「地元撮影の時代劇はいかんですな」散り椿 E-san☆さんの映画レビュー(感想・評価)
地元撮影の時代劇はいかんですな
ストーリーはともかく、監督の「この美しい画像をとりたかったんだ!」集な感じがしました。また、まだ原作を読んでいませんが、原作を読んで、頭の中で描ききれなかった美しい景色や情景をダイジェストで見るにはとてもよい作品だと思いました。
それに、背景の屏風がゴージャス!!!えええ!!!あれが!!!あの、あの!美術品が!!となりました。展示で一度みたら絶対に忘れられない、あの迫力の龍。写った瞬間気づきました。どえらい。
ただ。ただ。
はじめの、女の子が助けられるシーンとラストの黒木華の里美が見送りするシーンが、私の小さい頃の犬の散歩道だったことから、スクリーンでいくら切り取られていても、カメラに入りきらないその周りの道路などが360度・前後500mの範囲で脳裏で広がってしまったため、世界観に入れずじまいになってしまいました・・・トホホ・・・。
他にもいくつかそういうところがあり、雑念だらけで観てしまいました。
監督が徹底的に、現存するものの中で現代のものが写らないように作成するというこだわりを聞いたことはありますが、そのこだわりを台無しにする自分の脳みそを恨めしく思ったものです。
侍としての所作の美しさに関しては、やはり西島秀俊さんが圧巻でした。大奥で鍛えられたからでしょう。かもし出す雰囲気が違います。正座するときにすそを払うしぐさ。私自身、普段着物を着るほうなので、「それが自然に出るとは!さすが!」とため息がでました。
ふるさと自慢になってしまいますが、富山の景色は、大画面で見るに堪える景色だと思います。
小さい頃の犬の散歩道だったとはいえ、杉並木を歩くとき、剣岳を見つめるとき、どんなに勇壮な空気を感じさせられることか。ちなみに、あの杉並木のある眼目山立山寺(さっかさんりゅうせんじ)こと、さっかの寺は、年末の除夜の鐘がつけます。有志の方による、ぜんざいのふるまいもあります。お寺自体は、一度火事で消失したため、あまり威厳のある建物ではありませんが、撮影箇所の奥の森が私は好きです。時々カモシカも出ます。ぜひ行ってみては。