいシーンで毎度流れる「ゴッドファーザー愛のテーマ」にそっくりな劇伴は安っぽさに拍車を掛けています。殺陣のシーンの過剰な血しぶき演出は既視感があり、黒澤組と言うことが如実に伝わります。
一つ疑問が残りました、椿の花がメインだったはずなのにエンディングで黄水仙、黄菖蒲、菜の花・・、と季節感の無い黄色い花のラッシュが続くのは何なのでしょう。
黄色の花は友情の証とも言われていますし、黄水仙の花言葉は「私のもとに帰って」ですが、だとすれば意味深ですね、ただエンドロールは長いので黄色から白、薄紫に花色は変わり最後は麦畑や水田にまで変ってしまいましたから考え過ぎだったのでしょう。
もともと野暮なおじさん向けの映画では無いのに失礼しました。
コメントする